ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

山本太郎(12) 近頃の現象[九百五十二] 

「政治利用はマスコミ」 手紙問題 
山本議員が辞職否定

 
 参院議院運営委員会の岩城光英委員長は1日、園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した山本太郎参院議員(無所属)を呼び、事情を聴いた。山本氏は岩城氏に対し「政治利用という意味は分からないが、品位を汚したなら参院に申し訳ない」と陳謝した。(産経新聞)
 
【雑感】山本太郎氏の一部支持者たちには好感を持ったと思う。人間、切羽詰ったときに礼儀だとかルールなどを気にしている暇(いとま)はない。赤穂浪士の大石内蔵助はルールを破って幕府の役人に三度も御家再興の嘆願を行っている。本来なら切腹の沙汰を受けるところだ。
 山本太郎氏が手本にしたかどうかは定かではないが、明治の衆院議員の田中正造は日本史上初の本格的な公害である足尾銅山問題で明治天皇に直訴しようとした。評論家たちは法規上の問題などをあげて批判するが、必死になっている人間から見れば机上の能書きに過ぎない。必死になっている人間は前しか見えないのだ。この姿が支持者たちにウケる。
 
 政治生命を賭け身体を張って誰もやらない行動を果敢にやってのける姿に感動する者も少なくないだろう。逆の視点で見れば、ルール違反ではあるが最敬礼しながら書翰を手渡した行為をしただけで議員辞職というのは彼を支持した60万人以上の国家主権者の声を潰す事になってバランスが悪く、手紙を丁重に受け取られた今上陛下の気持ちも後味悪くなろう。
 処刑を覚悟した田中正造は議員辞職をしてから紋付袴姿で明治天皇の馬車に駆け寄り直訴したところを取り押さえられたが、あの大日本帝国の明治時代でさえも「狂人がよろめいただけ」として政府は不問、即日釈放した。
 
 私は反原発派なので山本太郎氏を支持しているから、つい弁護気味の論調をとってしまうが、ただ今回のやり方は支持しない。
 帝国憲法時代の天皇は国家主権者であると規定されているので、世俗の政治に関与せずという暗黙のルールがあるとはいえ天皇が最高決定権を保持している事に変わりない。現に太平洋戦争敗戦の決断を下したのは昭和天皇である。
 現憲法下ではさらに踏み込んで象徴天皇と規定されており、世俗の政治に関与しないことは憲法で明確に定められているから、山本太郎氏を支持した勢力の中で「平和憲法」を護る人々は彼を時代錯誤の暴挙ととる。現に共産党は批判を述べている。
 
 今回の山本太郎氏の行動で、田中正造の直訴と並んで2・26事件の青年将校とダブらせる方々もいる。彼らもまた、困窮する東北人民のため、暴利を貪る財閥とそれに癒着する君側の奸を打倒するために「義挙」した訳だが、結果的には昭和天皇は青年将校たちに激怒して世俗の政治に関与する言動を取ってしまい、東條英機らの台頭を促し戦時体制をより促進させることになった。
 
 また、近年の「アラブの春」を見てもわかるように、やむにやまれぬ突破力は現状打開に絶大な効果があるが、その後の始末ができない。アフリカ諸国の多くが第二次大戦後で五月雨のように欧米列強から独立したが、その場の勢いと報復で経済と学術を担っていた白人層を追い出したため、後の経済的困窮と政治的混迷を招いてしまった。
 南アのアパルトヘイトを打ち破ったマンデラが政権を取ったときに、今度は強靭な忍耐で白人との和解と融和を計ろうと苦心する様は映画「インビクタス/負けざる者たち」でよく描写されている。
 
 やむにやまれぬ突破力をどの場面で使い切るか、一応「平和な日本」では使い切る場を選定する胆力が必要だ。でないと世論が引いてしまう。
 少なくとも、陛下に手紙を渡す事に突破力を使うのは、逆に体制権力が反原発勢力全体に「偏った変な人たち」というネガティブなレッテルを貼る好機を与えるだけで、原発問題の深刻さが誤魔化されてしまう危険がある。
 
 加えて、山本太郎氏は「これだけ報道されたら(私の後は)もうやる人はいないのでは」と報道陣に語ったが、自主的にやらなくなるのではなく、左派的あるいは反体制的言動を少しでもする人間は園遊会に呼ばれなくなるだろう。今上陛下の政治的に分け隔てない姿勢をとるポジションも危うくしかねない。
  

 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト
[ 2013/11/02 12:23 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
110位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
53位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク