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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「坂の上の雲」(4) TVドラマ評[四十六] 

ついに日本海海戦、
単にCGだけでないリアルさ。

 
【雑感】坂の上の雲」最大の魅せ場、日本海海戦が始まる。
 
 CGによるリアル再現はよく指摘されるし、私も論評した。円谷英二監督が特撮を手掛けた「日本海大海戦」を連想して比較される方が多いと思うが、もはや特撮とCGは別物だ。別の技術であり、全く違う味わい方だ。特撮は模型やジオラマを如何に本物らしく魅せるか、その職人芸を楽しむものである。CGは本物のように見えて当たり前、リアル海戦映像で話題になった佐藤純彌監督「男たちの大和」から既に数年、CGはさらに桁違いに進歩しているのだ。それより俳優の演技や台詞にリアル感を損なうものがあっては折角のCGも台無しになる。

 本作「坂の上の雲」はTVドラマらしからぬ重厚感がある。リアルな奉天会戦での塹壕の様子や野砲の発射風景などは、むかし見た日露戦争当時の資料写真そのものだった。
 TVドラマにしては予算をかけているとは思うが、少なくともハリウッドのスペクタクル映画よりは遙かに低予算、エキストラの数も限られているはず。実際は僅か数十人の兵士役が演技しているだけだろう。砲弾で吹き飛ばされた兵士はメイクを直して別の場面でまた突撃をしているはず。それを何千何万もの人間が動員されているように魅せるのは、単にCGの力だけでなくカメラワークの力でもあり、作品意義を理解したエキストラたちの熱演でもある。従来の日本製映画やドラマと違って群集シーンを丁寧に撮っている。

 そして海軍の描写。東郷平八郎の艦隊がバルチック艦隊に挑む場面は圧巻。バルチック艦隊を指揮する提督ロジェストウェンスキー中将は軍服に派手な肩章や勲章をつけ、堂々とした体躯と威厳のある所作。対する日本の連合艦隊を指揮する東郷提督はどうみても華奢な老人、眼前にバルチック艦隊を見据え浪しぶきを浴びながら指揮塔に立つ東郷の背中は気の毒にほどに弱々しい。
 この対比が、巨大なバルチック艦隊に立ち向かう小さな古武士の矜持が滲み出て美しい。

 ところで、ロジェストウェンスキー中将は「坂の上の雲」の原作でも凡将の扱いだが、実際はかなり有能な提督だった。なにしろ平民出身である。
 世界の軍隊の中で比較的身分の敷居が低かった旧日本軍でさえも、この当時の将校は士族出身者で占められていた。「坂の上の雲」の台詞を聞いて気がついた人も多いと思うが、東郷らは薩摩弁、児玉や乃木は長州弁、主人公秋山真之の上官島村速雄は土佐弁といった具合に明治維新の雄藩薩長土肥からの人材で占められている。
 ましてや帝政ロシアである。貴族でないロジェストウェンスキーが海軍士官になるだけでも大変なのに、提督となって大艦隊を率いるのである。無能な人間では勤まらない。
 

 
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