ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

佐村河内守騒動(2) 代理人辞任。 近頃の現象[九百八十四] 

佐村河内さん代理人が辞任「意見の違い」

 ゴーストライター問題の渦中にあり、現在の全聾(ろう)状態もウソと告白した作曲家佐村河内守氏(50)の代理人を務めていた折本和司弁護士らが15日、代理人を辞任したと明らかにした。(日刊スポーツ)
 
【雑感】代理人としてみれば、悪徳弁護士でもない限りこれ以上の弁護はしきれないだろう。当初の「設定条件」が架空のものだったわけだから。下手をすれば、世間から詐欺の共犯者との烙印を押されかねない。

 厳密に言うと、障害者手帳はあてにならない。職場や学校の健康診断で聴力検査を受けた人は多いと思う。個室に案内され、担当者から型の古そうなヘッドホーンを装着するよう指示され、左右片方ずつ周波数を変えて音声を出されて、聞こえたら「はい」と答えるあの検査だ。
 私の息子は生後2ヶ月の時に脳波まで調べたが、それは新生児ゆえに意思表示ができないため脳波を診た。普通は耳が聞こえるのに聞こえないと言い張る人はいないだろうし、それが前提で検査をする。聞くところによると、今はどうか知らないが昔は障害者手帳交付のための検査もそのレベルだそうだ。
 だから、佐村河内氏の障害者手帳は不正交付で得たものかどうかはまだ不明だが、少なくとも2級障害者手帳が全聾の「医学的根拠」にはならない。

 俳優を志していたとの報道があるが、それが事実ならリアルに聾唖者を演じれば良かったのだ。生まれながらに耳が聞こえない人は、他人の唇の動きでしか言語を学習できない。舌や喉や息の使い方を正確に知ることができないから、発声が不明瞭になってしまう。それを演技すれば、まだ騙し通せただろう。あっ、30を過ぎてから聴覚障害になった設定だから駄目か。


 それから、「佐村河内守はトンデモ人物だが、ゴーストライターの新垣隆氏が作曲した曲は良い」という意見をよく耳にする。ただ、これも音楽を学問的に勉強した知人は18世紀や19世紀の交響曲の良い部分をパッチワークしたモノと酷評している。
 それはなんとなく理解できる。私も一応は正真正銘の藝大出身者だ。概論ではあるが音楽理論のことも学んだ事がある。それによれば、世間の人々が聞いて心地よい交響曲というのは19世紀まで、20世紀以降になると耳に不快な金属音や雑音のような音楽になっていく。
 音楽好きを自称する知人に言わせると「音楽は論理だ。イマジネーションではない。譜面を見ればいつの時代の音楽か判る」などと豪語していた。

 またNHK教育が80年代に放送していた「YOU」という番組で坂本龍一氏が講師として出演し、東京藝大の大学院で修士号をとりながら何故ポップミュージックの業界に入ったのか、その理由をピアノで実演しながら説明された。ピアノを弾くというより叩きながら騒音を出して「現代音楽はこんな感じです。これでは世間一般の人には受け入れてもらえないからポップミュージックの世界に入った」と語った。

 これらの話を総合すると、私は絵を若干やったことがあるので今回の騒動で評判の交響曲を絵画に例えれば、ルネッサンスやバロックの宗教絵画や18世紀から19世紀のロマン主義や写実主義の絵画のようなモノかも知れない。現代美術になると世間様からは下手糞な落書きやふざけたパフォーマンスにしか見えないからだ。
 そもそも交響曲で異例のヒットを飛ばすこと自体、すでに現代の交響曲ではなく19世紀までの音楽のパロディ(作り変え)の可能性があり、少なくとも新機軸ではない。

 ゆえに音楽好きの知人に言わせると、売れ筋の曲を大層に交響曲にしただけで「現代のベートーベン」ではなく「ベートーベンのパロディ」、そして全聾が嘘だった事が判明したいま、パロディですらない。


 佐村河内氏の「音楽」を批判的にみていた者は玄人筋には大勢いたと思う。ところが批判できなかったのは、まず迂闊に批判すると「障害者差別」のレッテルを貼られるリスクがあった事、そして交響曲は商業的に売れないもので、特に現代音楽に至っては世間の感覚から完全に乖離してしまっているなかで「交響曲第1番(HIROSHIMA)」が異例のヒットを飛ばしているゆえ業界の経済的思惑も働いた可能性。

 今回の事件で私が危惧するのは、リバウンドで障害者への偏見が増幅されてしまう事、それからポップスの世界ではジョン・レノンやポール・マッカートニーなど譜面の読み書きができない作曲家は少なくないのだが、識譜力の有無が作曲できるできないの判断基準にされてしまいかねない事。
 文章の読み書きができなくても言語を操り会話ができるのと同じように、譜面の読み書きができなくても作曲はできる。あくまで譜面は曲を記号で記録するためのものだ。 
  

 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト
[ 2014/02/16 00:52 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(2)
弁護士は早期に辞任して正解でしたね。

早めに辞めておけば世間はすぐに忘れてしまいます。
[ 2014/02/17 18:49 ] [ 編集 ]
うろぱす氏へ

 設定条件が出鱈目ですからね。佐村河内もほどなく忘れ去られるでしょう。坊主にして髭剃って作業着姿でビルの清掃なんかやってたら、誰もかつて「現代のベートーベン」と言われていた虚名音楽家だとは気づかれないでしょう。

> 弁護士は早期に辞任して正解でしたね。
>
> 早めに辞めておけば世間はすぐに忘れてしまいます。
[ 2014/02/18 05:51 ] [ 編集 ]
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
184位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
78位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク