「写楽」
東洲斎写楽の
全作品が綺麗なグラビアで掲載 【編集】浅野秀剛【発行】平凡社
【雑感】写楽といえば、本書の表紙に使われている凶悪犯
江戸兵衛の大首絵が代表作であり代名詞である。
写楽ファンにとっては、確認されている全作品が制作時期順に鮮明なグラビアで掲載されているので、御自宅に一冊の貴重資料だ。近年、ギリシアで発見された
写楽肉筆の扇絵も掲載、これによって長らく謎だった
写楽の正体が、能役者
斎藤十郎兵衛説が最有力となった点も解説されている。
本書出版とほぼ同時期に、NHKスペシャルで浮世絵と縁の深い歌舞伎業界から役者の
中村獅童氏がナレーションを務めた「浮世絵ミステリー 写楽〜天才絵師の正体を追う〜」も興味深い。近年の写楽研究の成果を紹介するとともに挿入劇で
中村獅童氏は写楽こと
斎藤十郎兵衛を演じている。
できれば、本書とこの番組両方をご覧になられたら、写楽の世界をより楽しめるだろうと思う。
私が写楽の作品を初めて観たのは、小学校にあがる前だった。姉が使っていた小学生向け百科事典を暇つぶしにめくっていたら、グラビアページに掲載されていた。
江戸兵衛の大首絵である。なんとも面白いデフォルメ、江戸時代の絵師はみんなこんな絵なんやなと思っていた。
ところが、実は写楽独特のタッチであり、当時の歌舞伎役者の間では不評だった事を知ると急に興味がわいてくる。
当時の日本では不評だった写楽がヨーロッパで評価される皮肉、こういう現象は日本の「偉人」たちには多い。晴雨堂関連作品案内写楽 Sharaku [DVD] 篠田正浩監督
1995年公開の映画。真田広之氏と葉月里緒菜氏共演の問題作、といっても作品内容が問題だったわけではなく、主演俳優のプライベートが話題になった。
ここでは、写楽を最下層の歌舞伎役者崩れの絵師という設定にしている。現在有力視されている能役者
斎藤十郎兵衛は、同じ「役者」でも能役者は士分ゆえ名字帯刀を許された伝統芸能、したがって趣きは異なる。
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