FC2ブログ

ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「鑓の権三」 カップルで考えよう〔11〕 

鑓の権三」 
侍・郷ひろみの魅力開花。

 

  
【原題】
【公開年】1986年  【制作国】日本国  【時間】126分  
【監督】篠田正浩
【原作】近松門左衛門
【音楽】武満徹
【脚色】富岡多恵子
【言語】日本語   
【出演】郷ひろみ(笹野権三)  岩下志麻(市之進女房・おさゐ)  火野正平(川側伴之丞)  田中美佐子(伴之丞妹・お雪)  加藤治子(お雪の乳母)  津村隆(浅香市之進)  水島かおり(市之進娘・お菊)  浅川奈月(市之進娘・お捨)  大滝秀治(岩木忠太兵衛)  三宅邦子(忠太兵衛女房)  河原崎長一郎(忠太兵衛伜・甚平)  神保共子(浅香家下女・萬)  不破万作(川側家下男・波介)  竹中直人(権三の同僚・文右衛門)  浜村純(道具屋の主人)  小沢昭一(船頭)
   
【成分】ゴージャス 勇敢 知的 切ない セクシー 松江 元禄もしくは享保 不義密通
                           
【特徴】近松門左衛門原作「鑓の権三重帷子」の映画化。不義密通の濡れ衣を着せられたエリート武家の男女の転落を描く。
 アイドル少年から渋みのある大人へとキャラを変えつつあった郷ひろみ氏が主演。この時期の郷ひろみ氏は大河ドラマで赤穂浪士の片岡源五右衛門高房を演じるなど、端正な二枚目侍を演じる機会が多かった。ヒロインは篠田映画なので岩下志麻氏が指定席。
 時代は、原作の初演が享保年間なので1710年代と考えるのが普通だが、映画で使用されるカツラや衣装は元禄時代仕様である。元禄時代は17世紀末から18世紀初頭にかけての期間。 
    
【効能】元禄風のファッションとエリートたちの破滅美に萌え。
 
【副作用】アイドル男優とベテラン女優の濡れ場に複雑な気分。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
絢爛破滅美
  
 篠田正浩監督作で私のお気に入り時代劇はこれだ。華やかな元禄文化と破滅へ突き進むエリート武家の男女、近松門左衛門世界がよく出ている。
 また人気アイドルから渋みを効かせた男優へと舵をきりだした郷ひろみ氏の侍ぶりも評判だった。なんでも、篠田監督はまだ美少年アイドルだった頃の郷ひろみ氏を見て「この子が30歳くらいの大人になったら権三を演じさせたい」と思ったとか。
  
 藩で小姓(余談1)をしていた権三、文武両道に秀でた美男子。泰平の世、今以上の出世を望むなら鑓だけではなく茶道なども極めておかねばならない。奥儀を伝授してもらおうと茶道の帥浅香市之進が妻おさゐのもとを訪れる。
 夜に訪問するというのが誤解の元、しかも些細な事で口論になり、激昂したおさゐは権三の帯を奪い、自分の帯を解いて権三に女物の帯を締めろと怒鳴る。それを外から目撃した権三のライバル伴之丞が踏み込み、2人の帯を奪って真夜中の町を「不義密通だ!」と連呼しまくる。
 不義密通の汚名は市中に広まり身の破滅を悟った権三とおさゐは手元にある金を懐にいれるや着の身着のまま逃げ出す。家名に泥を塗られた浅香家はまず伴之丞の首をとり、権三たちを追う。
 
 今でこそ存在自体が「カッコ良いけど何か変」という二枚目半キャラだが、御存知のように50代とは思えぬ筋肉美、アイドル時代からストイックに鍛錬する芸能人だった。
 本作でも一見すると線の細い貴公子のようだが、片袖脱いだときに魅せる逞しい大胸筋と三角筋、道場で重い鑓を軽々と振り回す鑓の型、権三は鑓の使い手なので相当特訓したようである。
 ヒロインおさゐ役の岩下志麻氏とラブシーンも評判だった。不義密通の疑いをかけられ逃避行するのだが、長い逃亡生活をおくるうちに地位も名誉も失った2人は「夫婦(めおと)」として新しい生活を切り開こうと決意し「まぐわう」のだが、ベテラン女優とアイドル出身男優の共演に不釣合いさは無かった。(余談2)
 
 このころの郷ひろみ氏は苦悩を浮かべた破滅美が似合う。
 
(余談1)「小姓」は大身旗本や大名・将軍の側に侍り雑用をこなした役職。将軍家では将来の側用人(秘書みたいなもの)候補生であり、大名家では藩によって異なるが将来の家老・中老候補、大身旗本では将来の用人(家令か秘書)か、もしくは養子に出せなかった庶子の居場所。
 
 舞台となったのは現在の島根県にあった松江藩。従四位クラス(普通の大名より2段ほど上、御三家より下)の親藩大名が治めた。元禄時代は将軍家に等親が近い越前系松平家が領主。石高は18万石強。その大名家で表小姓をしていた権三だから、けっこう偉いさんだ。

(余談2)もし今リメイクとなれば、私は草刈民代氏と錦戸亮氏が似合うかなと思う。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
【受賞】ベルリン国際映画祭(銀熊賞(調和作曲))(1986年)
 
晴雨堂関連書籍案内
国性爺合戦・鑓の権三重帷子 (岩波文庫) 近松門左衛門


 

 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
117位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
58位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク