「テルマエ・ロマエ」 第36回日本アカデミー賞
阿部寛が初の最優秀主演男優賞
「今度は日本人役で」 「第36回日本アカデミー賞」の授賞式が8日、東京都内で開かれ、大ヒット映画「テルマエロマエ」に主演した俳優の阿部寛さんが初の最優秀主演男優賞に輝いた。プレゼンターの井上真央さんから名前が読み上げられると阿部さんは、「ええ、すいません。えっと。まさかと思いましたね」とやや震える声で話し出し、「こんなでかい体なのに鳥肌が立って情けないです。今度この壇上に帰ってくることができたら、日本人役で。ありがとうございました」とユーモアを交えながら、喜びをかみしめた。(毎日新聞) 「
テルマエ・ロマエ」は公開から2ヵ月が経過してもシネコンは新作映画なみの上映スケジュールで扱った。並みの話題作・ヒット作なら数週間で消えているはずだ。予想外のヒット作だ。
普通、私が面白いと思った作品と世間が面白いと思った作品は一致しない。特にコメディータッチの話題作は。しかしこの作品は見事に一致した。
もともと私は古代ローマ時代のファンであり、風呂や温泉も好きだ。原作ファンで全巻揃えている。(余談1)原作ファンが映画化された作品を観るとき、どんなに優秀な佳作でもどこかに違和感を感じるものだが、本作の場合は気にならなかった。
作品の善し悪し以前に、私との相性が良かったのだろう。
さて、本作の封切が決まって予告のチラシを見たときの印象は実は真逆だった。てっきり日伊合作にしてイタリア人俳優がルシウスを演じると思っていた。それが日本人
阿部寛氏が演じる、いくら彫が深いソース顔とはいえ、やはり無理があるのではないかと思った。
思い出すのは80年代の中国香港合作映画「西太后」、阿片戦争の描写で中国人民解放軍がイギリス軍に扮してるのだが、コスプレ丸出しだった。比較的彫が深くて鼻筋の通ったエキストラをカメラの前面に配置し、白粉で顔を白くし、赤毛や金髪のカツラや付け髭でメイクしているのだが、思わず笑いが噴き出してしまった。
「
テルマエ・ロマエ」もそんなギャグになってしまうのではと危惧した。ところが蓋を開けてみれば、特に違和感を感じない内容に仕上がっていた。それどころか、ラテン語を発声する場面では
阿部寛氏がローマ人に見えてきたほどだ。
そういえば、映画デビュー作「はいからさんが通る」で日独混血の伊集院忍少尉に扮したとき、
阿部寛氏が着る大正七年式軍装がお洒落に見えた。
顰蹙を買うかもしれないが、日本陸軍はイマイチダサいと思っている。誤解をまねくかもしれないが、デザインとして洗練されているのはナチスドイツの軍服だ。現実にファンが多いから事実だ。
ところが、ダサいと思っていた大正七年式の軍服を着る
阿部寛氏は、どこかヨーロッパの貴公子のように見えた。
デビュー作から20年以上経って「バルトの楽園」でまた同じ大正七年式少尉軍服を着る役を演じた。ドイツ兵捕虜を収容する施設の将校役なのだが、ドイツ人俳優たちよりも長身で足が長い立派な体格だった。
そんな阿部寛氏だから、ローマ人ルシウスを演じても違和感は起こらなくて当たり前かもしれない。
(余談1)封切時は単行本と同じB6の36頁(表紙込)の「
テルマエ・ロマエ」特別編が入場者全員に配られていた。
映画の解説やロケ地紹介、主演者・原作者へのインタビューに加え、特別編のために描き下ろした短編漫画も掲載されている。阿部寛とルシウスがロケ地の銭湯でラムネ飲みを競い合う内容だった。
今でも配布されているかな? 部数切れとともに配布中止になる予定だったが。もしそうなら、私は「
テルマエ・ロマエ」を正味「全巻揃え」ている幸運な人間という事になる。
ブログランキングに参加しています。
- 関連記事
-
スポンサーサイト