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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「サウンド・オブ・ミュージック」 家族と一緒に感動しよう〔23〕 

サウンド・オブ・ミュージック」 
家族愛と反戦を歌った伝説ミュージカル。

 

 
【原題】THE SOUND OF MUSIC
【公開年】1964年  【制作国】亜米利加  【時間】174分  
【監督】ロバート・ワイズ
【原作】ハワード・リンゼイ ラッセル・クローズ
【音楽】リチャード・ロジャース オスカー・ハマースタイン二世 アーウィン・コスタル
【脚本】アーネスト・レーマン
【言語】イングランド語(「ヒットラー万歳」のみドイツ語)
【出演】ジュリー・アンドリュース(マリア)  クリストファー・プラマー(フォン・トラップ大佐)  エリノア・パーカー(男爵夫人)  リチャード・ヘイドン(マックス・デトワイラー)  ペギー・ウッド(修道院長)  アンナ・リー[女優](シスター・マルガリータ)  チャーミアン・カー(リーズル)  ニコラス・ハモンド(フリードリッヒ)  ヘザー・メンジース(ルイーザ)  デュエン・チェイス(クルト)  アンジェラ・カートライト(ブリギッタ)  デビー・ターナー(マルタ)  キム・カラス(グレーテル)  ポーティア・ネルソン(シスター・ベルテ)  ベン・ライト(ゼラー)  ダニエル・トゥルーヒット(ロルフ)  ノーマ・ヴァーデン(シュミット)
  
【成分】笑える 楽しい ゴージャス ロマンチック 勇敢 知的 かわいい 家族愛 ミュージカル ナチスドイツ オーストリア 1938年
                   
【特徴】第二次大戦前夜のオーストリア、実際のトラップ一家の体験をベースに脚色した反戦ミュージカル映画の金字塔的名作。監督は名匠ロバート・ワイズ氏。
 日本でも毎年どこかの映画館で上映されるほど支持されている。作中で歌われる「ドレミの歌」をはじめ日本の小中学校の音楽授業で歌われるものは少なくない。
 晴雨堂も「純真な少年時代」に鑑賞したため、思い出の名作となっている。
 
 ただし、世界中で好評を博した本作ではあるが、舞台となったオーストリアではどちらかといえば不評、理由はオーストリアの風俗がデフォルメされ過ぎているためと、モデルとなった実際のトラップ一家やその関係者たちを激怒させるほど脚色がなされていたためである。
    
【効能】家族団欒で鑑賞すると家族愛を再認識させる。家族でピクニックやキャンプに出かけたくなる。
 
【副作用】人物描写がやや単純で説得力に欠ける。オーストリア在住の人には白ける恐れあり。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
オーストリアでは敬遠された作品。
 
 この作品を初めて観たのはいつの頃だったろうか? 小学校高学年の頃か中学1年生の頃か、ともかく10代前半の頃だ。
 冒頭、雄大なアルプスの氷河の空撮が流れる。寒々とした氷河から次第に温かそうな緑の森となり、民家が点在する地域へと移動する。そして小さな町の小高い丘の野原へと視界が移動、広い野原に女性が両腕を広げて軽やかに踊っている。所作から「可憐な美少女・・」と期待した瞬間、カメラは一気にズームイン、「なんや!オバサンやん!」10代の私は落胆した。本作のヒロイン若きジュリー・アンドリュース氏(余談1)の上半身アップが映し出され、テーマ曲を歌いだす。今ならこのカメラワークにさすがワイズ監督と手を叩くだろうが。

 当時の私は奇妙な感激を抱いて鑑賞した。本作で使われた歌は殆ど学校で習ったり紹介されたものだったからだ。「ドレミの歌」て、こんなに楽しいものだったのか。「エーデルワイス」て、こんなに感動的な歌だったのか。初めてオリジナルを知った時の興奮、3時間近い長い映画が非常に短く感じた。
 
