中国女民兵方隊。
領隊を務める超娜氏
中国人民解放軍八一テレビスタジオ制作から抜粋
「領隊」とはツアーマネージャーなど意味だが、
ここは素直に「隊長」でいいだろう。
【雑感】既にアジア志向のミリタリーマニアの間では評判になっているだろうが、私はそれほどマニアではないのでつい最近になってYouTube動画から存在を知った。
彼女たちは60周年国慶節(2009年10月1日)で天安門前パレードを行った女性兵士たちである。
陳凱歌監督初期の名作「大閲兵」では当時の軍事パレードやその楽屋裏の練習風景などが描写されていた。作中の人民解放軍は草色の人民服に襟章をつけただけの素朴で私好みの軍服だったが、現代ではアメリカ軍や日本自衛隊に近いデザインに変わっている。また、記念すべき国慶節(建国記念日)で天安門前パレードなので、みな綺麗な軍服を着ている。
その中で目を引いたのは女民兵方隊である。

隊長を務める趙娜氏を基準点に、趙隊長を方隊(四角の隊列)の右角になるよう整然と整列する女民兵。良く目立つ赤い軍服に白いベレー帽と白いブーツ。制服はどうやら背広型開襟のジャケットとスカートが一体になったワンピース型。スカート丈は膝上20センチはありそうなミニ。スカートの裾と白いブーツの間の
絶対領域が美しくて萌えだ。
見ての通り、機動戦士ガンダムに登場してもおかしくない萌え系衣装。パレード用とはいえ以前の中国では考えられない派手派手。
上戸彩氏を若干骨太素朴にしたような美人隊長をはじめ、全員が見事なプロポーション、美脚ぞろいである。中国のメディアから得た情報によれば、生粋の軍人ではなくモデル出身や学生から選抜した20歳前後の女の子達だそうだ。趙隊長も元々はモデルで、方隊に入る前は髪を長くしていた。
とはいえ、一応軍隊なので恐い武器を持っている。写真から隊長と副隊長(あるいは二人隊長制か?)は腰のベルトの向かって左側に拳銃を入れる白いホルスター、右側にはおそらく弾を込めた拳銃用弾倉を入れているだろう白いマガジンポーチが二つ付いている。ホルスターの中はおそらく旧ソ連のトカレフをモデルにした54年式自動拳銃か?
隊長に率いられて行進する兵たちは銃床を折りたたんだAK突撃銃を持っている。(私は銃器マニアではないので間違っているかもしれないが)開発国旧ソ連を中心に旧東側諸国に普及、米軍のM-16(ゴルゴ13愛用の銃)と並び称されている名銃だ。
さて、モデルや学生から集めた軍隊、て何ぞやと思う方は多いと思う。当然の事ながらこの方隊は正規軍ではない。民兵である。中国語の「民兵」も日本語の「民兵」もほぼ同じ意味だ。
写真からでは判りにくいが、ベレー帽や袖のワッペン、肩章や右胸のバッチには「民兵(mínbīng)」の頭文字「M」が意匠に取り入られている。正規軍の方隊では、領隊を務めるのは銀色の肩章を付けた将校が務めているが、この方隊は全員が同じ衣装だ。
新華網・新華軍事から参照。 因みに上記写真は戦闘服姿の趙娜氏。パレードの凛々しい表情とは違って、少し和らいだ表情だ。けっこう可愛い。ロングの写真も見た事があるが、ショートの方が似合う。
80年代公開の陳凱歌監督「大閲兵」では、パレードに選抜された兵士たちはひたすら行進の練習に明け暮れていた。射撃訓練とか格闘訓練などはやっていない。今はどうなんだろうか?
戦闘服を着ているところを見ると、行進以外にやはり基礎的な軍事教練は受けているかもしれない。
中国の現政権はもともと革命政権であるので、正規軍以外に正規軍を補助する民兵が存在する。以前、私は毛沢東時代の記録フィルムを見た事があるが、「一般市民」が軍事教練に参加している様が描写されていた。当時は人民服の時代なので、基本的に同じデザインの服を正規兵も市民も着ている。違うのは襟に赤一色の襟章の有無だけ。一緒に観ていた友人はおどけながら「ジュネーブ条約違反やないんか?これ」と呟いた。
今はずいぶん様子は変わっていると思う。革命時代は人民の支持を得るため、農作業や散髪や衣服の繕いやラジオ修理などの住民サービスを積極的に行っていたが、80年代に鄧小平が軍制改革を断行して諸外国の軍隊と変わらない内容にしてしまったらしい。かつては「人民の服務員」と呼ばれ、外国人観光客も道に迷ったり事故や事件に巻き込まれたら警察より解放軍兵士を頼ったら親切にしてくれたらしいが、今は違うかもしれない。
趙隊長、凛々しくてグッドである。あまりにも見事過ぎる行進、まるでアニメ動画を見ているような錯覚に襲われる。
因みに正規軍のパレード動画は以下の通り。
「三軍女兵和女民兵」は日本語でいえば「三軍の女性兵士と女性民兵」か。
中国語で「和」は日本語の「~と」の接続詞に使われる。 三軍女兵方隊とは、陸海空三軍の女性兵士たちによって構成された方隊で、この場合の領隊は陸海空から一人ずつ選ばれた将校3人が務めている。
御覧の通り、米軍や日本の自衛隊とあまり変わらない服装である。共産圏諸国の特徴なのか、肩章がやや幅広で派手。白が海軍、緑が陸軍、青が空軍である。
世間の感覚では真ん中の陸軍の将校が美人だろうが、私は向かって左の海軍士官がグッドだ。号令をかけるときの顔が可愛い。
昔の中国人民解放軍女性兵士 しかし私は、まだ領土的野心を露わにしていなかった昔の女性兵士が良かったな。
映画「干杯,女兵们」(1985)から参照。 現在の中国軍はアメリカや日本と変わりない軍服を着用しているが、階級制導入前の中国軍は男性も女性も上記写真のように草色の折襟に赤一色の襟章(階級が無いので司令官も兵士も同じ無地の赤い襟章)を付ける。写真でお気づきと思うが、女性兵士も男性と同じ襟の合わせが左前である。髪型は短髪かあるいは写真の兵士のようにツインテールである。
映画「干杯,女兵们」(1985)から参照。 ただ、女性兵士の場合は上記写真のように開襟の上衣にベレー帽をかぶる場合もある。もちろん合わせは上衣も下のワイシャツも左前だ。
中国通から聞いた話では、階級が無いのは兵士も司令官も人格的に平等であるという建前から、男子も女子も左前なのも同じ理由かららしい。私は捻くれた人間なので、階級が無いのは文革の行き過ぎた政策であり、男子も女子も同じ軍服は被服部が製造し易いからだと思う。
因みに写真は映画の一場面だが出演しているエキストラや俳優は実際に兵士である可能性が高い。というのも中国軍は宣伝を目的にした部隊が存在し、俳優活動している兵士は少なくないからだ。「西太后」で悪女を熱演した劉暁慶氏や「至福のとき」の董潔氏は軍人から俳優キャリアを出発させている。
映画「干杯,女兵们」(1985)から参照。 上記写真のこの女優は気になる。凛々しくてカッコいい。
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軍服萌えにはたまらない映像ですね。まるでレニ・リーフェンシュタールのナチス宣伝映画のリメイクですね。マイケル・ジャクソンもリメイクしてたけど。リーフェンシュタールには美意識はあるけど内容がない。
https://www.youtube.com/watch?v=YGyduw0tStU#t=133