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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

レビューを否定する者に作品公開の資格なし ミカエル晴雨堂の作法〔4〕

映画とは「藝術のゼネコン」である。
映画レビュー(ユーザーの声)を否定する者に 
作品を公開する資格は無い!

 
【我的想法】映画レビューを書いていると、ときおり耳にする言葉がある。「無意味な事すんなや」「自分では作品つくらんくせに偉そうに」「暇人め」などだ。

 そもそもレビューとは何ぞや。ローマ字で書くと「review」となる。(余談1)評論とか論評を意味する英単語だ。
 
 実は私も学生の頃までは評論というものは嫌いだった。評論家は嫌いな職業ベスト5に入れていたほどである。なにしろ、おのれは作品をつくらんくせに他人様の作品を偉そうにあーだこーだと知っとるげに言葉ならべる輩は社会のクズだとさえ思っていた。
 しかし加齢とともに考え方も変わっていく。ふとした事で学生の頃までの認識は誤りだと気がついた。
 
 まず、出発点に立ち返ろう。創作者は何のために創作するのか? 何のために作品を発表するのか?

 他人に見せない創作(余談2)もあるだろうが、多くは不特定多数の人間に魅せる事を前提としている。大勢の人の前で「自分」を表現する動作が創作と言ってもよい。他人に見せるということは、他人からの反応を受ける事も付帯条件である。公開するということは、世間からの反応に晒される事を覚悟の上であると見なす。それが嫌なら、自分独りだけで閉じ篭って独りで創作を楽しめば済む事だ。
 
 特に映画の場合は世間の評判が重く圧し掛かる。なにしろ一般的な映画作品は1人で制作できない。監督・スタッフ・俳優・スポンサー・配給会社などなど、実に多くの人々が関わっている。多くの人々が関わっているという事は多くの利害関係が交錯しているという事だ。世間では映画を「総合藝術」なんて呼んでいるが、それは甚だ不正確だと思っている。私は語気を強めて「藝術のゼネコン」であると主張する。
 中でもスポンサーはタダで銭をくれるわけではない。映画を媒体に自社の宣伝を行うのも目的だ。興行成績が悪ければ作品への投資が無駄になる。興行成績が悪くても作品評価が高ければ、藝術に理解のある会社として宣伝になるし、後にブレイクする可能性も残される。爆発的に売れなくても、永く名作として語り継がれれば永く「支援者」として社名が残るのでスポンサーとして万々歳だ。
 
 だから世間の反応は制作に関わった人々にとって貴重な声であり重要なデータである。とりわけ鑑賞者のレビューは、わざわざ何処が気に入ったのか、あるいは気に入らなかったのかを懇切丁寧に説明する奇特な声なのだから、ありがたいと思うことはあっても否定することは断じてあってはならない。レビューを書いてくれるほど気にかけてくれているのだから、「声援」と思って甘受するのが作品公開者の責務である。
 もし、映画制作者にレビューを否定する者がいたなら、その者は無人島で上映会を行うべきだ。世間様に作品を見せる資格は無い。
 
 これは映画に限らず、他の分野の藝術にもいえる事である。いや、藝術だけでなく、私のようなモノづくりに従事している労働者にも当てはまる。世間様からの公的抑圧に何人も逃れられないのだ。
 

(余談1)フランス語の「revue」もある。カタカナで表記すると同じ「レビュー」になるが意味が若干違う。
 元来は英語と同じく批評・論評の意味なのだが、ここでは大衆芸能の意味に転じている。その時代を風刺した歌や踊りを披露する。
 レビューで有名な女優はジョセフィン・ベーカー氏、彼女の作品や生き方には衝撃を受けた。現在のマイクロビキニもビックリの半裸衣装で歌って踊る。時代は1920年代から30年代のフランス、黒いビーナスと呼ばれていた。初めて見た時は彼女の美しさに萌えよりも畏怖を感じたものだ。
 
(余談2)子供の頃、誰彼に見せることなく絵を描く動作が面白くて、片面印刷の広告チラシの裏や答案用紙の裏などに漫画やデッサンを飽きもせず描いていた時代があった。だから、人に見せない創作もありだと思っている。第一鑑賞者は自分自身だ。創作の基本中の基本は「俺がやりたいから」「俺が見たいから」だ。
 基本、作品は処分せずに残す性格なのだが、引越し等の節目で散逸してしまった。
 

 
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