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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「1945戦場への橋 -ナチス武装戦線-」 社会を冷笑したい時に〔38〕

1945戦場への橋 -ナチス武装戦線-」 
ドイツ版「わだつみの声」か。

 

  
【原題】Die Brücke
【英題】THE BRIDGE
【公開年】2008年  【制作国】独逸  【時間】97分  
【監督】ウォルフガング・パンツァー
【原作】マンフレッド・グレゴール
【音楽】フィリッポ・トレッカ
【脚本】ウォルフガング・キルヒナー
【言語】ドイツ語 一部イングランド語
【出演】フランカ・ポテンテ(-)  フランソワ・グースケ(-)  ラース・シュタインホーフェル(-)  ロベルト・ホーラー(-)
   
【成分】悲しい スペクタクル パニック 勇敢 絶望的 切ない かっこいい 思春期 ナチスドイツ 第二次大戦 1945年 南ドイツ
                             
【特徴】ドイツの有名な反戦映画でベルンハルト・ヴィッキ監督の「橋」(1959年公開)のリメイク。本作はTV映画だったと思う。残念ながらB級娯楽戦争活劇を連想する邦題を付けられているが、原版や原作はNHK教育テレビが取り上げそうな硬派の反戦作品である。
 
 ヴィッキ監督は余計な枝葉を削り落としてシンプルな構成で少年たちの一途な気持ちと戦争をする大人たちの狡猾な非情を観客たちに訴え迫るが、このリメイク作は娯楽性を添加し過ぎの嫌いがある。例えていうなら、ポール・マッカートニーがギターの弾き語りのように歌う名曲「イエスタデー」をキーボードやエレキギターなどで壮大な音色を付け大袈裟なこぶしをきかせた歌いかたでカバーするようなものか。
 ミリタリーマニアが喜びそうな銃器が多数登場する。「ボーン」シリーズや「チェ」に出演して世界的著名な俳優になったフランカ・ポテンテ氏がヒロインとして出演。 
    
【効能】大人たちの狡猾さと思春期少年たちの融通の無さに社会の構図を学ぶ。ハリウッド製映画と違ってドイツ軍の軍装や火器が正確描写なのに感動。
 
【副作用】主題とは直接関係なさそうな枝葉が多くて、原版の「橋」を汚された思いがする。連合国側兵士を行儀良く描いているのに政治的意図を感じる。こないだまでギャルだったフランカ・ポテンテ氏が熟女になっていたので寂しい。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
ミリタリーマニアにはお宝映像か。
  
 日本に相当する映画があるとすれば、強いてだが「きけ、わだつみの声」か。
 
 1945年大戦末期、既にベルリンは陥落間近の情勢、田舎町に疎開してきた少年たちは、各自割り当てられた家にホームステイのような形で住み込み地元の高校に通う。そこへ緊急召集がかかる。主人公たち級友7名は新兵として地元幹線道路の橋を守るよう命じられるが・・。
 
 断片的にしか観た事がないが、西ドイツ制作の有名な反戦映画に「橋」がある。1959年の作品で、スタッフや俳優たちに大戦の記憶が生々しく残っており、白黒映画ということもあってか、リアルな内容に出来上がっていたように思う。本作はどうやらそのリメイクのようだ。
 このリメイク作は映画ではなく、TVドラマとして制作と聞いている。映画としてみれば低予算戦争映画だが、ドラマとしてみればかなり力を入れた内容だった。(余談1)

 しかしながら、原版は反戦映画として知られているが、本作では前半に多感な思春期のセックス場面を多く取り入れて、やや娯楽性が勝っているような感がする。そのうえ日本版DVDのタイトルが「1945年戦場への橋 ナチス武装戦線」などとB級娯楽戦争アクションを思わすふざけた邦題をつけられて、些か作品に対して失礼な格好だ。
 とはいえ、TVドラマ規模で制作された事を考えると、構成はまとまりがあるし、戦闘場面も充実しているし、小賢しい大人たちに振り回される主人公たち少年兵の対比がややステレオタイプながらよく出ていて、反戦らしさが滲み出ている。(余談1)

 なにしろ主人公たちが兵役に就く必要は既に全くない。なのに事務的に召集されてしまう。すぐに若い将校は少年たちを家族のもとへ返すよう教育係の老伍長に命ずるが、予備役で召集されたらしい老伍長は怠慢傲慢いい加減で、少年兵たちに橋の守備を命じたまま逃げてしまう。(SSに見つかって射殺されてしまうが)
 帰れる事も知らず、少年兵たちは橋に留まり、そこへ将軍が通りかかって橋の死守を命じてしまう。橋から少年たちの家は近い。もう戦争が終わる事が判っている親たちは橋の少年たちに帰れと説得するが、将軍直々に命じられて意気に感じている主人公たちは子供扱いする親たちに反発して帰らない。連合軍側も守備をしているのが少年と判ると、戦闘をやめるよう説得する。
 少年たちは意地になって橋を守り続けるが、実はその橋は爆破する予定だったのだ。善良な大人たちの説得は子供扱いにしか聞こえない悲劇。親や恋人が見守る前で戦争をする悲劇。
 
 本作はドイツのTVドラマなので、出演者の大半は日本では知られていない俳優で占められている。有名俳優はただ1人、生徒と関係を持ってしまうヒロインの女教師役に「ボーン」シリーズでハリウッドに進出したフランカ・ポテンテ氏が演じている。
 
(余談1)アメリカの戦争ドラマ「コンバット!」をちょうど逆にしたような雰囲気だ。連合軍兵士もドイツ人俳優が演じているわけだが、流暢な英語台詞を使っている。「コンバット!」ではドイツ語が話せる俳優が限られているのか、アメリカ人俳優が演じているためか、簡単な日常ドイツ語だけで込み入った会話はしない。
 
 またハリウッド映画に登場するドイツ兵の軍服は大戦末期であるにも関わらず、晴れ着のように調っている。特に物資不足で軍靴は短靴と脚絆になっているはずなのに、ハリウッドでは贅沢に七分長のジャックブーツを履いているのだが、本作は史実どおりだった。
 またMG34や42などの重機関銃が登場したり、狙撃用のKar98k歩兵銃や対戦車のパンツァーファウスト、連合軍のトンプソン短機銃など、第二次大戦の兵器マニアが見れば喜ぶ場面も盛り沢山だ。



晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作


晴雨堂関連作品案内
橋 [DVD]  ベルンハルト・ヴィッキ監督 1959年 本作の原版にあたる作品。 
 

 
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コメント

ドイツ人俳優は英語が上手い

ドイツ人俳優は英語上手いですね。

往年の名脇役カール・オットー・アルベルティ、最近ではダイアン・クルーガー、クリストファ・ヴァルツなど。

そんな一流どころでなくても英語が上手い国民性か。かの高名なるエルウィン・ロンメル元帥は通訳なしで連合軍捕虜と会話が出来たそうです。

やはり優秀民族だ。

ドイツ人が優秀かどうかは別にして・・。

うろぱす氏へ

> そんな一流どころでなくても英語が上手い国民性か。かの高名なるエルウィン・ロンメル元帥は通訳なしで連合軍捕虜と会話が出来たそうです。

 ドイツ語とイングランド語は親戚ですからね。親戚というより、イングランド語の直系先祖みたいなものがドイツ語かもしれません。
 ドイツ語からみれば、イングランド語は文法も発音も簡単ですから。

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