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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「王様と私」 カップルで愉快になろう〔2〕 

王様と私」 
ラブコメの金字塔か?罪なハリウッドだ

 

 
【原題】THE KING AND I
【公開年】1956年  【制作国】亜米利加  【時間】133分  
【監督】ウォルター・ラング
【原作】マーガレット・ランドン
【音楽】ケン・ダービー
【脚色】アーネスト・レーマン
【出演】ユル・ブリンナー(王様)  デボラ・カー(アンナ)  リタ・モレノ(タプティム)  マーティン・ベンソン(クララホーム)  カルロス・リヴァス(ラン・タ)  パトリック・アディアート(チュラロンコーン王子)  テリー・サウンダース(-)  
             
【成分】笑える 楽しい ロマンチック 不思議 切ない かわいい かっこいい コミカル ミュージカル 19世紀半 タイ
         
【特徴】名作と名高いミュージカルの映画化。ユル・ブリンナー氏が坊主頭になってタイ国王を熱演、アタリ役となる。彼は晩年も痩せこけた身体に鞭打って王様役に扮していたのが痛々しい。
 当時のアジア蔑視の色彩が色濃いが、物語としては清潔でプラトニックなラブコメディに仕上がっている。デボラ・カーユル・ブリンナーがダンスをする際に歌う 「SHALL WE DANCE」は名曲だ。
  
【効能】カップルで観ると楽しい気分にさせる。
 
【副作用】唐突に王様が亡くなるので納得ができない。アジア蔑視の視点濃厚で、アジア人としての自覚のある者には欧米人の悪意を感じ不愉快になる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
異文化交流のラブコメ

 小学生の頃、ラジオの映画特集番組で「SHALL WE DANCE」が流れているのを聞いて「王様と私」に興味を持った。私の父母の世代では名作といわれるミュージカルで、主演のユル・ブリンナー氏はこの王様役がハマリ、晩年に肺癌を患い摘出手術を受けてミイラのように痩せ細っても舞台でアンナと踊り続けた。ニュース映像で見たときは感動よりも余命あと僅かの最期の耀きのように思えて痛々しく悲しかった。(余談1)
 
 ユル・ブリンナー氏と家庭教師アンナ役のデボラ・カー氏が西洋の社交ダンスを踊るときに流れる「SHALL WE DANCE」は、快活なハリウッド全盛期を象徴する唄である。この唄はお気に入りになり、小学生の頃にテープで録音して学生になるまで聞いていたので、今ではいつ切れてもおかしくないデリケートな状態になっている。(余談2)
 
 しかし映画を観たのは高校生の頃で、「SHALL WE DANCE」を聞いてから10年近く経っていた。もし小学生の頃に観ていたら、文句無く感動していただろう。海外のことをあまりよく知らない人間にとっては、映画のタイ国はアジアのどこかの架空の王国でしかない。不快感も違和感も持たないどころか、坊主頭のユル・ブリンナー氏が二枚目半的に格好良くてコミカルだった。
  
 しかし観た年齢が悪かった。しかも私はアジアの歴史に興味をもつ人間だったので、なお印象が悪かった。アジア人として観てしまうと、どうしてもハリウッドのアジア蔑視を看過できなくなってしまう。
 というのも、舞台をタイではなく日本に置き換えれば解ると思う。幕末明治維新に少年の明治天皇に金髪碧眼の美少女が家庭教師としてやってきて、天皇に「進んだ西洋文明」を吹き込み、プラトニックではあるが天皇と家庭教師に恋愛関係になり、やがて江戸幕府を打倒するようそそのかし、明治維新と日本の近代化はその若い白人美少女の家庭教師一人の手柄で成し遂げられたかのような内容の物語だったら、果たして日本人は穏やかに「所詮は映画だから」と受け流せるだろうか?
 やはり、政府や宮内庁から正式に抗議声明がなされ、右翼だけでなく左右文化人も新聞やテレビで酷評し、一般の保守系市民がアメリカ大使館や領事館へデモを行うだろう。実は「王様と私」という映画の内容は、当事国にとっては神経を逆撫でするものである。
 
 ハリウッドは罪な世界だ。観客を感動させるツボを熟知し、感動させるための優秀な技術を持った監督や脚本家やスタッフ・俳優を揃えている。内容が人を小馬鹿にしたデタラメだらけの無茶苦茶の偏見と誤解と蔑視と悪意に満ちたものでも、「名作」にしてしまう。その魅せ方は当時も今も素晴らしい。
 観客にとっては、割り切って素直に感動するべきだろうか? いや、珍作を創らせないために批判の目も持たなければならない。本当の傑作・名作とは国境を越えて評価されるものだからだ。たとえ、敵国や当事国が観ても・・。
 
(余談1)ラストで王様は病で死ぬので、映画では逆三角形の逞しくて若々しいユル・ブリンナー氏が病床にいるのが不自然でならなかった。物語としても唐突な展開で、呆気に取られたのを覚えている。
 しかし、晩年に出演した舞台では説得力があっただろう。 
 
(余談2)リメイク「アンナと王様」でジョディー・フォスター氏演じるアンナは、教育熱心なキャリアウーマン的な役柄だった。
 このデボラ・カー氏のアンナは良妻賢母型の生真面目で純情で可愛らしい婦人だった。
 ジョディー・フォスター氏と周潤發氏の「アンナと王様」は、この作品に比べては時代考証に気を配った佳作である。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆☆ 秀
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
【受賞】アカデミー賞(主演男優賞)(1956年) ゴールデン・グローブ(作品賞(コメディ/ミュージカル))(1956年)
 
晴雨堂関連作品案内
アンナと王様-特別編- [DVD] アンディ・テナント

 
 

 
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