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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「幸福の黄色いハンカチ」 家族と一緒に癒されよう〔24〕 

幸福の黄色いハンカチ」 
ロードムービーの手垢定番なのに名作。

 

 
【原題】
【公開年】1977年  【制作国】日本国  【時間】108分  
【監督】山田洋次
【原作】ピート・ハミル
【音楽】佐藤勝
【脚本】山田洋次 朝間義隆
【言語】日本語 
【出演】高倉健(島勇作)  倍賞千恵子(島光枝)  武田鉄矢(花田欽也)  桃井かおり(小川朱実)  たこ八郎(帯広のヤクザ)  太宰久雄(旅館の親父)  小野泰次郎(牧場の主人)  岡本茉利(ラーメン屋の女の子)  笠井一彦(検問の警官)  渥美清(渡辺課長)
   
【成分】泣ける 笑える 楽しい 切ない コミカル 70年代後半 北海道 夕張 ロードムービー
                           
【特徴】山田洋次監督作の名作ロードムービーとして名高く、今でもどこかの映画館やローカルTV局で上映されている。武田鉄矢氏の映画デビュー作としても知られている。70年代末の北海道の風土情緒が懐かしい。晴雨堂は公開から2年後に中学校の課外授業で鑑賞した。
 今どきのモラトリアムのモテナイ君と傷心旅行中の若い女性と刑期を終えたばかりの中年男性が出会い、北海道の自然をバックに3人の珍道中が始まる。
 「男はつらいよ」の寅さんが警察署の課長役で登場。 
    
【効能】笑いと癒しで心が和む。小学校高学年以上の子供を持つ家族で観ると最適。ラーメンが食べたくなる。
 
【副作用】凶暴性のある主人公に共感できない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
中学生時代の思い出の佳作。
  
 初めて観たのは中学生の頃だった。教育委員会や教職員に寅さんファンが居たのかどうかは知らないが、なんと学校の課外授業として鑑賞したのだ。全校生徒が学校と隣接している市民会館へ移動し鑑賞した。
 
 課外授業だから道徳的で説教じみた内容かと思いきや、仁侠映画の高倉健氏が出とる、金八の武田鉄矢が出てる、浮浪雲の桃井かおりやんか、と白けムードが吹き飛んだ。(余談1)
 武田鉄矢氏(役名割愛・敬称割愛)は今でいう「モテない君」的モラトリアムな若者役、金八先生をチャラ男にした感じだ。失恋した憂さを晴らしに仕事を辞め車を買って北海道へ旅立ち、釧路港でナンパしまくる。まずこれで会場内に笑いが起こった。(余談2)それに引っかかる桃井かおり氏も傷心旅行の雰囲気がある。

 高倉健氏は服役を終えたばかりの中年男性、長身で頑健、無口で暗い顔、近寄り難い雰囲気の彼は大衆食堂に立ち寄りラーメンとカツ丼とビールを注文する。その食べ方が凄まじい。久々のシャバの飯を貪り食う。(余談3)
 観光地を巡るぎこちない鉄矢とかおりのカップル、たまたま通りかかった健さんが2人の記念写真を撮ってあげたことがきっかけで3人のロードムービーが始まる。
 
 最後まで観終わった中学生時代の私は、しみじみ人の縁の大切さを考えた。 
 ラスト、元妻が住んでいる夕張に戻った健さんは後部座席でうつ伏せの様に頭を抱えていた。外の景色が見れない。もし鉄矢とかおりに出会わなかったら、夕張にすら足を向けられず、どうせ駄目だと札幌や東京へ流れてしまったはず。
 妻役の倍賞千恵子氏は健さんの姿を視認すると泣き出した。健さんの性格を知っているだけに、黄色いハンカチがよく見えるように何十枚も掲げて渾身の意思表示をしたが、それでも夕張を素通りして札幌や東京へ行ってしまいかねない不安があった。
 
 背中を押すのが鉄矢だけだったら健さんに一喝されて終わりだったろうし、かおりだけだと健さんの陰のある表情と厳つい風体に惹かれていたので、そのまま成り行きで男と女の爛れた関係になったかもしれない。
 黄色いハンカチを観なかったら、鉄矢もかおりも健さんも過去を徒に引き摺る生活を今後も続けていく事になるだろうし、千恵子にとっても黄色いハンカチが幸せの象徴から忌まわしい色へと変化するかもしれない。
 
 蒼い青空が似合う明るくて爽やかな大団円、一番ベストのラストに安心した。今観ても人の縁というものを省みてしまう。中学生の頃はラブコメ感覚だったが、今の私はこれまで出会った友人知人の顔が浮かんでしまう。
  
(余談1)「浮浪雲」はジョージ秋山氏の代表作。スケベな思春期男子中学生の間で評判の青年漫画だった。主人公は侍崩れの雲助の親方、飄々とだらけた着流し姿で女遊びをする。実写ドラマ化され主人公を渡哲也氏、その妻を桃井かおり氏が扮した。
 
(余談2)港でのナンパ場面で、背景に労組運動のデモ行進が映っている。中学生の頃は見過ごしていたが、大人になってビデオで観ると「インターナショナル(万国で普及している労働運動の歌。一時期ソ連の国歌だった)」を歌っている事にビックリした。
 今でも世界各地の労働運動で歌われていて、メロディは共通なので諸外国からの応援者と仲間意識を盛り上げるために歌われる。日本では社民党系の議員候補者の選対事務所立ち上げに合唱される。
 山田監督のことだから、釧路港シーンは70年代後半の時代変化を描写しているのだろう。
 
 後に武田鉄矢氏は当時を振り返って、桃井かおり氏とは犬猿の仲で、カメラの外では喧嘩ばかりしていたそうだ。桃井氏は既に若手女優としてキャリアがあったが武田氏は無く、桃井氏の目には武田氏を生意気で馴れ馴れしい奴に見えたそうである。
 2人の関係を修復させようと気を遣っていたのが高倉健氏で、3人で食事に連れて行ったらしい。
 
 鉄矢がかおりのところへ夜這いを仕掛け、「私、処女じゃないもん!」と抵抗するかおりに「俺だって処女じゅないもん」と半ケツで覆いかぶさろうとした場面は、生徒全員大爆笑だった。まさか中学校の課外授業でこんなシーンが見れるとは。教職員の英断に感謝した。
 
 物語後半、寅さんの渥美清氏が似合わない警官姿で登場したのも笑いが起こった。ボサボサ頭が警官らしくないので、観ている側は安心感を持つ。俳優としてはプラスではないかもしれないが、渥美清=寅さんが定着していたのだ。
  
(余談3)映画公開から十年後、北海道をチャリンコで旅行した時にこの食堂の場面を思い出しながらサッポロラーメンを食べた。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 佳作

 
【受賞】第一回日本アカデミー賞最優秀作品賞 毎日映画コンクール日本映画大賞


  

 
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