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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「臨場 劇場版」 社会を冷笑したい時に〔40〕 

臨場 劇場版」 
臨場シリーズ終了か?

  

 
【原題】
【公開年】2012年  【制作国】日本国  【時間】129分  
【監督】橋本一
【原作】横山秀夫
【音楽】吉川清之
【脚本】尾西兼一
【言語】日本語       
【出演】内野聖陽(倉石義男)  松下由樹(小坂留美)  渡辺大(一ノ瀬和之)  平山浩行(永嶋武文)  益岡徹(五代恵一)  高嶋政伸(立原真澄)  段田安則(仲根達郎)  若村麻由美(関根直子)  柄本佑(波多野進)  平田満(浦部謙作)  市毛良枝(山下美奈子)  長塚京三(安永泰三)  隆大介(坂東治久)  小林勝也(西田守)  伊藤裕子(早坂真里子)  京野ことみ(倉石雪絵)  おのさなえ(刑事部鑑識課)  道井良樹(刑事部鑑識課)  中山夢歩(捜査一課 刑事)  水野直(捜査一課 刑事)  菅原大吉(高村則夫)  デビット伊東(加古川有三)  土屋良太(関本幸彦)  魏涼子(安永光子)  春木みさよ(樋口雅代)  前田希美(関本好美)  浜田学(繁野刑事)  田中伸一(川相刑事)  ヨシダ朝(大沢検視官)  前田健(張り番の警官)
       
【成分】泣ける 悲しい パニック 不気味 勇敢 知的 絶望的 かっこいい
  
【特徴】横山秀夫氏のミステリー小説が原作、人気TVドラマの実写映画化作品。ベテラン刑事や監察医ですら見落としてしまう証拠を根こそぎ拾う検視官倉石警視の活躍を描く。
 TVでお馴染みの出演者たちは殆ど登場しているほか、映画用の新たなキャラも魅力的である。
      
【効能】社会の不条理と虚しさを学べる。
 
【副作用】盛り下がる展開に不快感を及ぼす。倉石の台詞に説得力を感じられず、虚しさが広がる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
制作陣は力み過ぎか?
 
 個人的には好きな内容だが、制作陣は力み過ぎのように思える。

 まず引っかかったのは、冒頭の部分で主人公倉石検視官が夜の雨の中を千鳥足で歩き仰向けに倒れて動かなくなる。腰か背中を手で押さえていたから、さては犯人に刺されたのか? 
 だが、このシーンは「臨場シリーズ」全体の方針を示す一種の宣言みたいなもので、見終わった後、私は多少の不満を抱いた。

 次に白昼の通り魔事件。名優柄本明氏の息子柄本佑氏が人格障害の殺人鬼を巧く演じた。繁華街のフォーラムにバスが突っ込み、バスの中から返り血浴びて赤鬼のような形相の柄本氏が次々と人を刺していく。特に恐怖で動けなくなり、思わず赤子を守ろうとする若い主婦を執拗に背中から刺し、制止するJK風の若い女性には腹部をめった刺し。
 ショッキングで派手な出だし、柄本佑氏の名演技のお陰で思わず柄本氏に激しい憎悪を抱いてしまったほどだ。このエピソードは今後の物語展開の発端であり、様々なドラマが絡み合う。

 ただ、「臨場」らしくないような気がする。ドラマ版「臨場」の醍醐味は、変死体があがると出動し、捜査のプロや法医学のプロでも見落としてしまうモノを倉石検視官が独特の所作で暴いていく。リアルな検視作業描写とリアルな死体描写。ドラマ版では死斑メイクや死後硬直演技が目新しかった。
 しかし白昼堂々の通り魔殺人であれば、倉石検視官が推理する余地は無く、淡々と臨場作業する場面が続く。(余談1)
 後に倉石の推理が光る臨場場面があるが、ドラマほど捻りは無かったように思えた。

 また、ドラマ版第2シーズンの登場人物が全員出演してくれたのは嬉しいが、大半は大人しくなってしまった。これは劇場版に登場した神奈川県警の仲根管理官や浦部巡査の絡みで薄めざるを得ない。
 しかし現場にストレスを加える五代刑事部長がやけに物分かりの良い上司になってしまったし、倉石とよく対立する立原管理官の陰がやや薄くなり、アクが強く野卑なベテラン刑事坂東警部補は殆ど存在感が無い。(余談2)

 それから演出が些かステレオタイプが過ぎる。主要人物が登場するとき、これでもかこれでもかとスローモーションをかけた映像にする。特に神奈川県警仲根管理官たちはまるで制服のように揃いのカーキ色トレンチコートを着用しているのがワザとらしく見えてしまう。

 出演者たちは皆演技派ぞろいなので、個々の場面は迫力があった。若村麻由美氏の憎しみに燃える形相、警官姿の平田満氏が無表情で銃を乱射する場面、柄本佑氏はホラー映画のモンスターでも似合うような狂気を醸し出す。
 問題は主題だ。この物語は結局何が言いたかったのか? 法律の不条理を訴えたかったのか、人間の暗黒面の底深い恐ろしさを表したかったのか?

 少なくともドラマ版では強烈な説得力の有る綺麗事を語っていた倉石が、劇場版では少し甘ちゃんで虚しい奇麗事を吐く捻くれ者にしか見えなかった。
 私は平田満氏や長塚京三氏が演じる人物の台詞に感情移入し、それに異論を唱える倉石や立原の台詞は心に響かない。この程度の台詞なら論破できる。そして物語も虚しい結末になる。

 ラストは、ドラマ「臨場」第3シーズンを待ち望む私としては、かなり残念で憤懣を抱くものにされた。

(余談1)ただ、ゴールデンタイムに放送するドラマ版と違い、女性の遺体から衣服をとり裸にする場面は堂々と乳房ポロリだった。
 前田希美氏が臨場される場面は割愛、期待した男たちはガッカリしただろう。

(余談2)坂東警部補を演じる隆大介氏は無名塾出身の演技派。若い頃に黒澤映画「影武者」で織田信長を演じ、その後も若手俳優として映画やドラマで主演する。80年代では同じ無名塾出身の役所広司氏よりもスターだった。
 90年代ではブラック・ジャックに扮したり、Vシネマや特撮モノにも出演、しかし次第に主演からは遠ざかっていく。

 本作ドラマ版では、歳下の高嶋政伸警視に顎で命令される微妙な緊張感が面白かったが、この劇場版では単なる顔のでかいギョロ目の部下というキャラで済まされているのが残念。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作

 
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臨場 DVD‐BOX
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臨場 (光文社文庫) 横山秀夫
  

 
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