「竜馬がゆく」
今までの竜馬の中では竜馬らしい? 【公開年】1997年
【制作国】日本国
【時間】260分
【監督】脇田時三
【原作】司馬遼太郎
【音楽】 篠原敬介
【脚本】長坂秀佳
【出演】上川隆也(
坂本竜馬) 沢口靖子(おりょう) 西田敏行(勝海舟) 大地真央(坂本乙女) 松本幸四郎[9代目](千葉定吉) 鶴田真由(お田鶴) 赤井英和(西郷吉之助) 松たか子(千葉さな子) 長瀬智也(岡田以蔵) 椎名桔平(武市半平太) 岡本健一(中岡慎太郎) 間寛平(寝待ちの藤兵衛) 石黒賢(桂小五郎) 高嶋政宏(千葉重太郎) 西村和彦(高杉晋作) 袴田吉彦(久坂玄瑞) 篠原涼子(お冴) 大滝秀治(ジョン万次郎) 斉藤慶子(武市富子) 西岡徳馬(坂本八平) 村井国夫(吉田東洋) 池上季実子(お登勢) 小林隆(-) 尾美としのり(後藤象二郎)
【成分】笑える 楽しい 悲しい スペクタクル ロマンチック 勇敢 知的 切ない かっこいい 時代劇 1830年代~1860年代 幕末
【特徴】上川隆也版「
竜馬がゆく」。少し大袈裟な土佐言葉と所作が気になるが、概ね世間が抱いている竜馬らしい竜馬である。
【効能】物事を楽天的に明るく考えられる。絶望の時も明るさで突破できる。
【副作用】大袈裟な土佐人ぶりが不快感。歴史家を中心に「
竜馬がゆく」の竜馬は実像とはかけ離れた存在とする意見多く、眉唾物に見える。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。
上川隆也版坂本竜馬 上川隆也氏(東京都出身)が
坂本竜馬を演じると聞いて、真っ先に期待したのは土佐弁である。上川氏といえば「大地の子」で中国残留孤児役を好演して脚光を浴びた俳優である。実際に中国語を話す人民服姿の上川氏に違和感は無かった。以前に中国語を学んだ経験があるのか、あるいは事前に猛特訓したのか、あるいは中国人俳優が朗読したのを録音して完全に暗記したのか、いずれにせよ綺麗な発音だった。
私は一応高知県が郷里である。30数年を大阪で過ごしているので話し言葉に土佐弁は殆ど出てこないが、耳は覚えている。そのため、これまで様々な俳優が
坂本竜馬を演じられたが、どうしても台詞回しで違和感を感じてしまうのだ。例えていうなら、ぎこちない大阪弁でやたら阪神タイガースを応援する大阪人キャラを「熱演」の東京の俳優。(余談1)
結論を言うと、
坂本竜馬らしく演じられたのではないか? 土佐弁はやはり細かい部分で違和感があるが、殆ど気にならない。例えていうならアグネス・チャン氏の日本語より巧い。オーバーアクションが気になったが、私の親戚もオーバーな人間が多いので、むしろ土佐人らしくて良い。大らかで明るくて人懐っこい自由人がファンの多くが抱く
坂本竜馬像であり、ファンを納得させたり安心させる事には成功したと思う。(余談2)
ただ、不満は多々ある。例えば竜馬の姉役大地真央氏。この作品に限らず大抵は美人女優が扮するものなのだが、実像を考えると演技の心得のある女子プロレスラーが扮したほうが良いのではないか。大柄な女性なので、大柄な大地真央氏は適役なのかもしれないが。
勝海舟が西田敏行氏というのも承服できない。写真の無い時代の徳川吉宗に扮するのはまだ許せるが、現代史に直結している幕末明治維新で写真も多数残っている人物を、全く体型の違う俳優をあてるのはいかがなものか。海舟は痩せ型で彫りが深くて鼻筋が通った容姿で現代の感覚では二枚目にあたる。
他、竜馬を取り巻く女性たちの描写に力を入れすぎたせいか、竜馬を取り巻く政治的環境や政治戦・言論戦の描写を駆け足にしたような感がある。これは司馬遼太郎氏の大長編「
竜馬がゆく」をドラマ化するにあたって大幅な改編を施さねばならなかったためではあるが、竜馬の人物像だけに焦点を当てる作品はこれまでにも多く制作されているので、そろそろリアルな政治ドラマを見てみたいものである。
いずれにせよ、貫禄ありすぎの
萬屋錦之助氏の竜馬や、貧乏臭さを強調した
武田鉄矢氏の竜馬などよりは、
上川隆也氏の竜馬は竜馬らしい。
(余談1)「スケバン刑事」の南野陽子氏(神戸出身?)の土佐弁は許せる。理由は明白、可愛いから。
「ミナミの帝王」の竹内力氏(大分出身?)の大阪弁、関西圏以外の人間なら純大阪弁に聞こえるだろうが、私には特徴のある大阪弁だ。しかし耳障りは良い。大阪には九州・四国から出てきた人が多いので、竹内氏の大阪弁に違和感は無い。
(余談2)いつも思うが、竜馬といえば焦げ茶色の素浪人風だ。しかし実際はどうなのか。書斎の壁には竜馬の写真を貼っている。羽織は省略していて着付けもだらしなくて袴の折り目は消えてヨレヨレだが、黒紋付で縦線入り袴(たぶん色はグレー)だし襦袢は白である。正装に近い改まった服装だ。現代に例えれば、皺くちゃのリクルートスーツにネクタイを緩めたサラリーマン崩れといったところか。
