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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

先住民族マオリ族、入浴拒否される。 近頃の現象[九百四十] 

伝統の入れ墨、
マオリ女性の入浴拒否…北海道


 ニュージーランドの先住民族マオリの女性が北海道恵庭市の温泉施設を訪れた際、顔の入れ墨を理由に入浴を断られていたことが12日、分かった。女性側は「尊厳を傷つける人種差別だ」と批判する一方、施設側は一律の対応であることを強調している。(毎日新聞)

【雑感】ニュージーランドは先住民政策が比較的うまくいっている国だ。公用語は英語だけでなくマオリ族の言語とニュージーランド手話も同格言語だ。マオリ語でニュージーランドを示す「アオテアロア」もれっきとした正式国名である。
 そのため、大航海時代から現在もなお進行形である欧米列強の文化的侵略によって、民族の根幹を成す言語が失われつつある世界中の「少数民族」にとっては羨望の的になる場合がある。

 北海道で温泉施設の入浴拒否を受けてしまったエラナ・ブレワートン氏はアイヌ語復興をめざす講習会の講師として招かれていた。
 アイヌ語を母語とする人は、たぶん最後の世代が民主党から参議院議員になった1920年代生まれの萱野茂氏ではないかと思う。彼が生まれた時点ですでにアイヌ語は消滅しかけていたが、幸いにもアイヌ語が母語の祖母に育てられたために、異例の若さで民族言語を母語とすることができた。その彼も2006年に黄泉の客となられた。
 したがって、現在アイヌ語を話せる人はほぼ全員「第一外国語」のような感覚で、もはや母語ではない。民族文化を守ろうとする運動家にとっては相当な危機感を持っているし、ニュージーランドで圧倒的多数派の英語の圧力に屈せず対等な言語としての地位を守っているマオリ族から学ぼうとするのはごく自然な展開だろう。

 以上、私はある程度の事情を知っているので、今回の事件について個人的にはマオリ族側に理ありと思っている。
 ただ、エラナ・ブレワートン氏の言い分を全面的に認めてしまった場合のことを考えると、ヤクザが背中などに入れている刺青も実は「日本固有の伝統文化」だと言われれば否定はできなくなる。藝術と評価する海外市場や美術業界もあるだろう。そして西洋のタトゥーも、「藝術だ」「ファッションだ」と言われると否定はできない。
 温泉施設の責任者の主張「入れ墨のさまざまな背景までは判断できず、一線を引かないと信頼を失う」は物理的にやむを得ない。

 ブレワートン氏側は「先住民族の証しや誇りが認められないのは残念」とコメントしている。確かに残念といえば残念だが、それで終わってしまうと平行線のままだ。「差別だ」と批難するだけでなく、逆に断らざるを得ない施設側の特殊事情も察しなければ建設的議論に施設や世論を巻き込めない。

 一つ、ヒントになる事例がある。相撲取りのまわし姿、あれはTバックやマイクロビキニのようでもあるし、国によっては公然猥褻である。お笑い芸人江頭2:50氏がトルコのでフリチンになって観客から怨嗟の的になり暴動寸前になった。この事件を報道した番組が在日トルコ人にインタビューをしたところ、大相撲も本来は猥褻に見えるらしい。
 本音では猥褻に見えているのだが猥褻だと抗議しないのは、日本文化であると認知されているためだ。トルコ市民も江頭2:50氏の褌一丁までは許容してくれた。
 日本文化でもある大相撲は発信力のある欧米でよく取り上げられ世界各地で認知されつつあるし、大相撲協会側も海外への情報発信や海外巡業にも力を入れている。同時にトルコの場合はこないだのカッパドキアで起こった日本人女子学生殺傷事件で、地元の市民が集まり日本語で書かれたプラカードを掲げて追悼集会を行うなど親日度が高い。

 大変な忍耐が要り難しいことだが、「解決」に至るにはマオリ側と日本側との相互理解の努力を執拗に積極的に続けるほか方法はない。批難するだけでは、お互いに反感だけがつのり、僅かな可能性も消し飛んでしまう。  


 
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[ 2013/09/13 13:57 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(2)
どなたかのブログで拝見しましたが、あれは主催者側の配慮が
足りなかったと書かれていました。事前にこういう方を連れて
いきたいがと連絡していれば、家族風呂なりなんなりの対処を
してくれたかもしれないのに、何も言わずに突然行って、差別
だと騒ぐのは自己中心的でもあると書かれていました。
私もまったく同感です。ご本人は日本側の事情を知らないで
ありましょうし、施設側でもそのような文化があるとの認識
が薄いかもしれない。
そこをつなぐのが主催者側じゃないでしょうか。(私もイベ
ントの事務局をやりますが、不手際があってお客様が不快な
思いをしないよう、行く先全部に事前連絡をして頼んでおき
ます)
ファッションのタトゥーと伝統文化をどこで判断するかという
問題はありますが、少なくとも今回のようなケースではこれほ
どこじれずに解決できたと思います。
今はなんでも施設側、業者側にクレームをつけることが多い
ですが、その前に利用する側もできるだけの努力をしてから
抗議すべきじゃないかと思います。
[ 2013/09/14 13:40 ] [ 編集 ]
A君へ
 
 仰るとおりでしょう。
 
 施設側とマオリ族側の双方の立場を知りうるのが主催者です。相互理解のために骨を折る責務が主催者にありました。
 
 主催者の気持ちとしては、長年差別されてきた「被害者」がなぜ差別してきた「加害者」の立場を察してやらなければならないのか、こちらがクレーム付ける前に勉強する責任が「加害者」にはある、そんな感覚あると思います。
 しかし、そんな事では解消できるものも解消できず、逆に差別意識を煽り、社会的少数者を積極的に差別する輩たちの格好の餌になってしまいます。
 
 ただ残念なことですが、A君のような意見を言えば「我々被害者に謝るべきなのに我々に責任があるかのように論点をすり替えている」と善意の意見に仇で返すような反論をされる方が少なくありません。
 
 

> どなたかのブログで拝見しましたが、あれは主催者側の配慮が
> 足りなかったと書かれていました。事前にこういう方を連れて
> いきたいがと連絡していれば、家族風呂なりなんなりの対処を
> してくれたかもしれないのに、何も言わずに突然行って、差別
> だと騒ぐのは自己中心的でもあると書かれていました。
> 私もまったく同感です。ご本人は日本側の事情を知らないで
> ありましょうし、施設側でもそのような文化があるとの認識
> が薄いかもしれない。
> そこをつなぐのが主催者側じゃないでしょうか。(私もイベ
> ントの事務局をやりますが、不手際があってお客様が不快な
> 思いをしないよう、行く先全部に事前連絡をして頼んでおき
> ます)
> ファッションのタトゥーと伝統文化をどこで判断するかという
> 問題はありますが、少なくとも今回のようなケースではこれほ
> どこじれずに解決できたと思います。
> 今はなんでも施設側、業者側にクレームをつけることが多い
> ですが、その前に利用する側もできるだけの努力をしてから
> 抗議すべきじゃないかと思います。
[ 2013/09/15 02:33 ] [ 編集 ]
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