「狼たちの街」
セクシー路線時代のジェニファ・コネリー出演、
放射能防護服が登場するハードボイルド。 【原題】MULHOLLAND FALLS
【公開年】1996年
【制作国】亜米利加
【時間】108分
【監督】リー・タマホリ 【原作】 【音楽】デイヴ・グルーシン
【脚本】ピート・デクスター
【言語】イングランド語
【出演】ニック・ノルティ(マックス・フーバー) メラニー・グリフィス(キャサリン・フーバー(ケイ)) チャズ・パルミンテリ(エラニー・クーリッジ) マイケル・マドセン(エディ・ホール)
ジェニファー・コネリー(アリソン・ポンド) ダニエル・ボールドウィン(マキャファティ特別捜査官) クリス・ペン(-) トリート・ウィリアムズ(-) アンドリュー・マッカーシー(-) ジョン・マルコヴィッチ(-)
【成分】ハードボイルド パニック 勇敢 暴力 セクシー かっこいい 原爆 1950年代 アメリカ ロス・アンジェルス
【特徴】ジェニファ・コネリー氏が清純派からセクシー派へと大きく路線変更した時期の作品。ここでも加齢臭漂いそうな
ニック・ノルティ氏とベタベタ絡みを実演する。スレンダーな身体に不釣合いな下垂気味巨乳に萌えるファンもいる事だろう。
シカゴギャングのような主人公たちの雰囲気から一見すると30年代アメリカのようだが、本作の舞台は50年代前半のロス・アンジェルス。軍の原爆実験が背景にあり、中折れハットにスリーピースとアンタッチャブルのファッションに不釣合いな放射能防護服姿の兵士が登場する。子供の頃に読んだSF小説の挿絵のような世界だ。
基本、暴力刑事の単純なアクション物語だが、若くて妖艶な女性と平凡で貞淑な妻との間でオロオロする姿を垣間見る強面主人公の姿に哀愁を感じる
【効能】典型的な男の性(さが)をステレオタイプに解りやすく描写。女性鑑賞者は彼氏と付き合うにあたって若干ヒントになる。
【副作用】凡庸かつ幼稚な内容で退屈。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
ハードボイルドの佳作ぽい駄作。 福島第1原発事故に影響されているのか? 関西ローカルTV局晩の映画枠で放送された。時代は朝鮮戦争時のロス・アンジェルス。30年代シカゴのギャング物と違って、原爆実験や米軍などが絡んで少し話がややこしい。
現代のサラリーマンはあまり着ないスリーピースの背広にダブルカフスのワイシャツ、頭には中折れハット。一見すると30年代アンタッチャブルに近いファッションの中に現れるゴム製の動き難そうな放射能防護服姿の兵士たち。なんだか小学生の頃に読んだSF小説の挿絵みたいな風景だ。(余談1)
さて、この映画を観た動機はただ1つ、お気に入りのジェニファ・コネリー氏が出演していたからだ。当時は清純派から脱却を図っていた頃で、積極的に脱ぎや絡みの演技をやっていた。本作でも惜しげなくスレンダーな身体に不釣合いな豊満バストを魅せてくれる。
主人公はロス市警の署長直属特捜班リーダーのフーバー警部補、たった4人の刑事で容疑者たちを殴る蹴る、挙句に殺す、法を無視してギャング以上の無茶苦茶な活躍ぶり。そんなフーバーたちが国家機密である原子力をめぐる陰謀に巻き込まれて血沸き踊るアクション活劇が展開される。
一場面一場面を切り取って観れば、どれも良質なハードボイルドだ。街並みや衣装や路肩駐車されている無数のクラシックな自動車など、50年前後のアメリカを再現している。(余談2)
迫力ある銃撃戦、殴る蹴るの格闘、飛行する軍用機内での乱闘、ジェニファとの浮気の濡れ場、右腕のクーリッジ刑事との友情、妻ケイの泣き顔。一場面単体で観れば見どころ満載だ。
特に気に入ったのは、ギャングに対しては強面の厳つい暴力刑事のフーバーが、妻に浮気がばれて頭を抱える場面が素敵だ。目を真っ赤にした妻ケイがビンタしようとして手を出しかけて躊躇したとき、顔をビクッとさせるフーバーの顔が素晴らしい。身構えるというより、恐れおののくといった感じだ。
犯罪の黒幕と最後の戦いをする時に真顔で放った台詞が「妻に浮気がばれた。もう怖いモノはない」だから面白い。渋いハードボイルド作品だったのではないのか。
残念な事に、作品全体を眺めると構成が中途半端で無理な設定だらけだ。DVDパッケージでは特捜班4人がカッコ良く横一列に並んでいるが、主人公と右腕以外は「その他大勢」扱いでこなれていない。煙草を吹かして夜の女のように映っているケイは普通の主婦、実際はジェニファ・コネリー氏がヒロイン的立場。
暴力場面も唐突・安直、石原プロの「大都会」や「西部警察」よりも短兵急、米軍や原爆との絡みも貼り付け感がある。
いやまてよ。石原裕次郎氏が出演していた刑事ドラマを大掛かり2時間バージョンにしたと思えば納得できる。子供の頃に慣れ親しんだ刑事モノとベースが同じだから、構成が駄作にも関わらず不快感が無かったのだ。
(余談1)1930年代の服装も50年代の服装も基本はあまり変わっていない。激変するのは60年代後半からだというのが判る。
(余談2)作中の特捜班ハット・スクワッドは、実在した組織らしい。映画のような無法の暴力集団かどうかは判らないが。
時代考証は手抜きが無かったように思う。路肩に何台も自動車が駐車されているが、当時の型の車ばかりだ。軍服や放射能防護服、実際の原爆実験に撮影された写真など。
特に軍の立ち入り禁止区域で確保されホールドアップしている時に、指揮官から身分証を求められて手を下ろして上着の内ポケットから取り出すのは牧歌的なあの時代ならでは。よくやる間違いは現在の風習をやってしまう事だが、それは無かったように思う。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作
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ハードボイルドの佳作ぽい駄作。 福島第1原発事故に影響されているのか? 関西ローカルTV局晩の映画枠で放送された。時代は朝鮮戦争時のロス・アンジェルス。30年代シカゴのギャング物と違って、原爆実験や米軍などが絡んで少し話がややこしい。
現代のサラリーマンはあまり着ないスリーピースの背広にダブルカフスのワイシャツ、頭には中折れハット。一見すると30年代アンタッチャブルに近いファッションの中に現れるゴム製の動き難そうな放射能防護服姿の兵士たち。なんだか小学生の頃に読んだSF小説の挿絵みたいな風景だ。(余談1)
さて、この映画を観た動機はただ1つ、お気に入りのジェニファ・コネリー氏が出演していたからだ。当時は清純派から脱却を図っていた頃で、積極的に脱ぎや絡みの演技をやっていた。本作でも惜しげなくスレンダーな身体に不釣合いな豊満バストを魅せてくれる。
主人公はロス市警の署長直属特捜班リーダーのフーバー警部補、たった4人の刑事で容疑者たちを殴る蹴る、挙句に殺す、法を無視してギャング以上の無茶苦茶な活躍ぶり。そんなフーバーたちが国家機密である原子力をめぐる陰謀に巻き込まれて血沸き踊るアクション活劇が展開される。
一場面一場面を切り取って観れば、どれも良質なハードボイルドだ。街並みや衣装や路肩駐車されている無数のクラシックな自動車など、50年前後のアメリカを再現している。(余談2)
迫力ある銃撃戦、殴る蹴るの格闘、飛行する軍用機内での乱闘、ジェニファとの浮気の濡れ場、右腕のクーリッジ刑事との友情、妻ケイの泣き顔。一場面単体で観れば見どころ満載だ。
特に気に入ったのは、ギャングに対しては強面の厳つい暴力刑事のフーバーが、妻に浮気がばれて頭を抱える場面が素敵だ。目を真っ赤にした妻ケイがビンタしようとして手を出しかけて躊躇したとき、顔をビクッとさせるフーバーの顔が素晴らしい。身構えるというより、恐れおののくといった感じだ。
犯罪の黒幕と最後の戦いをする時に真顔で放った台詞が「妻に浮気がばれた。もう怖いモノはない」だから面白い。渋いハードボイルド作品だったのではないのか。
残念な事に、作品全体を眺めると構成が中途半端で無理な設定だらけだ。DVDパッケージでは特捜班4人がカッコ良く横一列に並んでいるが、主人公と右腕以外は「その他大勢」扱いでこなれていない。煙草を吹かして夜の女のように映っているケイは普通の主婦、実際はジェニファ・コネリー氏がヒロイン的立場。
暴力場面も唐突・安直、石原プロの「大都会」や「西部警察」よりも短兵急、米軍や原爆との絡みも貼り付け感がある。
いやまてよ。石原裕次郎氏が出演していた刑事ドラマを大掛かり2時間バージョンにしたと思えば納得できる。子供の頃に慣れ親しんだ刑事モノとベースが同じだから、構成が駄作にも関わらず不快感が無かったのだ。
(余談1)1930年代の服装も50年代の服装も基本はあまり変わっていない。激変するのは60年代後半からだというのが判る。
(余談2)作中の特捜班ハット・スクワッドは、実在した組織らしい。映画のような無法の暴力集団かどうかは判らないが。
時代考証は手抜きが無かったように思う。路肩に何台も自動車が駐車されているが、当時の型の車ばかりだ。軍服や放射能防護服、実際の原爆実験に撮影された写真など。
特に軍の立ち入り禁止区域で確保されホールドアップしている時に、指揮官から身分証を求められて手を下ろして上着の内ポケットから取り出すのは牧歌的なあの時代ならでは。よくやる間違いは現在の風習をやってしまう事だが、それは無かったように思う。
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☆☆☆ 良
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