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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

私は辛坊治郎氏の冒険完遂を願う! 近頃の現象[九百二十六]

辛坊治郎氏 
コメンテーター休業示唆「どの面下げて…」 
辛坊治郎氏 小型ヨット太平洋横断断念


 神奈川・厚木基地に到着した辛坊氏は「助かった、の一言」と憔悴(しょうすい)した表情で話し、日付が変わった22日に東京都新宿区の吉本興業で会見しあらためて謝罪した。(スポニチアネックス)
 
【雑感】まず、たった一回の失敗で「冒険はしない」「仕事はしばらく休業する」では、それこそ太平洋横断を舐めてかかっていると私は逆に批判する。辛坊氏の責任感からでた言葉であるのは理解できるが、これでは100%確実に太平洋横断できると思い込んでいたのか、と突っ込みを入れたくなる。
 数々の海洋冒険を成し遂げた堀江謙一氏でさえも、出港まもなく日本近海で遭難した事がある。1972年に単独無帰港世界一周へ出発したが僅か3日目でマストが折れ航行不能、マスコミから猛バッシングを受けた。しかしその2年後には失敗を糧にして単独無帰港世界一周を成功させた。因みにバッシングの急先鋒はヨット乗りが趣味の石原慎太郎氏である。
 安全で確実な方法で太平洋を横断するのなら旅客機か客船に乗れば良いことで、わざわざヨットを使うのは遭難のリスクが高い困難な方法にチャレンジする事に意義を感じたからではないのか。関係者に謝罪するのは当然だが、初心完遂してこそ関係者への謝罪完了ではないのか。


 辛坊治郎氏らへの批難には的外れが多い。一例を挙げると、

「健常者2名が補助につくべき」
 これは不測の事態に備えて健常者が交代で主役である岩本光弘氏サポートする意味らしい。
 一見すると正論のようだが、それなら堀江謙一氏の単独航はどうなる? 彼こそ辛坊氏ら以上の無謀な行為だ。しかも彼の最初の冒険はパスポート無しの国法を犯しての実行だ。しかも年齢は20歳代前半、現在の辛坊・岩本両氏よりもはるかに若輩で技術も経験も装備も脆弱だった。
 どこまで準備するべきかの線引きは難しいが、不測の事態に備え過ぎると映画「植村直己物語」で西田敏行氏扮する植村が大声で吼えた「組織と最新の設備があれば登れない山なんて無いよ!」になってしまう。死の危険があるから冒険である。
 プラスに考えたら、準備を怠らなかったからこそ、沈没間際に脱出でき、海保も位置を把握でき、迅速に海自が救援できた。
 冒険を理解しない人間や冒険をする人に嫉妬を抱く人が口にする物言いだ。

「救助費用を払え!」
 まず、国際法を理解していない。というより無知だ。海難事故の場合、公的機関所属の船舶や航空機などで救助なら無償という事が国際条約で取り決められている。今回は日本の公的機関である海上保安庁と海上自衛隊が動いたのでタダである。この点で「海を知らない」事が暴露されている。

「危機管理がなっていない」
 これは「健常者2名が補助につくべき」と批判する人たちの本音でもあるだろう。が、太平洋を小型ヨットで横断する意味を、この台詞から理解していないことが露わだ。
 たとえ頑丈な軍艦でも遭難するときは遭難する。それをわざわざ木の葉のごときヨットで横断するのだから、遭難死の危険も織り込み済みであり、それを乗り越えて達成することに意義があるのが「冒険」である。
 危機管理が無かったから浸水したのではない。危機管理が十分にあったからこそ、早期に船を放棄する決断ができ、時化のなか沈没の恐怖と戦いながら全盲の岩本氏を救命ボートに誘導し、遭難時のバックアップが完璧だったからこそ海保も海自も的確な救援活動ができた。遭難時の対策ができているのに危機管理がなってないと批判する者こそ危機管理というものを理解していない。
 辛坊氏はこのような雑音に耳を傾けなくても良い。

 
 冒険と経済には密接な関係がある。私は冒険の「ぼ」の字にも満たない気楽なチャリンコ日本一周をやった事があるが、そこで出会った旅人たちの多くは東京出身か大阪出身の人たちばかりだった。しかも高学歴者が圧倒的に多かった。
 80年代末の日本アドベンチャーサイクリストクラブの記録によると、海外冒険サイクリングに出かける人の出身地を見れば多くが東京圏と大阪圏で占められている。さらにその他の地方出身者でも京阪神や京浜の大学に在学または卒業の人で占められている。
 さらに海外サイクリングをやった人から聞いた話では、同じようなサイクリストはイギリス・フランス・ドイツ・アメリカなどの先進欧米諸国にほぼ限られていて、アジアでは日本が圧倒的に多いという。近年は中国人や韓国人が増えてきたとか。
 
 この事から何が判るか。冒険者は経済力と教育水準が高い地域の出身者であるという法則がある。加えて所属する国家や地域の活力にも比例する。近年、留学をしたがらない日本の若者が問題になってきているが、若い冒険者も減少傾向ではないか。中国や韓国に後れをとるようになっても「冒険」の芽を潰したいのか?
 
 冒険に挑戦した人を短兵急に批難して冒険の根を摘むことは、国の活力を削ぐことに通ずる! すなわち、冒険を否定する輩は国賊である。

 辛坊治郎氏らには酷で無責任な意見になってしまうが、再チャレンジしてもらいたい。最初から、一度失敗したら尻に帆をかけて退散する計画であったのなら止むを得ないが。

 
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