とはいえ、一応ちゃんとした格好であり、時代劇のように素浪人スタイルとは違う。焦げ茶色も、黒が日に焼けて茶色に褪色したものだろうと思う。もちろん写真に写るのでヨソ行きの格好にめかしこんだともいえなくも無いが。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作 晴雨堂関連作品案内竜馬がゆく 5巻BOX [DVD] 萬屋錦之介主演
晴雨堂関連書籍案内竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫) 司馬遼太郎
竜馬がゆく〈2〉 (文春文庫) 司馬遼太郎
竜馬がゆく〈3〉 (文春文庫) 司馬遼太郎
竜馬がゆく〈4〉 (文春文庫) 司馬遼太郎
竜馬がゆく〈5〉 (文春文庫) 司馬遼太郎
竜馬がゆく〈6〉 (文春文庫) 司馬遼太郎
竜馬がゆく〈7〉 (文春文庫) 司馬遼太郎
竜馬がゆく〈8〉 (文春文庫) 司馬遼太郎
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上川隆也版坂本竜馬 上川隆也氏(東京都出身)が
坂本竜馬を演じると聞いて、真っ先に期待したのは土佐弁である。上川氏といえば「大地の子」で中国残留孤児役を好演して脚光を浴びた俳優である。実際に中国語を話す人民服姿の上川氏に違和感は無かった。以前に中国語を学んだ経験があるのか、あるいは事前に猛特訓したのか、あるいは中国人俳優が朗読したのを録音して完全に暗記したのか、いずれにせよ綺麗な発音だった。
私は一応高知県が郷里である。30数年を大阪で過ごしているので話し言葉に土佐弁は殆ど出てこないが、耳は覚えている。そのため、これまで様々な俳優が
坂本竜馬を演じられたが、どうしても台詞回しで違和感を感じてしまうのだ。例えていうなら、ぎこちない大阪弁でやたら阪神タイガースを応援する大阪人キャラを「熱演」の東京の俳優。(余談1)
結論を言うと、
坂本竜馬らしく演じられたのではないか? 土佐弁はやはり細かい部分で違和感があるが、殆ど気にならない。例えていうならアグネス・チャン氏の日本語より巧い。オーバーアクションが気になったが、私の親戚もオーバーな人間が多いので、むしろ土佐人らしくて良い。大らかで明るくて人懐っこい自由人がファンの多くが抱く
坂本竜馬像であり、ファンを納得させたり安心させる事には成功したと思う。(余談2)
ただ、不満は多々ある。例えば竜馬の姉役大地真央氏。この作品に限らず大抵は美人女優が扮するものなのだが、実像を考えると演技の心得のある女子プロレスラーが扮したほうが良いのではないか。大柄な女性なので、大柄な大地真央氏は適役なのかもしれないが。
勝海舟が西田敏行氏というのも承服できない。写真の無い時代の徳川吉宗に扮するのはまだ許せるが、現代史に直結している幕末明治維新で写真も多数残っている人物を、全く体型の違う俳優をあてるのはいかがなものか。海舟は痩せ型で彫りが深くて鼻筋が通った容姿で現代の感覚では二枚目にあたる。
他、竜馬を取り巻く女性たちの描写に力を入れすぎたせいか、竜馬を取り巻く政治的環境や政治戦・言論戦の描写を駆け足にしたような感がある。これは司馬遼太郎氏の大長編「
竜馬がゆく」をドラマ化するにあたって大幅な改編を施さねばならなかったためではあるが、竜馬の人物像だけに焦点を当てる作品はこれまでにも多く制作されているので、そろそろリアルな政治ドラマを見てみたいものである。
いずれにせよ、貫禄ありすぎの
萬屋錦之助氏の竜馬や、貧乏臭さを強調した
武田鉄矢氏の竜馬などよりは、
上川隆也氏の竜馬は竜馬らしい。
(余談1)「スケバン刑事」の南野陽子氏(神戸出身?)の土佐弁は許せる。理由は明白、可愛いから。
「ミナミの帝王」の竹内力氏(大分出身?)の大阪弁、関西圏以外の人間なら純大阪弁に聞こえるだろうが、私には特徴のある大阪弁だ。しかし耳障りは良い。大阪には九州・四国から出てきた人が多いので、竹内氏の大阪弁に違和感は無い。
(余談2)いつも思うが、竜馬といえば焦げ茶色の素浪人風だ。しかし実際はどうなのか。書斎の壁には竜馬の写真を貼っている。羽織は省略していて着付けもだらしなくて袴の折り目は消えてヨレヨレだが、黒紋付で縦線入り袴(たぶん色はグレー)だし襦袢は白である。正装に近い改まった服装だ。現代に例えれば、皺くちゃのリクルートスーツにネクタイを緩めたサラリーマン崩れといったところか。
とはいえ、一応ちゃんとした格好であり、時代劇のように素浪人スタイルとは違う。焦げ茶色も、黒が日に焼けて茶色に褪色したものだろうと思う。もちろん写真に写るのでヨソ行きの格好にめかしこんだともいえなくも無いが。
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☆☆☆ 良
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