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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「のぼうの城」 寂しさをまぎらわす時に〔25〕

のぼうの城」 
上地雄輔の三成ぶりは意外に良かった。

 

  
【原題】
【公開年】2011年  【制作国】日本国  【時間】145分  
【監督】 犬童一心 樋口真嗣
【原作】
【音楽】上野耕路
【脚本】和田竜
【言語】日本語       
【出演】野村萬斎成田長親)  榮倉奈々(甲斐姫)  成宮寛貴(酒巻靭負)  山口智充(柴崎和泉守)  上地雄輔(石田三成)  山田孝之(大谷吉継)  平岳大(長束正家)  前田吟(たへえ)  中尾明慶(かぞう)  尾野真千子(ちよ)  芦田愛菜(ちどり)  ピエール瀧(-)  和田聰宏(-)  谷川昭一朗(-)  ちすん(-)  米原幸佑(-)  中村靖日(-)  黒田大輔(-)  古村隼人(-)  笠原紳司(-)  西村雅彦(成田氏長)  中原丈雄(北条氏政)  鈴木保奈美(珠)  平泉成(成田泰季)  夏八木勲(和尚)  市村正親(豊臣秀吉)  佐藤浩市(正木丹波守利英)

       
【成分】笑える 楽しい スペクタクル 勇敢 絶望的 かっこいい コミカル
  
【特徴】
      
【効能】
 
【副作用】
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。   
樋口真嗣監督の
単独メガホンでなくて良かった。

 
 実は2009年に「美味しんぼ」の花咲アキラ氏が漫画化している。私は既にそれも読んでいるので、映画の構成や展開はほぼ漫画に沿っている印象を受けた。
 結論を先に言ってしまうと、漫画版の方が上手くできていた。
 
 もともと本作は昨年9月に封切られる予定だった。私も忍城のエピソードを知っている(余談1)ので以前から楽しみにしていた。また野村萬斎氏は映画デビュー当時から注目しお気に入り俳優だったから、ぜひ観たい作品だった。
 気がかりなのは監督に樋口真嗣氏が名を連ねている事だけだ。この監督、やりたい事は解るのだが、何か抜けているというか詰めが甘すぎるところがある。「ローレライ」「日本沈没」「隠し砦」と、映像センスは悪くないのに「ん?」「はあ?」「なんぜ?」「これはちゃうやろ」と思うこと多々だ。
 
 さて、本作は巨額の予算をかけていることもあって、随所に煌く場面があった。同時にこれは監督たちがこだわった部分でもあると思う。
 冒頭の備中高松城での水攻め場面。秀吉がまだ織田信長の家臣で毛利攻め総大将を務めていた時期のエピソードで三成がまだ小姓のとき、泥を掴みながら堤を登る場面がある。泥で汚れる手のアップ。
 泥や水の描写にこだわる気だなと思ったら、その後も農民たちが囃子に合わせて田植えをする場面で泥に汚れる足のアップ、水攻めのとき押し寄せる波が城壁にあたって高く飛沫を上げる光景、水が引いたとき泥だらけになった城内。これらの描写はリアルに再現されていた。たしかに水攻め場面は昨年の津波と酷似しているといってもよいほど巧く描写されていて、公開を延期するのは止むを得ない。
 
 ただ、これだけ巨額の費用と手間をかけた作品でありながら、やはり軽く見えてしまうのは何故だろう? 「隠し砦」でも感じたが、樋口監督が手がけてしまうと黒澤監督の映画のようなむせ返るような体臭を感じることができない。これは黒澤贔屓ではない。大河ドラマ「龍馬伝」や「坂の上の雲」ではリアルな体臭を感じられたのに、本作では手間隙お金をかけているはずなのにメイクまるだし時代劇に見えてしまう。(余談2)

 また忍城エピソードで重要なのは女性が強いという事。本作でもその辺りに気を配っていたようだが映画として不十分だ。

 史実として伝わっているエピソードに甲斐姫の武勇がある。石田勢の猛攻に、ついに長親自ら出陣せざるを得なくなった時、甲斐姫はこれを制止して代わりに二百騎の手勢を率いて出陣し敵を撃退している。映画ならこのエピソードを盛り込むべきだった。

 意外だったのは、バラエティではおバカキャラの上地雄輔氏が、見事知将の青二才石田三成を演じきっていた事か。戦らしい戦をせずに勝利をおさめることに不服で、忍城を挑発してワザと戦に持ち込み興奮する顔は三成らしい。

(余談1)因みに、私はPCゲームには全く疎いのだが、唯一ハマッているシリーズがある。光栄の「三国志」「水滸伝」「提督の決断」そして「信長の野望」である。

(余談2)台詞が現代語というのは目をつぶれる。本作は飄々とした木偶の坊が何となく名将になってしまうコメディ的要素を売りにしているのだから、台詞回しの面白さも伝わらなければならない。
 ただ、城の奥の板間に筵を敷くリアル演出がありながら、リアルメイクの奥方役鈴木保奈美氏の座り方が正座(当時の女性は片膝立て座りか胡坐である)だったり、リアルな百姓の風俗を表している筈なのに食べているのが白米だったり、甘い点が多々ある。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作
 

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のぼうの城 和田竜
 

 
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