ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「オブリビオン」 美術鑑賞映画〔11〕 

オブリビオン」 
久々のハード風SF。

 

  
【原題】OBLIVION
【公開年】2013年  【制作国】亜米利加  【時間】124分  
【制作】
【監督】ジョセフ・コシンスキー
【原作】ジョセフ・コシンスキー
【音楽】
【脚本】カール・ガイダシェク マイケル・デブライン
【言語】イングランド語       
【出演】トム・クルーズ(ジャック・ハーパー)  モーガン・フリーマン(ビーチ)  オルガ・キュリレンコ(ジュリア)  アンドレア・ライズブロー(ヴィクトリア)  ニコライ・コスター=ワルドー(サイクス軍曹)  メリッサ・レオ(サリー)  ゾーイ・ベル(-)
      
【成分】ファンタジー 不思議 知的 切ない SF  
  
【特徴】「トータル・リコール」を連想するどんでん返しありのハード風SF。藤子F不二雄氏のSF短編を連想してしまう雰囲気。荒廃した地球の描写が美しい。
 
 但し、大作の割に地味な作品に見えるかもしれない。
 
      
【効能】深夜に観ると、孤独を楽しむ事ができる。自分自身の人生を見直すきっかけになるかもしれない。
 
【副作用】地味で拍子抜け。凡庸な内容でがっかりする。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
監督曰く、SFを観ない人の為のSF。

 ジョセフ・コシンスキー監督は某記者のインタビューで「SFを見ない人のためのSF」と言った。
 たしかにSF好きの人から見れば、アイディア自体は特に目新しいものは無い。日本人が慣れ親しんできた手塚治虫氏や藤子不二雄氏(藤本弘)に萩尾素都氏のSF作品群や、ウルトラマンにスタートレックなどの特撮ドラマで本作の基本的ネタは既に概ね使用されている。つまり、SFを嗜む日本人から観ると、本作の光景はどれも「見覚えのある」モノだ。
 せめて球形を基調としたメカデザインなどの大道具小道具で魅せたいところだが、これとて主役トム・クルーズ氏がまだ小学校にあがるかあがらない頃に公開された「2001年宇宙の旅」に登場するディスカバリー号やスペースポッドがある。

 前評判ではどんでん返しと予測できないストーリーとあるが、これも漫画・小説・映画全般を見慣れた人から見れば、「ふうん、そんな展開で来るか、ならオチはこうかな? やっぱりそうするか」と思ってしまう場面ばかりだ。
 今まで信じていた常識が嘘だった、今まで善だったものが実は悪だった、という類ならば「海のトリトン」や「ウルトラセブン」のノンマルトなどでも使われている。残念ながらSFだけでなくミステリーやスリラーなどの一般作としても新機軸は無い。実は監督の主張は言い訳がましいのだ。(余談1)
 
 では本作に何の取りえがあるのか? ビジュアルは美しいがCG技術が定着した現代ではもはや目新しくない。湯水の如く予算をつぎ込めるメジャー映画であれば、できて当然の代物だ。
 俳優たちの演技力なのか? しかしこれとて予算をつぎ込めるメジャーであれば、人件費の高い俳優を集められて当然だ。またトム自身にとっても、チャンバラの侍をやる訳でもドイツ軍将校に扮する訳でも車椅子のベトナム帰還兵をやる訳ではなく、スタンダードなイケメン主役だ。期待を裏切る演技、意表を突く演技は無い。
 もし、全く同じ絵をBC級映画でやれば多少は評価が高いかもしれないが、メジャー映画であれば投下資本のわりに地味さが際立ってしまう。
 
 しかし私は嫌いではない。価値観が逆転する経験を多くの人も体験していると思う。幼い頃の価値観が思春期で激変し、社会に出てまた激変し、子供ができてまた逆転、いや原点回帰になる事もある。

 主人公は放棄された地球の管理人、冷たく清潔で殺風景モダンな事務所兼官舎で内縁関係の女性とチームを組んで無人パトロール機のメンテと修理をする毎日。異星人との戦いで放射能に汚染された立入禁止区域が広範囲にあり、主人公は担当するエリアから出たことが無い。また何故かある時期以前の記憶が無い。本部やパートナーにはよく反抗するが反乱を起こすまでは考えていない、ただいつも漠然とした違和感を常に抱き続けている。
 学校で習った歴史や社会は正しいのか? まことの自分とは何なのか? 本当のところ自分は何を求めているのか? そんな悩みを抱いている人は少なくない。それをSFという解り易い雛型(人によっては解り難い)に固めて示唆する。そういうものと思えばいい。
 
 だから、この手の作品はけっこう好きだ。しかし、DVDコレクションに加えるかどうかは判らない。 

(余談1)この場合のSFとは、ハードSFかハードに近いSF、正確な科学考証と知的な刺激を求める作品を指す。ハードSFを基準にすれば、宇宙空間でチャンバラをする「スターウォーズ」や宇宙空間で第二次世界大戦レベルのドンパチをする「宇宙戦艦ヤマト」はSFではない。単なる冒険活劇ファンタジーだ。



晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作



 
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