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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

寂しさをまぎらわす時に 6 「パッチギ! LOVE&PEACE」 

パッチギ! LOVE&PEACE」 
個性派俳優勢揃い

 

 
【公開年】2007年  【制作国】米  【時間】127分  【監督】井筒和幸
【音楽】加藤和彦
【脚本】羽原大介 井筒和幸
【出演】井坂俊哉(李安成)  中村ゆり(李慶子)  西島秀俊(野村健作)  藤井隆(佐藤政之)  風間杜夫(ビョンチャン)  キムラ緑子(兄妹の母)  手塚理美(キョンスン)  キム・ウンス(高泰玉)  今井悠貴(李燦秀)  米倉斉加年(枝川の長老)  馬渕晴子(ホルモン屋のおばさん)  村田雄浩(朝鮮将棋のおじさん)  ラサール石井(三浦プロデューサー)  杉本哲太(「太平洋のサムライ」監督)  麿赤兒(石橋中将役の大物俳優)  でんでん(ライトエージェンシー社長)  寺島進(イカ釣り船の船長)  国生さゆり(お志摩)  田口浩正(南プロデューサー)  すほうれいこ(なおみ)  宮川大輔(水中運動会のAD)  山本浩司(ライトエージェンシー松井)  松尾貴史(ギャグ好きのおじさん)  清水優(ヨンギ)  桐谷健太(国土舘応援団団長の近藤)  粟野史浩(応援団の金閣)  土平ドンペイ(応援団の金閣)  田中要次(先輩運転士)  徳山昌守(朝高生の番長)  浜田学(錦宏次郎)  菅原大吉(舞台挨拶の司会者)  堀江慶(サード助監督)  長原成樹(ブローカーの男)  田中哲司(取調官)  日向丈(刑事)  愛染恭子(スナックのママ)  木下ほうか(ヤクザ俳優)  金田敦(時代劇の監督)  並樹史朗(倉田プロデューサー)  竹下明子(佐藤の母)  鎌田愛(佐藤の妹)  吉田千晃(三浦プロデューサーの秘書)  久ヶ沢徹(水中運動会の司会)  川村亜紀(水中運動会の司会)  松永京子(チャンスの母(写真))  ソン・チャンウィ(父ジンソン)  ちすん(若い海女)  パク・ソヒ(金村伍長)  新屋英子(故買屋の女店主)  中村有志(宇野重吉)  温水洋一(マスター)  木村祐一(漁船の船長)
          
【成分】切ない 賑やか 騒々しい 暴力 在日コリアン 1970年代 
      
【特徴】大人になった主人公アンソンが前作からさほど人間的に成長せず、相変わらず暴力沙汰に絡んでいる。元世界チャンピオンの徳山昌守氏(洪昌守/ホン・チャンス)がカメオ出演。個性派俳優盛り沢山で非常に賑やかな作品に仕上がっている。
 
【効能】寂しい時、孤独感に苛まれている時に観ると、鬱陶しいくらいに賑やかな気分にさせられる。
 
【副作用】保守右翼の人、嫌韓派の人には不愉快な場面のオンパレード。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。


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井筒監督独裁の成果
 
 監督というのは様々なタイプがあるが、デリケートな政治問題を孕みタブー視されてきたテーマに取り組むには、映画界における一定の地位と、独裁がしける強固な統率力と、様々な醜聞や非難にも堪えうる鉄面皮的主体性と、他者に対する激しい攻撃性がなければ達成できない。(余談1)
 
 でないと、「スパイ・ゾルゲ」の篠田監督のように踏み込みが甘くなって何が言いたいのか不明な映画になったり、「村の写真集」の三原監督のように本当は目前に大きく横たわっている地域問題には敢えて触れない作品になる。周囲の意見に謙虚であったり、及び腰であったり、わがままが言える地位でなかったら、特にこの手の作品に挑戦することは無理だ。
 その点、井筒監督のキャリアと影響力とアクの強さは定評があり、どんなに巧く撮ってもバッシングは避けられない企画に取り組む人材としてうってつけである。この作品のテーマは最初から明確であり、石原慎太郎氏らの「俺、きみ・・」へ反発と対抗心を持っていることも明々白々である。
 
