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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「食人族」 突っ込みどころを楽しもう〔9〕 

食人族」 食人族ジャンルの確立
 

 
【英題】CANNIBAL HOLOCAUST
【公開年】1981年  【制作国】伊太利  【時間】95分  
【監督】ルッジェロ・デオダート
【音楽】リズ・オルトラーニ
【脚本】ジャンフランコ・クレリチ
【言語】イングランド語 一部スペイン語
【出演】フランチェスカ・チアルディ(フェイ)  ルカ・バルバレスキー(マーク)  ロバート・カーマン(モンロー教授)  ペリー・ピルカネン(ジャック)  サルヴァトーレ・ベイジル(-)  リカルド・フュエンテス(フェリペ)  ガブリエル・ヨーク(アラン)  パオロ・パオローニ(-)  ピオ・ディ・サヴォイア(-)  ルイジアナ・ロッシ(-) 
  
【成分】パニック 不気味 恐怖 スプラッタ ジャングル 食人族 
  
【特徴】熱帯ジャングルを探検し食人族たちに襲われ全滅した映画クルーのドキュメンタリー風フィクション。突っ込みどころは無数にあるが、何故かドキュメントだと騙される人が多かったようだ。一応、文明批評めいたテーマがある。
 食人族ジャンルを確立した金字塔的作品。

 映画音楽は巨匠のリズ・オルトラーニ氏が担当。本作の内容とは甚だ不釣り合いの美しい楽曲が今にして思えば一種のギャグ。
 
【効能】文明人の野蛮さを思い知る。熱帯夜が一時的に涼しくなる。
 
【副作用】エログロに弱い人は気分が悪くなる。南米ジャングルで居住する先住民に対して悪質な偏見を植え付ける危険がある。南米先住民に対する差別映画。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
食人族モノの金字塔

 「TVではこれ以上お見せできません」、というのが日本公開当時のCMコピーだった。女性の串刺し写真が放送され、映画の宣伝看板にもその場面が描かれていた。世間では、あれは本物か偽物か、ちょっとした議論になっていたと思うが、同人誌仲間では「ウソの演出に決まっている」「ホンモノのはずない」と一笑していた。
 実際、問題の串刺しの女性の図はエキストラが串を口に咥えているだけのようだし、原住民たちもイマイチ南米先住民には見えない。それに北極圏のイヌイット族でもあるまいし、熱帯のジャングルで肉を生のまま食べるなんて嘘臭い。しかしなぜ「本物か偽物か」の議論になるのだろうか?という興味はあった。
 
 実際に観て理由がわかった。ドキュメント映像の体を装ったフィクションだった。だが、それでも不思議だ。原住民の中には明らかにナイスボディーの白人女性が泥を塗っているだけの出演者(余談1)がいたし、カメラ映像が4人のクルー全員が殺されるまで映されていたし、カメラマンが殺されるまで持っていたカメラのはずなのに、捜索隊が回収したときはケースに収まっていた。さては機械文明を知らない原住民がカメラを回していたのか?
 だから、ホンモノと勘違いする人が実際にいるのが不思議で、配給会社が宣伝で意図的に流したデマ情報ではないかと思った。(余談2)
 
 時系列で見ると、ヤラセ・ドキュメントとして有名になるヤコペッティ監督「世界残酷物語」がブームになった後の作品であり、ラストで回収したフィルムを見た教授が「本当に野蛮なのは食人族ではなく我々ではないか」と自問自答するのは、深読みするとヤコペッティ批判か? つまりヤコペッティ監督が確立したドキュメントタッチのエログロ的手法のパロディかもしれない。

 ヤコペッティ監督で思い出したが、多くの鑑賞者は本作の映画音楽を奇異に感じられたと思う。B級的不潔エログロ内容とは不釣り合いな美しいメロディ。音楽担当はイタリアの巨匠リズ・オルトラーニ氏である。
 オルトラーニ氏、もともとオペラ指揮者だったが、ジャズやカンツォーネなどに転向、さらに映画音楽に進出、今では映画音楽の作曲家として著名だ。そのオルトラーニ氏が初めて手掛けた映画音楽がヤコペッティ監督「世界残酷物語」なのである。
 制作陣の意趣返し的起用法の臭いがする。
 
 時代背景や他作品との相関関係を知らなかった当時の私にとっては噴飯モノのフィクションに過ぎなかったが、振り返って見ると、この作品以前にも以後にも多数食人族モノが制作されていたが、一応のテーマ性があり物語がバランス良くシンプルに構成されているのはこの「食人族」ぐらいだった。食人族モノといえば真っ先にこのタイトルをあげられる代名詞的存在となり、後々の作品に影響を与えている映画あることを考えると、食人族というジャンルを確立したといえる。
 この後、「密林」「人喰い」「スプラッタ」を基本に様々なバリエーションの作品が大量に創られることになる。イタリア映画の功績か?
 
(余談1)物語中盤で泥まみれの全裸女性が川辺で折檻された挙句に撲殺される場面がある。これは深夜の映画情報番組でもCMとして流れた場面だが、最初みた時は、拉致された白人女性が暴行を受けているものと思っていた。しかし全編通してみたら現地の女性が不倫で折檻受けている設定だった。私の予想のほうがショッキングか。
 
(余談2)ところが実際に誤解する人がいたそうで、ちょっとした問題になっていた。世の中、純情で騙されやすい人がいるものだ。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
晴雨堂関連作品案内
食人族2 [DVD] ヴィンセント・ドーン
食人族3~食人族VSコマンドー~ [DVD] マーティン・ミラー
人喰族 [DVD] ウンベルト・レンツィ
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人間解剖島ドクター・ブチャー<ヘア解禁オリジナル完全版> [DVD] マリノ・ジロラーミ<ヘア解禁オリジナル完全版> [DVD]
アマゾンの腹裂き族 [DVD] ジョー・ダマト
 

 
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