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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「1911」 アジア民族意識高揚作品〔4〕 

1911」 辛亥革命百周年記念作 
革命家ジャッキー・チェン

 


【原題】辛亥革命
【公開年】2011年  【制作国】中華人民共和国 中華人民共和国香港特別行政区  
【時間】122分
【総監督】成龍ジャッキー・チェン)  
【監督】張黎
【原作】
【音楽】 ティン・ウェイ
【脚本】王兴东 陈宝光
【言語】中国語 イングランド語       
【出演】成龍/ジャッキー・チェン(黄興)  李冰冰(徐宗漢)  趙文瑄(孫文)  陳冲(隆裕皇太后)  房祖名(張振武)  胡歌(林覚民)  宁静(秋瑾)
孙淳(袁世凱)  姜武(黎元洪)  余少群(汪兆銘)
      
【成分】泣ける 悲しい スペクタクル パニック 勇敢 知的 切ない かっこいい 辛亥革命 中国革命 20世紀初頭 中国 
 
【特徴】辛亥革命勃発から百周年を記念して、中国と香港の合作による歴史超大作。
 本作で総監督を務めるジャッキー・チェン氏は、カンフーアクションを殆ど封印して「マイケル・コリンズ」のリーアム・ニーソンばりの革命家を演じる。
 孫文を演じるのは「宋家の三姉妹」でも孫文を演じ酷似しているとの大評判だった趙文瑄氏、しかも革命の最前線で戦う黄興と違って欧米の資本家相手にロビー活動をする場面が多いので台詞の大半が英語という役柄だ。
 
 ジャッキー・チェン氏にとっても百本目を記念する作品との前評判も大きかったが、当の本人は実のところ何本目かは判らないとコメントしている。 
    
【効能】沸々と身体の底からエネルギーが沸き起こる。革命家ジャッキー・チェンの姿に感涙。
 
【副作用】話の筋が判りづらく登場人物も多過ぎて感情移入できない。退屈で睡眠効果あり。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
ジャッキー・チェンは今の中国どう思う?
 
 最初に述べておくが、中国の現代史に興味が無い人には訳の判らない映画である。辛亥革命の知識が無い人間には、聞き覚えのない固有名詞が沢山でてきて吹替版でも理解に苦しむだろう。映画の構成や演出も、中国現代史に関心の無い人のためには全く合わせていない。
 観終ってから不満を述べるより、そういう方はたとえジャッキー・チェン氏のファンであっても最初から「合わない」と悟って遠慮されるべきである。
 もし、これから中国史に興味を持とうという姿勢の方であっても、敬遠されたほうがいい。本作よりも86年公開の「孫文」や97年公開の「宋家の三姉妹」が話の筋が判りよいので先にご覧になった方がいい。(余談1)


 さて、今年は辛亥革命百周年にあたる。だから記念的映画を中国が制作するのは当然の成り行きなのだが、ジャッキー・チェン氏がその中心的役割を果たすとは。彼が現政権寄りなのは判っているが、どんな気持ちで総監督と準主役を演じたのか? あるいは映画のラストに隠し主張が盛り込まれているのか? そんな事を憶測してしまう。
 
 辛亥革命の経過描写は、私は悪くないと思っている。NHK大河ドラマとて、複雑な社会情勢を描写せざるを得ない幕末明治維新モノは視聴率を稼ぎにくい傾向がある。ましてや権力闘争劇が大好きな中国の話、誰が悪人で誰が善人なのか訳が判りにくくなる。
 辮髪を落として欧米風の七三刈上げ洋装の純粋で一途な若い革命戦士たちの群像、清朝の宮廷で古い制度にしがみつく辮髪の親王や重臣たち、時局を見るのに長け駆け引きの上手い袁世凱、中国から離れて華僑からの資金集めと欧米の財界人へのロビー活動を情熱的に展開する孫文。これら人間模様を戦争場面の間隙に敷き詰める。(余談2)
 
 全編、殆どが戦争といっても過言ではない。20世紀初頭の戦争風景をよく描写している。中国映画なので、戦闘場面のエキストラは人民解放軍、プロの兵士たちだから大砲の発射場面などは手馴れた動きだ。
 ジャッキー・チェン氏もカンフーアクションは封印して、「マイケル・コリンズ」のリーアム・ニーソン氏を髣髴させるような革命家イメージで銃を手にし闘う。しかし、ファンの要望なのか、総監督ジャッキーの意向なのか、ほんの数分だが孫文を狙う暗殺者を偶然見つけてカンフーアクションを展開する場面が挿入された。これはご愛嬌だろう。
 
 本作は正味辛亥革命だけに焦点を絞って、主人公孫文や黄興の一生を描く一代記ではない。ラストは狡猾な袁世凱に権力を譲って下野する。革命尚未成功。(革命、未だ成らず)
 
(余談1)因みにウィンストン・チャオ氏(趙文宣)は「宗家の三姉妹」でも孫文役を務めている。実際の孫文の写真をご覧になれば判るように、ウィンストン・チェン氏は孫文によく似ている。

 「1911」では台詞の中でチラリと日本人協力者の名前が出ただけだが、劉文治氏主演の「孫文」では日本映画人も制作に加わっていたため日本亡命時代のエピソードに時間が割かれている。日本人協力者宮崎滔天は大和田伸也氏が演じた。宮崎邸で恐る恐る刺身を食べる孫文の表情に映画館内は少し笑いが起こった。

 物語の佳境から孫文は背広から人民服へ服装をチェンジする。一説によると、日本の学生服をみて中国の気候に合いそうだと考案された服らしい。孫文の号は中山なので中山服ともいわれている。今でも中国ではかつての人民服を中山服と呼ぶ人がいる。

 因みにジャッキー・チェン氏は黄興と似ても似つかない。年齢も大きく違う。ジャッキーはもうすぐ還暦だが、辛亥革命当時の黄興は40歳前後、いやまだ30代だったと思う。
 フランス革命しかりロシア革命やキューバ革命も、そして日本の明治維新にしても、中核を担ったリーダーたちは30代が多い。まだまだ若くて、それでもってそこそこ人生経験を積んだ者でないと革命リーダーは務まらない。
 
(余談2)幼い皇帝溥儀に代わって全権を担う皇太后役になんと「ラストエンペラー」で溥儀の后を演じた陳沖(ジョアン・チェン)が務めている。これは凄いというか、気を利かせたキャスティングだ。演技派の女優だが、優れた映画監督でもある。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
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☆☆☆ 佳作

 

 
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