 2011年1月4日、正月番組として本作が放映されていた。懐かしさでつい観てしまった。4半世紀ぶりの鑑賞なので、忘れている部分や勘違いの部分、新たな発見の部分があって新鮮な感覚で観る事ができた。(余談2)
 少年時代の私が観ても退屈しなかった理由が判った。歌を中心にヒロイン・マリアと子供たちの触れ合いをかなり丁寧に描写していた。逆に大人の愛憎劇は拍子抜けするほどさり気なく流している。
 後半の音楽祭出演と「エーデルワイス」の合唱は、いま観ても感涙モノだ。三女のブリギッダ役の女の子を観ると今でもドキっとする。ロリコンという訳ではなく、鑑賞当時の私と出演当時のアンジェラ・カートライト氏の年齢が近いせいだろう。(余談3)
 
 さて、私にとっても名作であるのは間違いないのだが、これも罪なハリウッド映画である。タイ人から見れば噴飯物の「王様と私」、日本人から見れば何じゃこりゃ物の「ラストサムライ」と同じく、本作もオーストリア人からは違和感だらけで不評である。特に実際のトラップ家の人々やその関係者は激怒したという。彼ら彼女たちにとっては、ふざけた内容らしい。
 子供の頃に観れて幸運だった。もし初めて観たのが大人になってからだったら、ハリウッドの胡散臭さを感じてしまっただろう。

(余談1)当時の彼女は辛うじて20歳代である。今の私が観ても、やはり老けている印象は拭えなかった。歳不相応な若者ぶった演技のせいだ。
 
(余談2)子供の頃は、厳格で堅物のトラップ大佐がマリアに感化され優しくて明るい父親へと変化すると記憶していたが、いま見ると元々の本性は軟派で冗談好きな人間だということが判った。
 頭も良く冷静な人物でもある。初対面の時、マリアから「海の勇者に見えない」と言われカチンときたはずだが、表情を変えず「貴女も家庭教師に見えない」とすかさず応酬する。番組で解説を務めた池上彰氏が説明したように、オーストリアは第1次大戦で海岸線を失い海軍を失った。

 池上氏が割愛した事実をここで私が補足する。実はトラップは「大佐」ではなく「少佐」である。艦長(カピテン)という役職名を英語圏が大佐(キャプテン)という階級名に誤訳した、あるいはいつもの日本語訳スタッフのミスか。本作はフィクションなので大佐でも構わないし、あの大きな邸宅の主人なら「少佐」より「大佐」のほうがシックリくる。(青池保子氏の「エロイカ」に登場するエーベルバッハ少佐も大邸宅に住んでいるが、代々バイエルンの軍人貴族で、父親から引き継いだ財産があるからという設定があるから納得できる)
 ただ、マリアと結婚式を挙げるときにトラップ氏が着ていた海軍礼服の腕章は「少佐」だった。
 それから、現在も「海軍」を名乗っているかは確認していないが、オーストリアは今でも海軍兵力を持っている。ただ、ドナウ川警備のための極めて小規模なものだが。

 子供心に恋敵の男爵夫人の善人を装った巧妙なヒロインの追い詰め方に恐さを感じ、あっさり身を引いたのは貴婦人としての誇りなのかなと解釈した。
 いま観ると、貴婦人としての体面を守る以外に、子供たちの引き具合と白け具合で「母親」になる自信を失い先行きに不安を抱えたのが本音ではないかと思った。そんな時にマリアが出戻り、トラップから婚約解消を打ち明けたので、これ幸いと思ったに違いない。でないと、あまりに潔し過ぎる。
 
 感動的な「すべての山に登れ」はラストの山越えの時に流れる歌だと思い込んでいたが、中盤の失恋に落ち込むマリアを励ますため修道院長が豊かな声量で歌う場面をすっかり忘れていた。厳格な老修道女と若々しい歌声のギャップが素晴らしい。
 
(余談3)アンジェラちゃんは「宇宙家族ロビンソン」にも出演している。少しオタク・ネタになったか。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆☆ 秀
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
【受賞】アカデミー賞(作品賞)(1965年) ゴールデン・グローブ(作品賞(コメディ/ミュージカル))(1965年)


 
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