ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「駅馬車」 ストレス解消活劇〔85〕 

駅馬車」 
黒澤明監督が感動した西部劇の金字塔!

 

  
【原題】STAGECOACH
【公開年】1939年  【制作国】亜米利加  【時間】99分  
【制作】
【監督】ジョン・フォード
【原作】アーネスト・ヘイコックス
【音楽】ボリス・モロス リチャード・ヘイグマン W・フランク・ハーリング ジョン・レイポルド レオ・シューケン ルイス・グルーエンバーグ
【脚本】ダドリー・ニコルズ
【言語】イングランド語       
【出演】ジョン・ウェイン(リンゴ・キッド)  トーマス・ミッチェル(ブーン医師)  クレア・トレヴァー(ダラス)  ルイーズ・プラット(ルーシー・マロリー)  ジョン・キャラダイン(ハットフィールド)  ドナルド・ミーク(ピーコック)  ジョージ・バンクロフト(カーリー保安官)  アンディ・ディヴァイン(バック)  バートン・チャーチル(ゲートウッド)  フランシス・フォード(-)
      
【成分】スペクタクル パニック 不気味 勇敢 かっこいい 西部劇 1880年代 アメリカ 
  
【特徴】いうまでもなく西部劇の金字塔であり、西部劇だけにとどまらず活劇全般の教科書ともいえる。特筆すべきは1時間半余りの短い尺で登場人物全員の人間模様を描きながらアパッチ族と現代のカーチェイス並の迫力で死闘を描いている点である。構成力は完璧以上のできと言いたいほど見事だ。
 本作ではまだ若いジョン・ウェインジョン・キャラダインが出演している。

 ただし、アメリカ先住民を得体の知れない非人間的な侵略者であるかのように描いているため、近年の人権意識や民族意識の高まりでアメリカ本土では上映されなくなっている。

 黒澤監督が感動した作品としても知られている。
      
【効能】活劇を制作しようと思っている人にとっては教科書になる。
 
【副作用】アメリカ先住民を醜悪に描いているため不快感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
現在もなお「駅馬車」の影響下にある。
 
 この作品、日本の黒澤明監督に強く影響を与えた西部劇で有名だが、本作を観ていると黒澤映画に限らず世界中の映画に影響を与えており、現在もなおその影響下にある事は2011年「世界侵略: ロサンゼルス決戦」や2012年「バトルシップ」を観ると感じる。なにしろ構成や展開がよく似ているのである。

 最初に登場人物の紹介と相関図を不自然なく簡潔に判りやすく描写しながら、行く手に凶暴な「敵」の影をちらつかせ、後半から「敵」との銃撃戦を迫力満点に尺を割いて観客の興奮させていく。(余談2)
 疾走する駅馬車とそれを追いかける敵の騎馬軍団とのスピード感ある銃撃戦は、現代活劇のカーチェイスの元になっていると過言ではない。そしてラストは観客がホッとする大団円にしてまとめる。
 この「駅馬車」は100分足らずの作品枠に無理なく構成しているところが素晴らしい。

 活劇の優れた教科書のような作品なのだが、現代のアメリカでは上映は難しい。TV放送などあり得ない。というのも、作中で登場する「敵」とはアメリカ先住民であるアパッチ族だからだ。
 主人公たちを乗せて疾走する駅馬車を丘から虎視眈々と見下ろすアパッチ族、顔のアップが映されるが概ね先住民的特長をもったエキストラたちだった。白人が黒髪長髪のヅラを被っているのではなく、本当の先住民かアジア系のエキストラが演じているようだった。映し方が効果的だから、まるで異様な風体の異星人が来襲するかのようだ。先住民差別に塗れた作品はもはや公共の場での上映は無理だろう。

 で、思うのである。「ロサンゼルス決戦」や「バトルシップ」の敵がどうして「宇宙人」なのか。近年の人権意識の高まりで、同様の物語の作品を創ろうと思ったら昔のようにインディアンやロシア人やアラブ人を敵にしづらい。宇宙人なら批判は受けずに殺戮場面を楽しめると。
 近年の映画を観るとそんな苦肉の思惑を感じてしまう。 

(余談1)1930年代の映画は現在の映画の直接の開祖的金字塔がゴロゴロある。サイレントからトーキーに移り変わっているので、監督やカメラマンの撮影方法や俳優やエキストラたちの演技手法など、現代映画では当たり前の技術がこの時期に確立した。そのため金字塔的映画が多数制作されている。30年代後半にはついにカラー映画が登場。
 「魔人ドラキュラ」「フランケンシュタイン」「キング・コング」「オズの魔法使」「風と共に去りぬ」そして「駅馬車」、みな30年代である。

(余談2)この頃のジョン・ウェインは少し中年になりかけたイカツイ兄ちゃん。晩年のジョン・ウェインしか知らなかった私にとっては新鮮である。同じくジョン・キャラダインもまるで髭を生やしていた頃のムーディ勝山みたいに若い。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆☆ 秀
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
【受賞】アカデミー賞(助演男優賞)(1939年) NY批評家協会賞(監督賞)(1939年)
  

 
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