『47 Ronin』でユニバーサルが
最悪175億円の損失の可能性もあり! ユニバーサル・ピクチャーズが人気スター、キアヌ・リーヴスを主演に製作した新作『47 Ronin』が、最悪1億7,500万ドル(約175億円)の損失になる可能性があることがThe Hollywood Reporterほか複数のメディアで報じられた。(1ドル100円計算)(シネマトゥデイ) 【雑感】当てにしていた日本でもふられた格好か。
私はけっこう気に入っていたのだが。トム・クルーズがサムライになった「ラストサムライ」よりも好意的に観た。キアヌ・リーヴスの方がサムライ姿が似合っている。また、現代史に直結する幕末明治維新をけったいに弄った「ラストサムライ」よりも、そこそこ古い元禄時代を和風ヒロイックファンタジーにした本作のほうが抵抗なく観れた。
さては頭の固い日本の映画ファンから「忠臣蔵を冒涜している」と総スカンを食らったか? と思いきや、そうではないらしい。なんと、本作に嫌悪感を感じる以前に、本作がどういう物語なのかを知らずにいる人が多いという。つまり、マーケティングの怠慢だ。
近年、ハリウッドでは日本の興行を意識した作品が多い。舞台を日本にしたり、日本人が登場したり、本作にいたってはその極致といってもいい。アメリカ国内の事情がよく判らないのだが、少なくとも日本での集客にテコ入れを図っているようにも見える。
日本でのハリウッド映画ははっきり言って不振だ。かつて邦画暗黒時代といわれた80年代後半から90年代にかけては、ハリウッド映画が席巻、映画館による興行収入の上位は常にハリウッドが独占するような状態が長く続いた。邦画で元気なのはアニメのみだ。
ところが2000年代に入って潮目が変わり始めた。邦画の興行が息を吹き返し始めた。シネコンの勢力拡大と老舗映画館の没落とも連動している現象だが、これは日本の映画業界全体のマーケティング戦術刷新だろう。映画作品自体は特に何かが画期的に変わったとは思えないからだ。
老舗映画館が競争に勝てず次々と没落閉鎖していく中で、お洒落で画一化された店舗のシネコンが都市部郊外を中心に広がっていった。老舗映画館が市販の駄菓子やバニラ最中(もなか)を売るのに対し、ファーストフード店の要素を取り入れて出来立ての熱いポップコーンやホットドックを売る。電車でアクセスする客よりも車でやってくる客に対応して駐車場の完備、ショッピングモールに併設する事で映画のついでにショッピングや外食を楽しめるようにした。
これらによって映画の観客数は回復していった。だが、あくまでこれは映画の売り方を変えたのであって、映画作品の質や映画制作に何か劇的かつ画期的な変化があったわけではない。シネコンと芸能プロや映画会社が連携する事で邦画のマーケティングをダイレクトに行えるようになった事のほうが大きい。
一方、特定の芸能プロに所属するアイドル達は歌だけでなく俳優やバラエティの出演者または司会など様々な仕事をこなさなければならない。AKBにいたっては「地域のアイドル」というコンセプトもこなさなければならないので、仕事のレベルがアップしているのはいえるかもしれない。ただ、制作現場は特定の芸能プロが関与する事で制約の多い環境になったのではないか。
いずれにせよ、邦画のほうに魅力を感じる観客が増え、ハリウッド側が日本国内で劣勢に立たされるようになった。また、ハリウッドのメジャー映画はネタが無いのかシリーズ物やリメイク物が増えて一時の魅力を感じる事ができず、おまけに世界中の人々にウケる題材よりもアメリカでしかウケないようなネタや、アメリカ文化自身の勢いに陰りがあることもあるだろう。それが日本での不振の原因だと思う。
それゆえ、今までのようなマーケティングでは日本に切り込む事は出来ない。ましてや、ハリウッドスターがサムライになる事はすでにトム・クルーズの前例がある。
いっそ、挑発的に「
47RONIN」ではなく、「メリケン本忠臣蔵」にしても良かったのではないか。インパクトがいまいちだったようだ。日本の観客を怒らすくらいでちょうど良かったのではないかと思ている。
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