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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「奇談 キダン」 孤独を楽しむ時に〔21〕 

奇談 キダン」 
暗い静けさがジワリとくる作品

 

 
【公開年】2005年  【制作国】日本国  【時間】88分  【監督】小松隆志
【原作】諸星大二郎
【音楽】川井憲次
【脚本】小松隆志
【言語】日本語
【出演】藤澤恵麻(佐伯里美)  阿部寛(稗田礼二郎)  ちすん(静江)  柳ユーレイ(中原巡査)  神戸浩(重太)  菅原大吉(加納英臣)  土屋嘉男(三戸部孝蔵)  堀内正美(芹沢義満)  白木みのる(洗礼のヨハネ)  田中碧海(小杉新吉)  森脇英理子(田崎純子)  山田夏海(7歳の里美)  やべけんじ(善次)  守田比呂也(風呂の老人)  伊藤幸純(橋本医師)  甲野優美(7歳の静江)  野上昇馬(配電盤修理業者)  プリティ大田(黙示録のヨハネ)  赤星満(使徒ヨハネ)  島綾佑(お妙の兄・正一)  三ツ矢雄二(善次)  一龍斎貞水(龍尊寺住職)  草村礼子(お妙)  清水紘治(桐島神父)    
  
【成分】ファンタジー ロマンチック 不思議 不気味 知的 聖書 
   
【特徴】諸星大二郎氏の漫画「生命の木」を映画化。原作の雰囲気を壊さないよう撮影がなされている点に好感を持つ。主人公である異端の考古学者稗田礼二郎役の阿部寛氏も原作通りにダークスーツを着用、しかしながら原作のような長髪にしなかった点に良識とバランス感覚を感じる。
  
【効能】真夏の深夜に鑑賞すると涼を得られる。書斎に閉じこもって孤独を楽しみたいとき、より知的で孤高のムードを高められる。
 
【副作用】オカルトとしてのキリスト伝説に興味の無い人には話が判りづらい。B級映画が嫌いな人には漫画的表現に見える箇所があって不快感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
諸星大二郎伝奇世界の及第作品
 
 漫画家諸星大二郎氏の作品は、星野之宣氏とならんで中高学生時代から読んできたので、些か強い思い入れはあるし、以前に沢田研二氏が稗田礼二郎に扮した「ヒルコ」の失敗例(余談1)があるので、覚悟して観た。
 結論から言うと、全体的に及第点だろう。絶賛することはできないし、かといって扱き下ろすのも酷だ。制作者側が原作の雰囲気を壊さないように心を配った跡が見られるし、安部寛氏の稗田はまずまずだった。藤澤恵麻氏も無難に役をこなしている。
 特に諸星ファンが危うく思い、制作者サイドで議論になっただろうと思うのが稗田キャラの描写方法だろうと思う。沢田研二氏の稗田は悪い意味で原作から逸脱させ、制作者と阿部氏がつくった稗田キャラは原作とは程よい距離を置いたので、かえって作中の雰囲気を壊さず現実離れしない存在になった。(余談2)
 
 ただ、1つだけどうしても残念に思うのは、崖崩れで道が寸断されている風景・草木1つ生えていない骨山・死後2日程度の刺殺遺体の描写はリアルだったのに、一番大事な洞窟場面はスタジオ丸出しのように見えた。この映画も、ここまでやって何故?と思う作品だった。
 
 最後に、レビューの中には基督教を知っていると思われる方から作品内容についての批判があり、基督教を知らないと思われる方からは「よく判らない」との感想があった。しかし、基督教が孤立した中で土着し別の宗教に変質した設定(余談3)でもあるし、あくまでも伝奇モノなので諸星流の湿り気ある伝奇世界を気楽に楽しんでは如何だろう。
 
(余談1)「ヒルコ 妖怪ハンター」1990年頃公開。沢田研二氏が白い夏用スーツに開襟シャツ姿で稗田を演じる。原作漫画の稗田は黒いスーツ姿だが、実写版で夏でも黒を着せては、ブラック・ジャックみたいでワザとらしいと制作者は判断したのか?
 B級スプラッタ娯楽ホラー映画なら、けっしてアメリカのB級スプラッタとも遜色無いので作品としては及第点だが、原作ファンにとっては噴飯モノである。諸星大二郎氏からシチュエーションとキャラを拝借して別の物語を作ったと解釈すべきか。
 
(余談2)原作の稗田は長髪にダークスーツ姿だが、安部寛氏が長髪ではブラック・ジャックに扮した加山雄三氏よりも情けない姿になる。
 思い切って、こないだゲゲゲの鬼太郎を演じたウェンツ氏に稗田を演じさせたら、けっこう似合うのではないか。あと10年経って挑戦するか、あるいは俳優としてのキャリアアップで今のウェンツ氏で挑むか。
 
(余談3)そもそもヨーロッパのカトリック自体も本来の教義から「柔軟な」解釈を行い、聖書に忠実であろうとした人々が「異端」として迫害された歴史がある。
 広い社会から隔離し孤立した環境なら土着・変質は十分考えられる。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
晴雨堂関連作品案内
ヒルコ 妖怪ハンター [DVD] 塚本晋也
栞と紙魚子の怪奇事件簿 [DVD] 南沢奈央主演
  

  

 
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