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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「八重の桜」(10) TVドラマ評[六十五] 

笑うに笑えないドジの連鎖
 
【雑感】会津戦争は悲劇に満ちていて、特に会津ゆかりの方々には重い内容。明るい話といえば山川大蔵の彼岸獅子入城だけといっても過言ではない。
 そして、その悲劇の幾つかはどう考えても起こるべくして起こったものというより、なにか他にやりようがあったはずではないかと思うものだ。もし篭城しているのが会津藩ではなく薩摩藩や長州藩だったら、戦況は逆転していたのではないかと思ってしまう。
 
 たとえば白虎隊、史実では城下町にあがった火災を城が燃えていると勘違いして、殿様も最期を遂げられただろうから我らも後を追う、というのが集団自決の定説になっている。本作では城はまだ健在であることを知ってはいたが攻囲を突破できずに捕虜になる可能性があるから潔く自刃という話にしていた。
 いずれにせよ、これは同時代の欧米諸国の軍人が見ても「Crazy!」「Why?!」となるだろう。まだまだ十分戦力として戦えるのに、敵にダメージを与えぬまま自殺するのは、欧米の軍人から見れは利敵行為でしかない。ゲリラ戦を展開して敵に恐怖を与える策は十分使えたはずだが、その発想が無かったのが悔やまれる。おそらく同時代の日本人でも土方歳三や高杉晋作ならゲリラ戦を展開したかもしれない。
 
 竹子の悲劇、もともとは照姫様を守る薙刀隊だったはずなのに、情報の行き違いか、あるいは勘違いか、照姫は城に篭っているのに城を出たと思い込んで城下から出てしまったために、本来なら戦わなくてもよかった戦をするはめとなり、銃弾に倒れてしまう。
 作中の竹子のポジションは、少女漫画「アタック№1」の早川みどりや「エースをねらえ」の竜崎麗香や「キャンディ・キャンディ」のフラニー・ハミルトンと同様の場所だが、出演期間が短いせいもあってスポコン少女漫画なら八重と対立したり意地悪する期間を設けるだろうが、頑なに自分のスタイルを守りながらも八重に理解を示す品行方正なキャラに描かれた。
 それにしても竹子に扮する黒木メイサ氏はかっこいい。「ひるんではなりませぬ!お城は近くです!」と叫びながら薙刀を振り回す様、メイサはこんな役が似合う。むさ苦しい男どもをばっさばっさと殴り倒したり、自動小銃をぶっ放したり、そういえば「女信長」の舞台版では黒木メイサ氏が主演した。勇ましい姿は萌えだ。
 
 今回は佐川官兵衛の寝坊が笑えない。寝坊したら出撃を延期して次の日の夜明け前にすれば良いのに、というか出撃前にしこたま飲ませる容保もずっこけだ。
 斉藤一が作中で会津人を「愚かなほど真っ直ぐ」と評したが、この失態は真っ直ぐというより目的達成よりも手段にこだわる愚か者だ。白昼出撃すれば、戦略目標である糧道の確保ができないだけでなく、無闇に戦力を浪費するだけ。

 そして八重のスペンサー銃。
 前回の冒頭で八重は夜襲に参加し、敵兵を大勢血祭りにあげている。そのとき八重は銃を連射しているのに敵兵は持ってた小銃をいじりながらボーと突っ立っていた。これはけっこうあり得る。というのも、会津を攻囲している官軍は既に先込め式のゲベールでは無く元込め式を使っていたが、連発の普及はまだまだだった。八重が持っているのは七連発で、弾込めも銃床から弾倉を取り替えるだけ、操作方法は現代のライフル銃と変わらない。例えていうなら、三八小銃を持つ旧日本軍が自動小銃M16を持つゴルゴ13に攻撃されるようなもの。
 つまりどういう事かというと、スペンサー銃ならむしろ接近戦に向いており抜刀隊を支援する形のほうが良かった。篭城戦では従来のゲベールを使うべきだったかもしれない。なぜなら、ゲベールの弾丸は簡単に作れるが、スペンサー銃は薬莢のある現代の弾丸とほぼ同じなので高度な工業技術がいるため、八重たちでは作れない。 

 あくまでも物語の中の話だが、会津が負けたのは物資不足や装備の立遅れだけが原因ではなく、戦術思想が時代遅れで、最先端の軍事技術や軍事思想で挑む薩長土肥の軍隊にかなわなかった。会津藩で唯一最先端の用兵術を極めていたのは山川大蔵のみ。山川は後に明治政府の陸軍に入り少将を務めた。
 白河の攻防戦では、城を守備する奥羽越列藩同盟は二千五百の兵力で、攻める官軍は薩摩の伊地知正治率いる七百だけ。攻城戦の場合、城を攻める軍勢は篭城する兵力の数倍は必要と言われている。その常識を覆す戦いだった。
 
 今回のエピソードは、容保の生真面目すぎる性格と家臣思いがよく出てよかった。生真面目で純粋な殿様だが、将帥ではなかった。 
 

 
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