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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ゾンビ」 孤独を楽しむ時に〔50〕 

ゾンビ」 
ゾンビ映画の金字塔!

 

 
【原題】ZOMBIE: DAWN OF THE DEAD
【公開年】1978年  【制作国】伊太利 亜米利加  【時間】115分  
【監督】ジョージ・A・ロメロ
【原作】
【音楽】ゴブリン ダリオ・アルジェント
【脚本】ジョージ・A・ロメロ
【出演】デヴィッド・エムゲ(スティーヴン)  ケン・フォリー(ピーター)  スコット・H・ライニガー(ロジャー)  ゲイラン・ロス(フランシーン(フラニー))  トム・サヴィーニ(略奪者のメンバー/トラックに轢かれるゾンビ)  デヴィッド・クロフォード(フォスター博士)  デヴィッド・アーリー(バーマン)  リチャード・フランス(-)  ハワード・スミス(-)  ダニエル・ディートリヒ(-)  フレッド・ベイカー(-)  ジェームズ・A・バフィコ(ウーリー)  ロッド・スタウファー(ロイ)  ジョージ・A・ロメロ(TVディレクター)
  
【成分】パニック 不気味 恐怖 勇敢 知的 絶望的 ショッピングモール ホラー ゾンビ                        
【特徴】ジョージ・A・ロメロ監督の象徴的代表作。B級映画の見本のような完成度と、ゾンビ映画のジャンルを確立した金字塔である。
 これ以前にもゾンビ映画は存在していたが、本作が全てのゾンビ映画の開祖的なポジションとして扱われ、大量に模倣作やリメイクが世界各地で制作されている。
 メイクは単なる青塗りに過ぎないのだが、群集劇の圧力で恐怖を演出するのは見事。
    
【効能】深夜に見ると孤独感が増幅される。深夜の静けさを楽しめる。
 
【副作用】ホラー慣れしていない人には、窓際・換気口・エレベーターなどに恐怖を感じるようになる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
ロメロ監督の象徴的傑作。
  
 これ以前にゾンビ映画が無かった訳ではない。1930年代には既にドラキュラ役で有名なベラ・ルゴシ氏を主役に「ホワイト・ゾンビ」が制作されている。また彼の遺作であり、有名な最低映画監督エド・ウッド氏の「プラン9」も一応ゾンビ映画になるだろう。
 ヨーロッパではマニアから根強い支持を受けている「エル・ゾンビ」が70年代初頭に制作された。さらにロメロ監督の代表作で60年代終り頃に公開された「ナイト・オブ・ザ・リビングデット」も忘れてはならない。むしろこれが金字塔であり開祖と考えている方も少なくないだろう。

 78年公開の本作はゾンビが登場する映画の中ではかなり後発になる。しかし私はこれを金字塔と考えている。この作品以降、ゾンビは「ホラー映画」の中の1形式から、「ゾンビ映画」というジャンルを確立した。ホラー映画に登場するゾンビに過ぎなかったのが、ゾンビが主人公もしくはテーマとなった映画にホラーやコメディーやスプラッタなどの形式がある。
 それから他作品への影響も非常に強い。本作のリメイクだけでなく、明らかに本作を意識したゾンビ映画が世界各地で量産された。これら作品を見ていると、本作「ゾンビ」が一種の統一基準のような感がする。(余談1)
 
 本作はゾンビ映画の金字塔というだけでなく、B級映画の手本でもある。特に派手なアクションがあるわけでもない。ゾンビのメイクにしても基本的には青塗りだ。ゾンビ役のエキストラは青白く化粧をして普段着のままで出演してもOKかもしれない。(余談2)
 
 登場するゾンビは、近年に見られるような運動神経が良く知能もある化け物ではなく、殆ど大脳の活動は無く、食欲といった基礎的な本能や、生前の生活習慣で染み付いた動作を、意味無くエンドレステープのようにノロノロと続けている。
 だからむしろ一方的に倒されるのはゾンビの方である。反撃らしい反撃はしない。生きている人間が弱って動けなくなったところを集団で襲い掛かり噛み付くだけ。主人公たちが暫しの避難場所に選んだショッピングモール内にゾンビが来襲するキッカケをつくったのも、野盗の群と化した暴走族の一団がモールを略奪してきたからで、ノロノロと徘徊するゾンビだけではバリケードは破れない。ゾンビの群れの前で、生きている人間同士が殺し合いをしている。
 
 ラスト、常に沈着冷静な黒人のSWAT隊員は押し寄せるゾンビの大群に絶望し、ヒロインを先に逃がし、自分は拳銃自殺をはかろうとする。ところが突然気が変わり、目前に迫るゾンビと化したヒロインの恋人を撃ち抜き、絡んでくる他のゾンビたちを振り払い、屋上から飛び立とうとするヒロインのヘリに駆け込む。
 「もう燃料が無いわ」と呟くヒロインに、「大丈夫や」と少し微笑みながら答える隊員。ゾンビという「死」が支配する地上を眼前に、ヘリの中は死を前にした空虚さか。一見すると贅沢な生活をおくれていたショッピングモールでも、何の未来も展望も無い孤立した牢獄のようなものだった。
  
(余談1)私への影響も強い。トラウマといっても良い。
 エレベーターに乗ると、つい天井を眺めながら脱出経路を考察してしまう。エレベーターのドアが開くとき、思わず握り拳をつくり空手の左自然体風に身構えようとしてしまう。
 家の大掃除をすると、必ずゾンビが来襲してきた際の侵入口を考察してしまう。天袋を整理していると、天井裏にチキンラーメン20玉とミネラルウォーターを3リットルのペットボトルで5本ほどストックしておこうかと思案してしまう。
 
(余談2)日本初公開時、私の記憶では惑星の爆発か隕石の爆発のような場面があった。超新星からの放射線が地球に降り注いだのが原因で死者が動き出した、というSFのような話だった。
 しかし後にそれは日本版だけの説明らしい。火葬中心の日本ではゾンビという存在を理解する文化が乏しく、観客がゾンビの存在に納得できなかったり、そもそもの物語自体に承服できない恐れがあったため、超新星の放射線という設定をこじつけた。
 原版には超新星など出てこないので特撮は無し。したがって撮影費用は主に人件費くらいだろう。作中のショッピングモールも実際にある施設で、撮影はモールの営業が終わった深夜から営業時間前の早朝までの間に行われた。つまりモールの昼間の場面は早朝という事になる。
 


晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 

 
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ゾンビになりたくない。いろいろな意味も 考えてしまうラストシーン 面白いですね。僕が僕で あるために なぜか尾崎豊の歌を 思い出しました。音楽同好会(名前検討中
[ 2012/04/09 18:31 ] [ 編集 ]
村石太レディ&キョンシー氏へ

 この作品は低予算映画の金字塔の中の金字塔ですよ。いまや世界中の映画青年が手がける低予算映画はゾンビをテーマに作られていますから。

> ゾンビになりたくない。いろいろな意味も 考えてしまうラストシーン 面白いですね。僕が僕で あるために なぜか尾崎豊の歌を 思い出しました。音楽同好会(名前検討中
[ 2012/04/15 05:57 ] [ 編集 ]
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