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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

実写映画「ガッチャマン」大コケを考える。 近頃の現象[九百三十七] 

実写版「ガッチャマン」火の鳥ならぬ火の車! 
中途半端な原作要素にファン怒り

 
 松坂桃李(24)や剛力彩芽(21)ら人気若手俳優を起用して実写化した映画「ガッチャマン」(佐藤東弥監督)が苦戦している。大人気アニメの映画化で知名度は申し分ないはずなのに、なぜ大ヒットに結び付かないのか。(夕刊フジ)
 
【雑感】剛力彩芽氏に批難が集中している向きがあるが、私は怪訝に思う。単純にミスキャストであって責任は俳優ではなく制作陣にある。
 レビュアー仲間は「剛力彩芽は甚平を演じるべきだった」と言っていたが同感である。彼女はかつての相原勇氏のように長髪から短髪にイメージチェンジをしてボーイッシュを前面に強調したことでブレイクした。その彼女が日米混血のスレンダーかつ巨乳のジュンを演じるのはキャラに合わない。
 白鳥のジュンに合う女優といえば、私が思いつくのは「Santa Fe」を発表した頃の宮沢りえ氏だ。日蘭混血の欧米人的骨格、スレンダーなのに豊かな美乳、日本人的な顔だが色白で大きな瞳、設定の背格好に合致している。
 
 もちろん、俳優は与えられた役柄をこなすのが仕事である。ハリウッドのスタローン氏は役柄によって体格まで変えたし、デ・ニーロ氏は加えてイタリア語を完璧にマスターしたり頭髪を抜いて禿をつくったりした。そういう意味では努力が足らないという批判もありだろうが、それを言ってしまったら他の4人にも当てはまると思うので剛力彩芽氏だけに責任はない。紅一点という目立つ存在ゆえに敗戦の責任を負わそうという世間の不当な空気を感じる。
 
 監督をはじめ制作陣の責任は重大である。近年で実写映画化の成功作は非常に少なく、そういう意味で不朽の名作「科学忍者隊ガッチャマン」の実写化に挑戦するということは最初からハードルが高く、その点は同情すべき点だろう。
 ただでさえ、映画化となれば原作ファンからの酷評は必ずある。ましてやガッチャマンとなれば熱心な原版アニメ至上主義者が存在するだろう。かといってカラフルな70年代初頭ファッションの原作そのままのイメージで実写化しては40年経過した現在の世情には浮き過ぎる懸念がある。
 
 実写映画化で成功した近年の作品といえば、「三丁目の夕日」「ヤッターマン」「SPACE BATTLESHIP ヤマト」(以下「ヤマト」)をあげる。これら作品、成功の要因は各々異なっている。
 「三丁目の夕日」は、不景気下の現代日本で元気だった頃の日本を懐かしんだり憧れたりする欲求が世相にあった。また精巧なCGで昭和三十年代初頭の東京下町を描写、現在では失われた大らかで活気に満ちた世界がリアルに広がる。見事に再現された建設途上の東京タワーが話題にあがった。キャスティングも抜群によく、特に演技派の子役を大勢輩出した作品でも知られる。
 「ヤッターマン」は原版アニメの雰囲気をそのまま踏襲、しかし原版のほんのりお色気を18禁にならない程度にどぎつく卑猥にした演出が、放送当時小中学生で映画公開時30代40代の男の子の心を掴んだ。しかもアニメと同じく「予告編」付が嬉しい仕掛けであった。
 「ヤマト」は興行的には成功といえるが、これから述べる「ガッチャマン」の失策と同様の要素がある。
 
 「三丁目の夕日」と「ヤッターマン」に共通するのは、作品にたいする意欲が感じられる。実写映画だからこそ挑戦する気概、昭和三十年代初頭の東京の風景と当時の生活臭の完璧な再現、小中学生だったファンが中年のスケベ親父になっていると見越しての踏み込んだ表現、これらが功を奏した。
 ところが「ガッチャマン」も「ヤマト」も、あまりにもアニメが不朽の名作だったために、制作陣は良く言えば「無難な形」に収めようとした。「ヤマト」ではガミラスやイスカンダルの実写化を放棄してハリウッドのSFによくある風景に差し替えた。「ガッチャマン」ではカラフルな衣装を現代の不景気な空気に合わせて灰色のイメージにし、アニメの科学忍者隊5人から定番臭さを抜いた。(70年代の漫画アニメによくある、ハンサム・不良・紅一点・巨漢のチーム構成)
 
