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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ゲゲゲの女房」 カップルで癒されたい時に〔20〕

ゲゲゲの女房」 
青年水木しげるに酷似のクドカン

 


【原題】
【公開年】2010年  【制作国】日本国  【時間】119分  
【監督】鈴木卓爾
【原作】武良布枝
【音楽】鈴木慶一
【脚本】大石三知子 鈴木卓爾
【言語】日本語       
【出演】吹石一恵武良布枝)  宮藤官九郎(武良茂)  村上淳(金内志郎(茂の家を間借りする絵描き))  坂井真紀(田所初枝(布枝の姉))  宮崎将(安井庄治(漫画家志望の学生))  柄本佑(佐久間弦太(漫画編集者))  夏原遼(飯塚正夫(布枝の弟))  平岩紙(飯塚只子(布枝の義妹))  沼田爆(飯塚長兵衛(布枝の父))  佐藤瑠生亮(飯塚照夫(布枝の甥))  久保酎吉(梅田栄一郎(貸本マンガ家))  金子清文(長田利一(貸本マンガ家))  諏訪太朗(三ノ輪清彦(貸本出版社社長))  渡辺謙作(新田義夫(米屋))  鈴木慶一(都筑睦夫(貸し本屋))  唯野未歩子(小夜子(出版社ビル前の女))  陰山泰(磯貝則夫(税務署員))  岡部尚(細蟹忠雄(税務署員))  歌川椎子(寺山治子(仲人))  吉岡睦雄(川男1)  宇野祥平(川男2)  伊藤麻実子(小豆洗い)  石垣光代(火消し婆)  寺十吾(倉石昌太郎(編集者))  徳井優(ぬらりひょん)  南果歩(武良琴江(茂の母))
      
【成分】不思議 切ない コミカル 漫画 妖怪 1950年代?
  
【特徴】漫画家水木しげる氏の妻である武良布枝氏の自伝『ゲゲゲの女房』が原案。NHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」(松下奈緒氏主演ドラマ)放送終了後に公開されたが、企画そのものはNHKより先行して行われた。

 NHK版は爽やかな朝のドラマに相応しい明るくてユーモアのある内容だが本作は些か陰鬱。ドラマ版は布枝氏の楽しい思い出を抽出したものに対して、映画版は苦しい貧困の思い出を抽出したものと考えたらいいだろう。
 
 時代背景は昭和30年代であるが、30年代の風景は主人公の周辺のみで、街の風景や風俗は21世紀の現代である。制作者側は現代の風景で昭和30年代を演じる事がコンセプトと主張しているようだ。
 
 クドカンこと宮藤官九郎氏が若い頃の水木しげる氏に酷似しているので、彼の水木しげる振りは必見。
     
【効能】夫婦というものを考えるよいきっかけになる。
 
【副作用】暗くて淡々としていて白ける。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
もろに感情移入する作品。

 向井理氏の出世作となったNHK版「ゲゲゲの女房」、面白い作品だったが違和感が拭えなかった。最初は水木しげる氏の女房の物語には見えず半信半疑、ねずみ男がドテッと横になっている挿絵が出てきて、ああ、やっぱり「ゲゲゲの女房」に間違いないか、と思ったほどだ。
 けっして向井氏がダイコンと言う訳ではないが、水木しげる氏とはイメージがあまりに隔たり過ぎていたためと、作品がやけに明るすぎたのが原因である。

 NHKの方針を批判するつもりはない。朝の連続ドラマだから、リアルに暗さと貧しさを出すよりは、明るさとユーモアを強調した内容のほうが喜ばれる。リアル水木氏よりは好青年風の向井版水木の方が主要視聴者層である主婦のウケが良い。全ては爽やかな朝に放送するNHKドラマという制約からだ。
 本作はその制約はない。宮藤官九郎氏は若い頃の水木しげる氏に酷似していた。飄々とした笑い声、掴み所の無さ、貧相な風貌、昔テレビや雑誌で見た通りの水木しげる、評判通りの水木しげる、原作通りの水木しげるだった。

