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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」 ストレス解消活劇〔79〕 

ナルニア国物語 
第2章:カスピアン王子の角笛」 
「ファンタジー」から「時代劇」へ

 

 
【原題】THE CHRONICLES OF NARNIA: PRINCE CASPIAN
【公開年】2008年  【制作国】亜米利加  【時間】150分  
【監督】アンドリュー・アダムソン
【原作】C・S・ルイス
【音楽】ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
【脚本】アンドリュー・アダムソン クリストファー・マルクス スティーヴン・マクフィーリー アン・ピーコック
【言語】イングランド語
【出演】ジョージー・ヘンリー(ルーシー・ペベンシー)  スキャンダー・ケインズ(エドマンド・ペベンシー)  ウィリアム・モーズリー(ピーター・ペベンシー)  アナ・ポップルウェル(スーザン・ペベンシー)  ベン・バーンズ(カスピアン王子)  ピーター・ディンクレイジ(トランプキン)  ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ(グロゼール)  セルジオ・カステリット(ミラース)  ワーウィック・デイヴィス(ニカブリク)  コーネル・ジョン(グレン・ストーム)  ヴィンセント・グラス(コルネリウス博士)  ダミアン・アルカザール(ソペスピアン卿)  リーアム・ニーソン(アスラン)  ケン・ストット(松露とり(トリュフハンター))  エディ・イザード(リーピチープ)  シェーン・ランギ(アステリウス)  ティルダ・スウィントン(白い魔女)
   
【成分】ファンタジー スペクタクル 勇敢 かわいい かっこいい 聖書 中世ヨーロッパ 妖精 1940年代前半
                         
【特徴】聖書や神話やヨーロッパ史のエピソードを原型が判らないくらいに子供向きに加工し、子供が憧れ夢見る妖精や話す獣や中世の騎士など盛り沢山に登場させたC・S・ルイスのファンタジー巨編の実写映画化。
 アンチ・ハリウッドのピーター・ジャクソン監督「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」の大ヒットに続くように発表されたディズニーの映画だが、原作もいわくつきだ。「指輪物語」の原作者トールキンは、ルイスの「ナルニア国物語」を酷評した事でも知られる。したがって映画も因縁の制作かもしれない。
 
 第二章ではペペンシー四兄妹は人間相手にチャンバラをする。つまり、ファンタジーの世界とはいえ、中高生が人を斬ったり射たりするのだ。
 
 日本語吹替版では判らないが、ライオンのアスラン王にはリーアム・ニーソン氏が声を担当している。
    
【効能】幻想世界に暫し浮世を忘れ、ワクワクする冒険世界へトリップ。子役の名演技に癒される。
 
【副作用】「ロード・オブ・ザ・リング」の亜流に見える。困ったときのアスラン王、というご都合主義的展開に不快感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
まだ中高生なのに人斬りするなんて。
  
 トールキンの「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」が非ハリウッド系のピーター・ジャクソン監督らによって見事映画化大成功となる。これに刺激されたのかどうかは判らないが、アメリカを象徴する世界的大手映画会社ディズニーは「ナルニア国物語」を題材に選び最初から3部シリーズとして映画化する。
 この「ナルニア国物語」の原作者C・S・ルイスは「指輪物語」のトールキンと親交がある。しかも「ナルニア」はトールキンから糞味噌に酷評された作品でも名高い。ディズニーの選択は「指輪物語」への意趣返しか?(余談1)
 
 本作はややファンタジー色が大きく後退して、ドロドロしたアクション時代劇となった。前作のナルニアから千年以上時代がくだった世界、人語を解す動物もドワーフも姿を隠し、人間たちが支配する中世ヨーロッパのような社会で冒頭から権力闘争から始まる。
 王弟で大貴族の筆頭ミラース卿に王位継承権のある息子が生まれたことで、前王の嫡子カスピアン王子暗殺を腹心に命令。天体観測に備えて就寝していた無邪気な青年王子の寝室に弩で武装した弓兵たちが乱入、寝台へ斉射する。しかし王子は家庭教師の機転で辛くも脱出、ナルニアの森へ逃走する。
 
 ドロドロ時代劇はその後も続く。暴君の様相を隠さなくなったミラース卿、ミラース卿失脚を狙う大貴族、ミラースの忠実な部下である将軍も何か含みがある。
 カスピアン王子が主人公たち四兄妹と手を組みナルニア軍を動かして居城の奪取を企てるも敗退。ミラースは王子の暴挙を利用してまんまと国王に即位し、周辺国の軍勢を集め大軍を組織しナルニアへ進軍。
 ナルニア軍が王同士の決闘を申し出ると、ミラースの側近たちは「我が軍は優勢だから決闘をする必要はない」とか「王としての権威と軍勢の士気を高めるため決闘を受けるべき」など異なる正論がぶつかり合うが、側近たちの意見にはどこか含みがあり、結局周囲の思惑に流されて決闘を受ける悪玉ミラースの哀しさが美味。
 
 決闘で劣勢になれば決闘相手の長兄ピーター王を背後から殺せと卑怯な策を側近たちに指示するが、何故か彼らは傍観するだけで動かない。結局、決闘に負ける。ピーターやカスピアン王子に命を助けられるが、側近が介抱すると見せかけて急所を刺す。子供向けファンタジーから、生々しい時代劇になっているではないか。
 
 この第二章も「指輪物語」に比べるとライト感覚のヒロイック・ファンタジーなのだが、妙に生々しい権謀術が交錯する時代劇臭さが強くなっている。前作で戦ったのは空想の生き物や魔女だったが、今回の敵は人間である。軍勢を率いる悪玉たちが憎たらしく演じてくれるので良心の呵責はあまり感じないが、中高生の設定である4人の少年少女たちが剣や弓矢でバッサバッサと人間を殺していくのが、ときおり違和感を感じてしまう。末っ子のルーシーまで短剣を抜いて人間の軍勢と対峙するのだ。
 また今回もライオン姿のアスラン王が困ったときの神頼み的にラストで加勢するのでご都合主義予定調和が強調されてしまった。
 
(余談1)サンタクロースを登場させたことがトールキンにとっては安直軽薄に見えて噴飯モノだったらしい。
 後にトールキンはルイスの私生活の姿勢にも憤り関係が悪化、絶交状態になる。ルイスが離婚歴のある女性と結婚した事が当時のキリスト教的道徳では顰蹙をかったようである。現代ではルイスの行動は美談なのだが。
 
 トールキンの構成力には定評があり物語の完成度が高く子供から大人まで強烈な印象を与えるが、たしかにルイスの「ナルニア国物語」は良くいえば子供向き、私の視点からも隙というか甘さを感じる。子供が抱く夢にルイスは迎合しすぎたのか?
 映画でも、原作の特徴がより判り易く出ているような気がする。 

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作



 

 
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