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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」 家族と一緒に愉快になろう〔10〕 

ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」 
「『聖書』を子供向けファンタジーに改造?」

 
 
 
【原題】THE CHRONICLES OF NARNIA: THE LION, THE WITCH AND THE WARDROBE
【公開年】2005年  【制作国】亜米利加  【時間】140分  
【監督】アンドリュー・アダムソン
【原作】C・S・ルイス
【音楽】ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
【脚本】アンドリュー・アダムソン クリストファー・マルクス スティーヴン・マクフィーリー アン・ピーコック

【出演】リーアム・ニーソン(アスラン)  ウィリアム・モーズリー(ピーター・ペベンシー)  アナ・ポップルウェル(スーザン・ペベンシー)  スキャンダー・ケインズ(エドマンド・ペベンシー)  ジョージー・ヘンリー(ルーシー・ペベンシー)  ティルダ・スウィントン(白い魔女)  ジェームズ・マカヴォイ(タムナスさん)  ジム・ブロードベント(カーク教授)  ルパート・エヴェレット(キツネ)
   
【成分】スペクタクル 不思議 不気味 勇敢 切ない かわいい かっこいい ファンタジー 聖書 中世ヨーロッパ 妖精 1940年代前半
                         
【特徴】聖書や神話やヨーロッパ史のエピソードを原型が判らないくらいに子供向きに加工し、子供が憧れ夢見る妖精や話す獣や中世の騎士など盛り沢山に登場させたC・S・ルイスのファンタジー巨編の実写映画化。
 アンチ・ハリウッドのピーター・ジャクソン監督「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」の大ヒットに続くように発表されたディズニーの映画だが、原作もいわくつきだ。「指輪物語」の原作者トールキンは、ルイスの「ナルニア国物語」を酷評した事でも知られる。したがって映画も因縁の制作かもしれない。
 
 日本語吹替版では判らないが、ライオンのアスラン王にはリーアム・ニーソン氏が、キツネにはルパート・エヴェレット氏が声を担当している。
    
【効能】幻想世界に暫し浮世を忘れ、ワクワクする冒険世界へトリップ。子役の名演技に癒される。
 
【副作用】次男にムカつく。「ロード・オブ・ザ・リング」の亜流に見える。サンタクロースなんかが登場して噴飯。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。 ディズニーの選択は「指輪物語」への意趣返しか?

 トールキンの「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」が非ハリウッド系のピーター・ジャクソン監督らによって見事映画化大成功となる。これに刺激されたのかどうかは判らないが、アメリカを象徴する世界的大手映画会社ディズニーは「ナルニア国物語」を題材に選び最初から3部シリーズとして映画化する。
 この「ナルニア国物語」の原作者C・S・ルイスは「指輪物語」のトールキンと親交がある。しかも「ナルニア」はトールキンから糞味噌に酷評された作品でも名高い。ディズニーの選択は「指輪物語」への意趣返しか?(余談1)
 
 本作の原作者ルイスはキリスト教伝道者であり、中世ヨーロッパの研究家だった。だから「ナルニア国物語」は聖書や神話やヨーロッパ史のエピソードを原型が判らないくらいに子供向きに加工し、子供が憧れ夢見る妖精や話す獣や中世の騎士など盛り沢山に登場する。おまけにサンタクロースまで登場。
 
 第二次大戦中、ドイツ軍の空襲を避けてロンドンの都会から田舎へ疎開した4人の兄弟姉妹、ひょんな事でクローゼットから異次元のナルニア国へ渡ってしまう。
 そこでナルニアの「人々」との交流やライオンのアスラン王との出会い、そして白い魔女との戦いを通じて4人は成長していく。成長の過程は定番中の定番だ。温厚な長男は次第にリーダーシップがとれる勇敢な王となり、現実的で現代っ子の長女はナルニアの空気に慣れ、甘えん坊でやや反抗期の幼い次男は劇的に成長し責任感を獲得する。夢見がちの末っ子次女だけは「成長」というより純粋で素直な少女のまま。(余談2)
 
 長男は白い魔女の軍勢と合戦し、敵兵をバッサバッサ斬り殺すのだが、相手がナルニアの架空の妖精や化物類の生き物なので、良心の呵責は抑えられ納得して楽しめた。
 問題は次回以降のシリーズだ。映画化は3部作の予定だが、原作は7章まである。最後の章はヨハネの黙示録にある終末思想がベースとなっているので、映画化するとなれば「指輪物語」以上に重たくなる。オチは「世にも奇妙な物語」的だ。
 
 私は配役を変えないまま第7章を実写化してほしいブラックな気持ちを抱いている。 
  
(余談1)サンタクロースを登場させたことがトールキンにとっては安直軽薄に見えて噴飯モノだったらしい。
 後にトールキンはルイスの私生活の姿勢にも憤り関係が悪化、絶交状態になる。ルイスが離婚歴のある女性と結婚した事が当時のキリスト教的道徳では顰蹙をかったようである。現代ではルイスの行動は美談なのだが。
 
 トールキンの構成力には定評があり物語の完成度が高く子供から大人まで強烈な印象を与えるが、たしかにルイスの「ナルニア国物語」は良くいえば子供向き、私の視点からも隙というか甘さを感じる。子供が抱く夢にルイスは迎合しすぎたのか?
 映画でも、原作の特徴がより判り易く出ているような気がする。
 
(余談2)末っ子ルーシーを演じたジョージー・ヘンリーちゃんは泣き顔が上手い。
 芦田愛菜ちゃんが誰かに似ている思うのだが、その誰かがなかなか記憶から引き出せなかった。昨日今日と「ナルニア国物語」のTV放映を観てやっとスッキリした。ルーシー役の子に少し感じが似ていたのだ。 

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作


【受賞】アカデミー賞(メイクアップ賞)(2006年)
  

 
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