 リアル水木しげるに、私のお気に入り女優吹石一恵氏が主役となれば観ない訳にはいかない。
 ドラマと違い、本作は明るさとユーモアを切り捨てた。端的に言えば、ドラマは主人公布枝の比較的楽しい思い出を抽出したものに対して、本作は嫌な貧困の思い出を強調したものだった。(余談1)
 構成は大胆、映画化するにあたってエピソードの取捨選択が行われるが、大概の作品は「この場面は要らんやろ」「こんな説明は余計や」と思うこと多々あるが、本作の場合には無かった。表現すべきところは時間を割き、主題に影響しないところは簡単に済ませている。

 ラストの切り捨て方も小気味よかった。ドラマの方は漫画家として成功して水木プロを立ち上げた以降のエピソードも描写している。朝のサクセスストーリーでないと視聴者が納得しないためだが、本作にはその縛りが無い。映画では貧困の新婚生活のみに光りをあて、もしかしたらスターダムにのし上るかも、というところで終わりにしている。
 たぶん、これは私の趣味なので、他の人は面白くないかもしれない。特に劇的な物語を好む人は、観てから文句を言うより最初から観ない方が良いだろう。

 私は他人の出世物語に興味は無い。本作の描写で気に入ったのは、夫婦の距離感だった。見合い結婚した二人はぎこちなく他人行儀、布枝は当時の生真面目女性らしく主婦の務めを果たしていくが不機嫌さは隠さない。しげるは暖簾に腕押し的言動と独特の笑いで、布枝の憤懣をいなしていく。
 やがて布枝はしげるの仕事を手伝うようになり、漫画描きというものを理解していく。しげるは布枝の憤懣をやり過ごせなくなり、得意の独特の理屈が効かなくなる。出産に反対したときや大手出版社から折角の依頼を断った時、布枝から批難されて返す言葉がでない。

 佳境で、税務署から脱税を疑われる場面がある。飄々としていたしげるは、ここで初めて声を荒げる。訪問してきた税務署員に向かって義手と質札(余談2)を放り投げ「お前らに判るか!」と。税務署員が退散したあと、二人は故郷の歌を歌う。
 ラスト近く、講談社がしげるの条件を全て呑み二人に大きな稼ぎが舞い込む。自転車に二人乗りしてチキンカレーを食べようと意気投合する二人の笑顔、そこには冒頭の結婚写真を撮影した時のぎこちなさは無い。

(余談1)私たち夫婦は水木夫妻に若干似ている部分がある。もちろん時代背景が大きく異なるからあくまで「若干」だ。
 一応「恋愛結婚」にはなるが、連れ合いの従姉の斡旋で見合いしたようなものでもある。水木夫妻ほどではないが最初はぎこちなかった。連れ合いの弁によると、私は「何を考えてるのか判らない人」「奇行する人」で、従姉の紹介だから信用したような感じだった。
 結婚したとき、連れ合いは30歳、私は30代後半。既に歳を喰っているにも関わらず、生活が安定し無い事を理由に子作りを先送りにしていた。作中でしげるが子育ての大変さを主張していたが、まさに私も似たような事を言っていた。そして連れ合いは作中の布枝と同じく泣きながら「お互いに若くないから」と訴えた。
 私の幼い息子が小泣きジジーみたいな顔になるたびに本作の思い出す。

 我家のカレーはいつもチキンカレーだ。ビーフも作ったことがあるが、やはりチキンがシックリくる。肉じゃがも鶏を使う。

(余談2)大量の質札。それだけ質に出せるものが有るという事、仕事部屋にはハードカバーの本がズラリ、元々は物持ちなのだ。



晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作


【受賞】第25回高崎映画祭最優秀監督賞・最優秀主演女優賞

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映画「ゲゲゲの女房」オリジナル・サウンドトラック

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ゲゲゲの女房 (実業之日本社文庫) 武良布枝 




 
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