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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

なぜ年賀状を書かなくなったか。 

年賀状は優れた日本の風習、
しかし私は止めた。

 
【雑感】クリスマス気分とともに、年賀状の季節となった。連れ合いは11月中に書き上げた。彼女は得意の書道を活かした図柄で毎年30枚ほど書く。

 私はというと、以前は300枚以上描いていた。高校生時代に漫画を描いていたので、その当時からの習慣で自分のキャラを登場させて、絵の中でズッこける。けっこう可愛らしくハートフルな絵柄ゆえ、もらった人は無骨な私が描いたとは思わず「奥さんが描くイラスト上手ですね」などと感想を寄せてきたものだ。

 さて、数百枚も描いていたのに、今は一枚も描いていない。どうしても書かなければならない相手には連れ合いが代わりに書いてもらっている。

 
 なぜそうなったか。一番の理由は市民運動から足を洗ったからだ。
 年賀状は便利な風習で、虚礼廃止とばかり否定する輩もいるが、年に一回の顔繋ぎ、音信を断つ気はないが頻繁に交流する気もない、あるいは普段は違う業界に身を置いているゆえ滅多に会えない間柄でも、一年生き延びた事を確かめ合う。音信のない人から唐突に手紙が届くと何か魂胆があるなと疑うが、年賀状なら抵抗感も違和感もない。人脈確保には非常に便利な習慣だ。特に営業マンや政治活動する人にはピッタリのシステムである。

 しかし私は止めた。運動をやっているとき、人脈は様々な運動家たちの他、国会議員やジャーナリストや弁護士など、一介のワーキングプアの工場労働者らしからぬ広がりをみせた。それが逆に物心両面で負担になってきた。
 金銭的にはただでさえ運動への出費で家計を圧迫させている。銭儲けのためにやっているわけではないから、汗水流して稼いだ銭はザルから流れていくように消えていく。連れ合いとは市民派の市議候補の選対事務所で知り合ったので、当然の事のように彼女は運動のために銭が消えていくことを看過してくれたが、なかなか蓄えができないので内心は不安に思っていたかもしれない。年賀状の葉書代出費だけでも二万円は超える。
 今は運動から足を洗ったおかげで、その分の金銭的負担が無くなり、無くなった分を高額の不妊治療に振り分ける事ができたから辞めて正解だと思った。
 

 もう1つ、私の性分が影響している。よく誤解されるが、私は一種の博愛精神を持っている。誰彼と分け隔てなく接しようと努めてしまう癖がある。一見、良き心がけのように見えるが、裏目に出たこともしばしばだ。何しろ敵対者に対しても友好的に年賀状を送るからだ。
 険悪な関係になっても私は送っていた。当時の私は送るのを止めてはいけないと思い込んでいた。運動のテーマ自体が従来の「自由」「平等」「博愛」に加えて、「弱者解放」「差別撤廃」「多様性社会の実現」「世界平和」だった。それら運動を担う者の端くれの私が、最悪の険悪状態になったぐらいで年賀状すら出さなくなるという事は断じてあってはならぬ、これは責務であると思い込んでいた。

 今でこそ笑い話だが、敵対者への年賀状が誤解を生んでしまった。相手からにすれば私の信条や思い込みは知るよしもなく、単なる嫌がらせと解釈する。特に男性より女性にその傾向が強かった。たぶん、私の存在そのものがおぞましいのだろう。しかしそれは彼女が日頃主張している主義への背信行為を自らやっている事になるので、いわば自分自身の主義主張が真であるかどうかが試されている局面だったのだが。
 風の噂で「セクハラ」などと批難し、「鬱陶しい」「ほっといてくれ」とかボヤいていたようだ。心療内科的には私が遠慮するべきだったのだが、当時は「心療内科」という単語の知名度は低く私もよく知らなかった。日頃は偉そうに世間様を批判する彼女ならば尚更こんな事ぐらいでつまずくようではいかん、何が世界平和だ、笑止な!と私も絶望を感じた。
 今にして思えば詰まらないエネルギーの使い方だった。

 これが運動を辞めた原因ではない。主原因は運動家によくあるハードなもので、けっこう笑い事ではない大きな事だった。年賀状の一件は原因のうちには入らないが、ただこういった取るに足らぬ日常が少しずつ私の心の抵抗力を奪っていったかもしれない。

 ある年から、年賀状を描くのを止めた。急に描く手が動かなくなった。それでも年賀状を送ってくれた友人知人に返事は書くようにしたが、ほどなくして運動から足を洗い、年賀状を描かなくてはいけない動機の大半が消滅したので全く描かなくなった。

 かつての正月は連れ合いの何倍もの年賀状が届いたものだが、今は連れ合いのほうが多い。全く描かなくなって既に久しいが、それでも未だにかつての仲間から十数枚はくる。ありがたい話だが、もはや返事は描かない。


 
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