「マーシャン・クロニクル」 火星年代記 【原題】THE MARTIAN CHRONICLES
【公開年】1979年
【制作国】亜米利加
【時間】300分
【監督】マイケル・アンダーソン【原作】レイ・ブラッドベリ 【音楽】スタンリー・マイヤーズ
【脚本】リチャード・マシスン【言語】イングランド語
【出演】ロック・ハドソン(ワイルダー大佐) ダーレン・マクギャヴィン(パークヒル) フリッツ・ウィーヴァー(ハサウェイ)
ゲイル・ハニカット(-) バーナデット・ピータース(ジュヌビエーブ・セルサー) バーニー・ケーシー(ジェフ・スペンダー少佐) ニリー・ドーン・ポーター(-) マリア・シェル(-) ジョイス・ヴァン・パタン(-) ジョン・フィンチ(-)
【成分】ファンタジー ロマンチック 不思議 火星 終末 SF
【特徴】ハードSFではなく、幻想的でポエムな作風、
レイ・ブラッドベリや
リチャード・マシスンらしい作品。人類が火星へ移住し始めた時代を描写しながら人類への警鐘を絡める。前半は調査に訪れた宇宙飛行士たちと神出鬼没の火星人との接触を描き、後半は火星人が「絶滅」し地球の人類も最終戦争で滅び、火星に取り残された主人公たち移住者の後日談を描く。
寂寞感のある透明な雰囲気の音楽が作風と巧くマッチ、ラストの主人公が家族を連れて火星人の古代遺跡をピクニックする場面は、けっこう感動する。
【効能】深夜の静けさを愉しむのに効果的。カップルと2人だけの夜を愉しむのにもムード満点だが、上映時間が5時間と長く、最初から最後まで見てしまうと夜が明けてしまう。
【副作用】ハードSFファンには子供だましな映画でつまらない。長すぎるので疲労と退屈で嫌になる。
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深夜の静けさがシックリくる詩情SF 原題のカタカナ化が「正式」なタイトルになっているようだが、やはり「
火星年代記」のほうがシックリくる。(余談1)
主演は「武器よさらば」で有名な
ロック・ハドソン氏。後にエイズで亡くなられたのが些か衝撃で、しかも同性愛者であったのも話題になった。(余談2)ここでは、多くのアメリカ人が理想に描く上司と父親を演じている。火星探険の大佐で、良妻賢母型の妻と小学生くらいの子供2人の4人家族。
SFといっても、原作者は
レイ・ブラッドベリ氏だ。アイザック・アシモフ氏やアーサー・C・クラーク氏のような綿密な科学考証によるハードSFではなく、詩情的幻想空間が広がる。製作された当時、既に火星がどんな星であるかは大よそ明らかになっていたが、作中は無視している。
アメリカ西部の砂漠のように荒涼としているが、青い空に水を湛えた湖、呼吸ができる大気、白い衣装に耳を隠すだけのありふれた宇宙人メイクの火星人、ストーンヘンジを彷彿させる火星の古代遺跡、火星をネオンと鉄骨のアメリカンに改造していく移住者たち。そして最終戦争で滅ぶ地球。
特撮は60・70年代のウルトラマンや仮面ライダー並に微笑ましいものだが、叙情あふれるBGMと映像と台詞まわしで物語が展開するのでむしろ効果的に彩っている。
ラストで、
ロック・ハドソン氏がある踏ん切りをつけ、「火星人を見に行こう」と家族を誘い、火星人遺跡がある湖へピクニックに行く場面がある。「火星人はどこ?」と怪訝そうな子供たちに向かって、父親は「ほら、湖のなかを見てごらん」とにこやかに語る。湖面には家族4人の顔が映っていた。今でもこの最後の場面が好きである。
(余談1)1981年頃だったと思うが、1日に何度かの時間帯に分けてTV放送されていて、1日中「
火星年代記」ざんまいだった。故手塚治虫氏が解説を務められた。彼の説明によると、原作の日本語版が出版された当時は「
火星人記録」というタイトルだったらしい。SF小説のオールドファンの中には今でも「
火星人記録」と呼ぶ人がいる。
このTV放映は日本語吹替え版だったが、数年後に読売テレビの「シネマだいすき!」にて字幕完全版放送。
(余談2)後にクイーンのフレディ・マーキュリー氏がエイズで亡くなったときも、衝撃ではあったが彼らしい最期だと妙に納得したのを覚えている。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作 晴雨堂関連作品案内第3の選択/米ソ宇宙開発の陰謀~火星移住計画の謎(初回限定生産) [DVD]
火星探検 ロケットシップX-M [DVD] カート・ニューマン監督 1950年
恐怖の火星探検 [DVD] エドワード・L・カーン監督 1958年
レッド プラネット 特別編 [DVD] アントニー・ホフマン監督 2000年
ミッション・トゥ・マーズ [DVD] ブライアン・デ・パルマ監督 2000年
晴雨堂関連書籍案内火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114) レイ・ブラッドベリ
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