 では、作品としての評価はどうかと言うと、私は前作と同じく及第点と言わざるを得ない。むしろテーマや舞台が大きくなってしまった分、大味になった感がある。
 というのも、前作は妹キョンジャと日本人高校生の恋という判り易いハッキリとした軸があった。ハリウッドの「ウエスト・サイド物語」という雛型もある。ところが今回の場合、幼い息子チャンスを軸にしたのは良いのだが、主人公アンソンと元国鉄職員のエピソードと、妹キョンジャと先輩俳優のエピソード、さらに主人公の父親のエピソード(余談2)へと分散し過ぎたきらいがある。
 これだけ盛り沢山のエピソードをよく2時間でまとめたものだと構成の努力には感心するが、井筒監督がいう「パワーアップ」とは違うだろう。
 
 とはいえ、メジャーな映画人が娯楽作品として在日コリアンという難しいテーマに切り込んだ先駆けとしては好意的に評価する。良くも悪くも井筒監督独裁チームの成果だ。(余談3)
 また、石原慎太郎氏が映画を使って「君のために死ぬ」というのに対し、この映画では「生きろ」と主張するのは、社会のバランスを保つ意味で意義がある。
  
(余談1)珍作「パールハーバー」への反米非難は歓迎。全く同感だ。
 
(余談2)徴兵が決まると真っ先にしたのが坊主頭にすることだ。髪が長いのはおかしい。坊主頭を見て、周囲が「お前、とうとうきたんか」と心の中で嘆いたものだという話を諸先輩から聞いてきたので違和感がある。
 
(余談3)「日本人」として活躍している在日コリアンは大勢いる。名誉毀損の「公然の摘示」にあたるので、カミングアウトした有名人に限って紹介すると、岩城晃一・伊原剛志・松田優作・和田アキ子・金田正一・張本勲・桧山進次郎・徳山昌守(敬称略)と、ざっと浮かんだだけでもこれだけの人々が活躍している。
 「本名」ではなく「日本人名」で仕事をしなければならない社会は、残念ながら在日コリアンへの差別が根強く存在する要素を示したものである。在日コリアンであるのを隠さずデビューした芸能人といえば、ソニン氏くらいだろう。
 今回の作品で、最初から悪意と拒絶感を露にした酷評の多さが、コリアン差別を裏付けてしまった。
  
 在日コリアン問題というと、暴力描写が付き物という風潮に辟易している在日コリアンの友人たちも少なくないことを付け加えておく。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作

 
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「パッチギ!LOVE&PEACE」オリジナルサウンドトラック
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パッチギ!LOVE&PEACE ANOTHER STORY 大谷隆之
パッチギ!LOVE & PEACE 朝山実
「在日コリアン」ってなんでんねん? (講談社プラスアルフア新書) 朴一
  

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友情と恋愛を中心に描いた前作よりも家族愛を中心に描いたこの続編の方が個人的にはすごく好きです。しかし井筒監督も在日の方を主人公にしてこれだけの映画を撮れるなら、次は日本人を主人公にして『パッチギ!』シリーズのような力強い映画を撮っていただきたいものです...
[2009/07/16 14:04] めでぃあみっくす
なかなかタイミングが合わず、公開期限ギリギリになって、慌てて観に行ってきました思ったよりも入っていなかったのでしょうね。ガランとしていました。.。゚+..。゚+.  .。゚+..。゚+『パッチギ! LOVE&PEACE』2007年日本作品 監督:井筒和幸出演:井坂俊哉、中村ゆ...
[2009/08/13 08:23] ANNE'SHOUSE-since1990-
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