ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「八重の桜」(9) TVドラマ評[六十四]  

「覚馬の桜」「容保の桜」から
ようやく「八重の桜」へ

 
【雑感】昨年の「平清盛」を思い出させるほど一時は視聴率低迷に陥った理由の一つとして、昔から複雑な政治状況を描かざるを得ない幕末明治期のドラマの視聴率は伸びない法則があった。加えて、評判の良かった子役が第2話の途中から早々に退場し、物語の展開上はどうしても覚馬を主人公格として引っ張らざるを得ない。正統大河ドラマの展開を覚馬や容保が担当し、取り合えず平和な時期の会津は「朝の連続テレビ小説」のような雰囲気で八重とその家族のエピソードで進めるしかない。
 
 こうして観ると、改めて歴代「大河ドラマ」というのは殺し合いの物語である事が判る。戦の無い大河ドラマは存在しないのではないかと思うほどだ。戦が無かったのは「八代将軍吉宗」くらいではないか。(余談1)これとて殺し合いが皆無というわけではない。
 
 さて、ついに平穏だった会津鶴ヶ城城下に戦火が及ぶ。ちょうど「八重の桜」第1話冒頭場面にもどる格好だ。冒頭の篭城戦場面の八重はあまり大声は出さず迫力は感じなかったが、今回は凄まじい。今まで角場で鉄砲を教えてきた少年たちを中心に鉄砲隊を組織して銃撃戦を指揮、最初は邪魔者扱いしていた老兵たちも進んで八重の指揮下に入っている。戦う女子は美しい。これが本作幕末編のメインでありフィナーレでもある。
 まるで今まで出番が少なかった憂さを晴らすが如く、テンポよく「構え!」「狙え!」「撃で!」「次!火縄!」「火蓋を切れ!」「撃で!」と号令をかけながらスペンサー銃をぶっ放す。
 
 作中では八重に扮する綾瀬はるか氏が機敏に城内を走り回る。姫路城などお城を見学した人なら判ると思うが、石段や階段は非常に高く登りづらくつくられている。そして本作のセットもリアルに当時の城郭建築を再現しているので、綾瀬はるか氏は大奮闘だ。堀に着弾して水しぶきがかかったり、はるか背後の天守閣に着弾して瓦が砕ける音が響いたり、迫力ある映像だ。
 さらに銃器もリアルさを出すためにほぼ忠実な形状と重さなので、俳優たちは空砲とはいえ実戦さながらに射撃と弾こめを行う。八重が使っているスペンサー銃は騎兵のために設計された小銃で、馬上からでも扱いやすいよう銃身が短い。七連発、現代のライフル銃に近いレバーアクションで薬莢を排出させながら連射する。作中でも八重は号令をかけながら常に狭間から銃を構え撃ち続け、弾がきれると手際よく銃床から棒状の弾倉を取り替える。八重は銃器の専門家で手練なので綾瀬はるか氏もかなり筋トレと銃の扱いを練習しただろう。
 最新のスペンサー銃で鉄砲狭間から撃つ八重の後ろで、八重の副官を務める山川家三男の健次郎が必死に旧式の先込めゲベール銃の銃口に棒を突っ込んでいる構図は、銃器マニアが見たらけっこう良い絵だ。
 

 ところで、今回のエピソードでは会津戦争二大悲劇とも言われている白虎隊と西郷頼母が妻娘の集団自決が立て続けに描写されている。他にも自決した藩士妻女が多数いて、神社の境内に累々とある遺体に修理の妻が吐き気をもよおし、自分も自決しようかと呟くところを黒木メイサ氏扮する竹子が「死ぬなら敵の1人でも討ち取ってからにしなさい。修理様の仇をとりたくはないのですか」と叱咤する場面がある。
 この会津戦争の悲劇は不屈の会津魂を表す美談とも取り上げられることもあるが、私にはどうしてもおぞましい事件にしか思えない。末っ子の幼児の前で懐剣を抜く場面は、自決のおどろおどろしさをよくあらわしている。百歩譲って自決せざるを得ないとしても、幼い子供まで道連れにする神経は完膚無きにまで潰さねばならない日本の悪癖であると断ずる。たとえ百数十年前の人間がやったことでもだ。どうせ死ぬるのであれば、やはり竹子の言う通りではないか。  
 
(余談1)忠臣蔵の評価は分かれるが、私は吉良家と浅野家、もしくは暗に佐幕派と尊皇派の戦だと思っている。
 

 
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