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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「坂の上の雲」(3) TVドラマ評[四十五] 

リアル再現の旅順
 
【雑感】いよいよ「坂の上の雲」も大詰となってきた。先週は友人が参加したアートイベントに顔を出したので本放送が観れず、土曜日昼の再放送を見た。
 
 CGというモノはつくづく大したものだ。CGがあれば、撮れない絵はない。旅順の風景がリアルに再現されている。旅順の荒野を大勢の日本兵が散開して進撃する。それをロシア軍が機関砲で乱射。その光景を後方の野戦陣地から柄本明氏ふんする乃木将軍が望遠鏡で眺める。俯瞰で観たように広がる旅順の荒野を這い回る豆粒のような日本兵。
 一昔前ではこんなリアル映像を描写するのは無理だった。いや、10年前ならハリウッド映画のように銭をかければ可能だった。しかし一テレビドラマではありえない。
 かつて角川春樹氏は巨費を投じ自らメガホンをとって90年代の初めに上杉謙信を主人公にした「天と地と」を制作、日本では川中島の合戦を再現できる土地もなければエキストラも集まらないということで、わざわざカナダの平原でロケーションをやった。
 日本ではどんな奥深い山でも電線や鉄塔があるので、次第に時代劇も衰退の傾向を辿っていったものだ。だが、CGがある今は違う。

 それとCG以外にもう1つ特筆すべき要素がある。邦画だけでなくハリウッド映画にもその傾向があるのだが、「晴れ着の戦争映画」と私は呼んでいるリアル感の無さ。もっと汚くヨレヨレになっているはずなのにパリッとした軍服で戦っている違和感。
 ハリウッド映画でよくやる間違いはドイツ軍の軍服である。大戦末期でもドイツ兵たちは贅沢な軍装品を身に付けているのである。
 大戦末期になると被服工場が破壊されるなど生産力が激減し、そのため兵卒のカラーが簡素化されたりポケットのタックが無くなったり肩章のデザインが変わった。中でも大きな違いはジャックブーツである。大戦中期まで兵卒は七分長の黒のごついライダーブーツのような長靴を履いていたのだが、末期では単価の安い短靴と脚絆に変わった。ハリウッド映画では末期でも全員ジャックブーツを履いているのである。

 本作の場合はリアルだ。以前、観た映画に仲代達矢氏主演「二百三高地」がある。これも舞台は同じ旅順の激戦地。かなり壮大で迫力ある作品に仕上がっているのだが、違和感も強くあった。それは兵士たちの衣装が小奇麗なのである。
 私は当時の写真なども見ている。前線の塹壕や野戦陣地にいる将校や兵卒たちは、とても映画にあるようなこざっぱりとした格好はしていない。軍服はヨレヨレ、軍帽も型崩れで人民帽みたいになっている。
 その点、本作の場合はかなりリアルに演出している。白黒映像にしたら当時の光景と瓜二つだろう。かつての黒澤映画のように、雨や泥や汗の描写に気を配っているのも特徴だ。背中や首のカラーに汗染みが浮き出ていたり、乃木が履いている白の乗馬ズボンが薄汚れていたり。
 CGの再現力に目を奪われがちだが、細かいメイクの部分も当時の体臭を再現しようとする制作陣の意気込みを感じる。
 

 
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いいですよね、坂の上の雲。
軍服の背中がじっとり濡れているところまで
細かい演出がされていて。
被弾して吹き飛ばされるところもリアルだし。
いっそう悲惨さが感じられます。
今後は冬ですが、そこの悲愴感もリアルなん
だろうかと今晩期待しています。
[ 2011/12/11 07:43 ] [ 編集 ]
おっと! A君だったか。コメントタイトルから、エッチ系DM的コメントやと思うた。

 今晩はちっくと忘年会に顔を出す予定なので、またしても「坂の上の雲」が観れない。また今週の土曜日は休日出勤の可能性が高いから、再放送も観れないかもしれない。残念。
 
 昔さだまさしが主題歌を歌った「二百三高地」よりもリアル映像ですよ。バルチック艦隊との日本海海戦が楽しみです。
 しかし、この日露戦争の勝利を体験した二十歳前後の若者たちが、後に日中戦争や第二次大戦を主導していく事になるのですから、怖いですね、勝ち戦は。

> いいですよね、坂の上の雲。
> 軍服の背中がじっとり濡れているところまで
> 細かい演出がされていて。
> 被弾して吹き飛ばされるところもリアルだし。
> いっそう悲惨さが感じられます。
> 今後は冬ですが、そこの悲愴感もリアルなん
> だろうかと今晩期待しています。
[ 2011/12/11 13:00 ] [ 編集 ]
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