ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「風立ちぬ」 家族と一緒に感動しよう〔25〕 

風立ちぬ」 
宮崎駿引退作。



  
【英題】THE WIND RISES
【公開年】2013年  【制作国】日本国  【時間】126分  
【制作】
【監督】宮崎駿
【原作】宮崎駿
【音楽】久石譲
【脚本】宮崎駿
【言語】日本語       
【出演】庵野秀明(堀越二郎)  瀧本美織(里見菜穂子)  西島秀俊(本庄季郎)  西村雅彦(黒川)  スティーブン・アルパート(カストルプ)  風間杜夫(里見)  竹下景子(二郎の母)  志田未来(堀越加代)  國村隼(服部)  大竹しのぶ(黒川夫人)  野村萬斎(カプローニ)
      
【成分】泣ける 悲しい スペクタクル ロマンチック パニック 知的 切ない かっこいい

【特徴】堀辰雄の名作「風立ちぬ」から着想し、ゼロ戦の設計者堀越二郎の半生を描いた長編アニメ。宮崎駿氏は本作を以て長編アニメ制作からの引退を宣言した。主題歌は松任谷由実氏が荒井由実時代に発表した「ひこうき雲」をあてている。
 堀越二郎氏の遺族たちの評判は史実と異なる点が気になったものの概ね良かった。

【効能】一途に何かを打ち込んでいた青春時代がよみがえる。
 
【副作用】嫌煙派には不快感。平和主義には兵器描写が不快感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
一連の批判は 
新聞の見出しだけ観て早合点するのと同じだ。


 作品への評価は他レピュアーによって概ね出揃っているようなので、私は問題となっている作中の喫煙場面について自論を述べよう。

 NPO法人日本禁煙学会から煙草の表現について青少年に悪影響を与える恐れがあるとかで表現に「配慮」を要望した。これが言論界で波紋が広がっている。
 
 まず私の立場をいうと煙草撲滅派である。(余談1)30代の頃は嫌煙関係の市民団体に協力したこともあった。いちいち喫煙者個人に怒ると四六時中喧嘩をする羽目になり、精神衛生上より不健康になるばかりか悪くすれば流血の惨事になる。健康のために嫌煙を訴えているのにそれでは本末転倒、だから平素は温厚に対処している。が、行政への働きかけは積極的にする。

 そんな私ではあるが、禁煙学会のように「配慮」という形で表現者に注文を付けることは絶対にしない。別のレビューでも繰り返し述べてきたが、私は表現規制や言葉狩りの類には断固反対の立場である。もちろん、例え反日映画であれ反捕鯨映画であっても、上映禁止を叫ぶようなマネは断じてしない。言論には言論で対処だ。
 今回の場合、私であればジブリに表現の配慮を「要望」するのではなく、喫煙をテーマにした作品企画を持ちかける。現にハリウッドにはキアヌ・リーブス主演のエクソシスト作品「コンスタンチン」が嫌煙映画でも有名だ。
 いつも思うのだが、禁煙学会に限らず、市民団体というのは「反対」「規制」に気を取られ、自分たちで何かを創り上げることに不得手な方々が多い。

 
 喫煙場面が異常に多い事を問題にしているが、それが当時の時代の空気である。嫌煙先進国アメリカの映画「アポロ13」に登場するヒューストン管制室では全員男性スタッフ・煙草の煙モクモク・灰皿に山盛の吸殻で70年代初頭の雰囲気を表現した。もしアポロ計画当時のヒューストン管制室に煙草が映っていなかったら、それこそ違和感がある。
 今でこそ公共の場や職場から煙草は一掃されているが、かつては職場も煙草の煙だらけだった。私が小中学生の頃、いや高校でも職員室は煙草の煙に満ちていた。既に健康に害があること明らかだった当時でも、嫌煙を訴えたら教師からも変わり者扱いされた。今でこそ正論だが、つい90年代半ばまではトンデモ論を並べる異端の変人だった。つまり私は変人だったのである。(余談2)

 ましてや戦前戦中なら、世間は健康被害すら認識しなかった。肺を患う細君を気遣い外で吸おうとする主人公を離れたくないヒロインが「吸っても良いよ」と引き留める場面、多くの人が違和感を持たれた。肺を患っている細君のためにお前も煙草止めんかいボケ!と思った人も少なくないと思う。しかしそう思えるのは「現代人」だからだ。当時の人間に煙草を止める発想は期待できない。(私なら当時であっても「細君のためなら煙草やめるぐらい朝飯前にできるはずや!」と怒鳴りながら主人公を往復ビンタだ)

 当時の社会背景や空気感を無視して短兵急に現代の価値観に任せて作品を否定的に観るのは愚かなことである。さらに表現方法に注文を付けるのは言葉狩りと変わりはない。禁煙学会にそのつもりはなくても、「要望」という圧力に尾鰭がつくのが世の中だ。「こども」の漢字表記もかつては「子供」より「子ども」が望ましい程度だったのが、今や「子供」と書いたらまるで児童虐待犯であるかのように批難されかねない。

 繰り返し述べるが、言論には言論で対処である。禁煙学会がとるべき道は、著作権者たちに「配慮」を要望する事では断じてない! 禁煙をテーマにしたアニメ映画企画をジブリかジブリに匹敵する制作会社に売り込むことだ。

(余談1)4歳の頃に肺炎に罹患してから9歳にかけて喘息に悩まされた私は、水泳(小学5年生から高校3年生まで水泳選手)とチャリンコ(20代前半で日本一周)で克服し、大袈裟に言えば苦労して人並み以上の肺活量をせっかく手に入れたのに、何で銭を払ってまでそれを手放さなければならんのか、という思いで煙草には手を付けなかった。

(余談2)犬公方綱吉の生類憐みの令も当初は現代の動物愛護法の精神とあまり変わりはなかった。むしろ17世紀後半に先進的な政策、と一部の歴史学者から再評価されつつある。
 悪法となったのは、綱吉の政策への理解が浸透されなかった事と、政策に尾鰭がつき当初の趣旨から大きく外れ歪な形になったのが原因だ。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作


【受賞】第34回ボストン映画批評家協会賞 第79回ニューヨーク映画批評家協会賞 第18回サンディエゴ映画批評家協会賞 第85回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 第17回トロント映画批評家協会賞 第41回アニー賞脚本賞




 
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[ 2014/06/25 11:51 ] [ 編集 ]
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