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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ブレインストーム」 カップルで癒されたい時に〔19〕 

ブレインストーム」 
ナタリー・ウッドの遺作。

 


【原題】BRAINSTORM
【公開年】1983年  【制作国】亜米利加  【時間】100分  
【監督】ダグラス・トランブル
【原作】
【音楽】ジェームズ・ホーナー
【脚本】ロバート・スティッツェル フィリップ・フランク・メッシーナ
【言語】イングランド語       
【出演】クリストファー・ウォーケン(マイケル・ブレイス)  ナタリー・ウッド(カレン・ブレイス)  ルイーズ・フレッチャー(リリアン・レイノルズ)  クリフ・ロバートソン(アレックス・ターソン)  ジョー・ドーシー(ハル・エイブラムソン)  ジョーダン・クリストファー(ゴーディ・フォーブス)  ドナルド・ホットン(ランダン・マークス)  アラン・ファッジ(ロバート・ジェンキンス)  ジェイソン・ライヴリー(クリス・ブレイス)  ダレル・ラーソン(-)  ビル・モーレイ(-)
      
【成分】不思議 不気味 恐怖 知的 切ない SF 特撮
 
【特徴】特撮の巨匠ダグラス・トランブル監督によるSF名作。
 体験した記憶や感覚をそのまま磁気テープに記録して他人の脳にもダイレクトに同じ体感を経験させる画期的装置をめぐる主人公と軍との闘いを描く。
 研究責任者が急死間際に自分の死の体験を記録する一種の臨死体験場面が評判になった。
 
 撮影中にヒロインを演じていたナタリー・ウッド氏が謎の死亡、撮影現場は警察の対応や脚本の書きかえ等で大混乱した。 
    
【効能】人間の負の可能性と正の可能性を考えさせられる。作中の臨死体験に畏怖を覚える。
 
【副作用】作中の臨死体験に恐怖を覚えトラウマになる。後半は撮影陣の止むを得ない事情で大味感が残る。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
改めてリメイクしてほしい作品。
 
 高校生の頃、ハードSFマニアの級友と一緒に観た。監督は「2001年宇宙の旅」などで著名な特撮職人ダグラス・トランブル氏(余談1)となれば、内容は期待できる。また古くからの映画ファンにとっては「ウエストサイド物語」で可憐なヒロインを演じたナタリー・ウッド氏が中年となって出演している事でも興味深いだろう。
 ただ、残念な事にナタリー・ウッド氏は本作撮影中に不可解な死に方をする。たしか溺死体で発見されたとか、事故説・他殺説が入り乱れ、撮影現場は主役級俳優の不幸で警察やマスコミの対応とストーリーの変更やら生前の映像などを編集で挿入するなどで大騒ぎだったはずだ。(余談2)
  
 主人公はクリストファー・ウォーケン氏扮する若手の有能な研究員、ナタリー・ウッド氏は彼の妻役で物語の前半は夫婦仲はすっかり冷めて離婚寸前の状態である。
 「カッコーの巣の上で」の婦長役で勇名を馳せたルイーズ・フレッチャー氏が主人公の親友で同僚研究員の役を迫力満点に演じる。

 さて、本作は興行成績が芳しくなかったようだが、内容は良かったと思う。人間の体感記憶を電子記憶化して他人もメカを通じて体感する。当時は大容量のハードディスクやDVDの類は開発されておらず、特殊な磁気テープに記録する描写なので見た目は前時代的風景なので、果たして人間の記憶を記録しきれるのだろうかと今の人なら疑問に思うかもしれない。

 しかし他人の記憶を自分もそのままダイレクトに脳で体感するというアイディア、本作では考えうるシチュエーションを概ね描写されている。
 若い研究員が「科学の発展のため」と称して愛人とベットイン、男女の営みを記録して先輩の老研究員に冗談半分でテープを渡す。さっそくテープを楽しむ老研究員だが、身体がついてゆけず失神しているところを主人公に助けられる。
 
 軍が研究に目をつけ、研究所を軍の管理下におこうとする。なにしろベテランパイロットの体感を初心者に与えれば、瞬時に熟練エースパイロットになれるのだ。軍事技術として応用は無限大。軍に擦り寄る研究所のトップたち。それに反対する主人公たち開発研究員たち。

 圧巻なのは。主人公の親友で同僚研究員役のルイーズ、ブレインストーム研究の責任者で発言力のある強面の女性役。ただ心臓に疾患を抱えているのにヘビースモーカー。彼女は深夜に発作を起こし、とっさに装置を頭に着けて死に行く自分の体感を記録する。
 テープが全て記録された後に映し出される死に顔の演技は怖い。この顔は後に主人公がその死のテープをモニターする際にも登場する。魚眼レンズを使って泡のような記憶の数々があらわれる幽体離脱というべきか。何らかの存在が女性の遺体から抜け出し、抜け殻となった遺体の無表情で怖い眼つきを俯瞰で眺める。私は暫くトラウマになった。
 
 強面女性研究員の急死で軍は露骨に研究所介入を始める。主人公は軍の管理に反抗して様々な妨害工作をする。その闘いの最中に妻と復縁。
 知り合ったばかりの頃や結婚当初の気持ちを記録したテープを妻に渡す。妻も恋人時代の頃のトキメキが甦る。ブレインストームはこんな使い方もできるのかと当時の私は感心した。
 夫婦仲が戻った2人は退職した老研究員と協力して遠隔操作で研究所のコンピューターに侵入し軍事転用されそうなブレインストームのプログラムを破壊していく。研究所内のシステムに熟知した主人公の前に、所に残った軍よりの技術者たちは敵ではなく、システムは崩壊。
 
 軍が血眼で主人公を探し回る中、2人は新婚の思い出の場所ライト兄弟の記念館で抱擁する。
 前半はジックリと物語を展開していったのに、後半の急展開があっさりし過ぎて当時の私は不可解だった。こんな予定調和的ハッピーエンドへと簡単に締めくくっていいのだろうかと。たぶん、ナタリー・ウッド氏の急死が影響しているのだろう。
 
 もともとの原案ではどんなラストにするつもりだったのだろうか? リメイクで再現してもらいたいものだ。
  
(余談1)「2001年宇宙の旅」では、土星にいく予定だったのが技術的に土星を描写するのは困難と木星に変更されたのがトランブル氏には不服だったようで、後に「サイレント・ランニング」で土星を描いた。
 
(余談2)2011年になって、ナタリー・ウッド氏急死について再捜査が行われている。もともと親族は他殺の疑いを持っており、事故死で片付けた警察に対し長年にわたって再捜査を要求していた。
 このレビューを書くことを思い立ったのも、再捜査のニュースを聞いたからだ。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
【受賞】1984年度サターン賞 音楽賞(ジェームズ・ホーナー)、主演女優賞(ルイーズ・フレッチャー)受賞 
 

 
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