 それだけなら良いが、CGなどで自由自在にイメージ再現できる制作環境にありながら、作品の矮小化が目立つ。「ヤマト」の原版では乗組員の壮行パレード場面があり、ヤマトの行進曲に合わせ行進する乗組員たちに向かって声援をおくる者や野次を飛ばす者など、これだけでもグッと世界観が広がり人類存亡をかけた緊張感が伝わったものだが、実写映画には無い。
 「ガッチャマン」では二千万円もかけて科学忍者隊のスーツを制作した事が評判だったが、鳥をイメージした忍者隊のイメージが消えている。三角関係あり、無傷の東京あり、地球存亡を前にして自分の存在意義にウジウジ悩む主人公たち。アニメでは天涯孤独と思っていたらレッドインパルスの隊長が実父だということを知るもギャラクターとの戦いで父は特攻し慟哭するケン、自分の出自はギャラクターだった事を知り嘆き叫ぶジョー、これらとは説得力や迫力の点において雲泥の差だ。
 
 「ヤマト」はまだテレビアニメ第一シーズンと劇場版二作目「愛の戦士たち」を上手く合版したが、「ガッチャマン」では今風への迎合と原版アニメの世界観踏襲が中途半端になっている感は否めないし、同様の印象を持ったファンは多いのではないか。
 この練りの悪さでは、大量に生産され消費される場末の作品として忘れ去られる恐れがある。そうなったら、投下資本と割りは合わない。
  

 
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[ 2013/09/07 05:26 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(1) | CM(4)
私のブログへメールフォームからメールをいただいていたようですね。
ありがとうございます。
なぜか、迷惑メールに分類されて、
迷惑メールのフォルダに入っていましたので、
気が付くのが遅くなりました。すみません。

男性着物に関して、多分一番読みやすく詳しい解説は
早坂伊織さんの「男のきもの大全」だと思います。
http://www.kimono-taizen.com/

同じ題名で本も出ています。
一度ご覧ください。

今後ともよろしくお願いいたします。

[ 2013/09/07 09:20 ] [ 編集 ]
タカ子氏へ
 
 情報ありがとうございます。
 
 頻繁に和装されるんですね。羨ましいです。

> 私のブログへメールフォームからメールをいただいていたようですね。
> ありがとうございます。
> なぜか、迷惑メールに分類されて、
> 迷惑メールのフォルダに入っていましたので、
> 気が付くのが遅くなりました。すみません。
>
> 男性着物に関して、多分一番読みやすく詳しい解説は
> 早坂伊織さんの「男のきもの大全」だと思います。
> http://www.kimono-taizen.com/
>
> 同じ題名で本も出ています。
> 一度ご覧ください。
>
> 今後ともよろしくお願いいたします。
[ 2013/09/07 18:51 ] [ 編集 ]
こんばんは、10代の頃の宮沢りえでジュンというのは確かに雰囲気近くていいですね(^_^;)やはり目力とプロポーションはこのキャラには必須だと思いました。

それで今の時代に誰か他おらんかとワタシもいろいろ夢想してみましたが、黒髪とキリッとした眼差しならば栗山千明だけど、スレンダーすぎるしややトシが合わないなとか(__;) なかなか顔と若さと体型が一致する人は(ワタシが知らないだけでもありますが)おらんものですね。

※のちほどTB打たせていただきます。 
[ 2013/09/08 18:49 ] [ 編集 ]
しろくろShow氏へ

 白鳥のジュンは、設定ではたしか日米混血の16歳、身長は160前後で体重は40キロ代前半だったと思います。孤児院で育った孤児で作中では本名が明らかでない。シャバではスナックJを経営(当時は風営法は無かったのか?)容姿だけでなく、大人の付き合い方やあしらい方も心得た場馴れしている老成した少女です。なにしろ、レッドインパルス隊長の戦死で荒れるケンに向かって説教する女の子ですから。
 ですから、宮沢りえ氏が最もイメージに合うと以前から思っていました。
 
 いま年頃の合う女優を見渡して、いませんね。白鳥ですから欧米人とのハーフかハーフっぽい顔つきでないと。デビュー当時のAV女優で実写版「けっこう仮面」に主演した小沢マリア氏なら・・。しかし眼つきが鋭すぎる上に彼女もトウがたってしまいました。
 
 半分冗談で、春香クリスティーン氏なら面白いかなと思っています。要するに、それだけ剛力彩芽氏に白鳥のジュンは強引過ぎると私も思っています。

> こんばんは、10代の頃の宮沢りえでジュンというのは確かに雰囲気近くていいですね(^_^;)やはり目力とプロポーションはこのキャラには必須だと思いました。
>
> それで今の時代に誰か他おらんかとワタシもいろいろ夢想してみましたが、黒髪とキリッとした眼差しならば栗山千明だけど、スレンダーすぎるしややトシが合わないなとか(__;) なかなか顔と若さと体型が一致する人は(ワタシが知らないだけでもありますが)おらんものですね。
>
> ※のちほどTB打たせていただきます。 
[ 2013/09/08 23:41 ] [ 編集 ]
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「ガッチャマン」を見てしまったよ。   ネット上での評判があまりにも酷くて(ーー;)(Yahoo!のレビューが一点台だったり、各所での評価は軒並み異常なまでに低い)ここまで言われる
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