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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ベン・ハー」 家族と一緒に感動しよう〔7〕 

ベン・ハー」 基督教圏にとっては不朽の傑作
 

 
【原題】BEN-HUR
【公開年】1959年  【制作国】亜米利加  【時間】240分  
【監督】ウィリアム・ワイラー
【原作】ルー・ウォーレス
【音楽】ミクロス・ローザ
【脚本】カール・タンバーグ
【言語】イングランド語
【出演】チャールトン・ヘストン(ジュダ=ベン・ハー)  ジャック・ホーキンス(クインタス・アリウス)  ヒュー・グリフィス(族長イルデリム)  スティーヴン・ボイド(メッサラ)  ハイヤ・ハラリート(エスター)  マーサ・スコット(ミリアム)  キャシー・オドネル(ティルザ)  サム・ジャッフェ(サイモニデス)  フィンレイ・カリー(バルサザー)  フランク・スリング[役者](ポンシャス・パイラト)  テレンス・ロングドン(ドルーサス)  アンドレ・モレル(セクスタス)  マリナ・ベルティ(フレビア)  ジュリアーノ・ジェンマ(メッサラ付将校)
   
【成分】悲しい ファンタジー スペクタクル ロマンチック パニック 勇敢 絶望的 切ない かっこいい キリスト教 ローマ史劇
     
【特徴】サイレント時代から何度か映画化されたが、本作が最も有名。アメリカ人だけでなく世界中の映画ファンにとっても不朽の名作となっている。日本でも毎年クリスマスシーズンになると、どこかの映画館や教会の集会所で上映されている。
 チャールトン・ヘストン氏が本作で大スターの地位を確実なものにし、主役級の俳優スティーヴン・ボイド氏はベン・ハーの敵役イメージがついてまわった。
 本物のローマ様式の競技場を建設し、エキストラも大勢参加する大スペクタクル、戦車競争は圧巻である。
 ところで、後に西部劇で活躍するジュリアーノ・ジェンマ氏がメッサラの部下役で出演している。台詞が無いチョイ役だったと思う。
 
【効能】感動のあまりキリスト教に入信するかもしれない。民族問題を知るきっかけになる。
 
【副作用】話が長すぎて疲れる。キリストの奇蹟がオチなので拍子抜け。キリスト教覇権の野望を感じる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
ハリウッドのパワーを魅せつける不朽の傑作
  
 1960年前後に青春をおくった映画ファンにとっては名作中の名作、あの時代のハリウッドはローマ史劇を数多く制作し、「スパルタカス」「聖衣」などが名作もキラ星の如くなのだが、この「ベン・ハー」ほど強烈な存在感を輝かせている作品は無い。
 というのも、主にアメリカのキリスト教徒にとっては忘れることができない「名作」の次元を超えた別格の映画だからである。現在の日本でも、毎年クリスマスが近くなると各地の映画館で上演されたり、TVで放送されたり、教会が自主上映したりと扱いが大きい。(余談1)

 キリストの奇蹟が挿入される事に違和感を感じる人もいるだろう。宗教に胡散臭さを感じている多くの日本人に共通する感覚かもしれないが、注意してほしいのはこの映画の原作は「キリストの物語」であり、イエスは俗世の主人公ベン・ハーを超越した真の主役である。「キリストの物語」は19世紀末に発表された大ベストセラーであり、「風とともに去りぬ」が記録を抜くまで君臨していた。
 つまり「ベン・ハー」からイエス・キリストの存在と奇蹟を省くことは絶対にありえないし、断じて許されないことなのである。
 
 作品は、冒頭のイエスの生誕とラストの磔刑を挟んで、イエスと同世代のユダヤ人貴族の波乱万丈な半生を描いている。幼馴染のローマ人メッサラ(余談2)との友情と破局、ガレー船での奴隷生活、海戦描写、豊かで華やかな大都市ローマ、メッサラとの不幸な再会と対決、迫力あるクライマックスの戦車競争、これで話は終わりかと思ったらキリストの磔刑と母妹への奇蹟。(余談3)
 全てのエピソードにメリハリと緊張感があり、3時間半という長編ではあるが中弛みは無く飽きさせない。作中に休憩時間を知らせる映像を挿入するなど時代を感じさせる部分があり微笑ましい。
 再現されたローマ時代のエルサレム、非アングロ・サクソン系のエキストラ、なによりクライマックス近くの戦車競争の場面は映画史に残る名場面として語り継がれている。どうやって迫力ある絵を撮影したのかわからない。スタントマンなどを使っているとは思うが、チャールトン・ヘストン氏が実際に4頭馬の戦車を操っているとしか見えない。
 この場面で心揺さぶられたのは、実物大に造り上げた戦車競技場の観覧席に集められたエキストラである。支配者ローマを象徴するメッサラにはブーイング、主催者の総督がローマ皇帝への忠誠を宣言するときはシラケ空気、ところが「ユダヤのベン・ハー」との呼び出しのとき、競技場に巻き起こる空前の大歓声。CGの無い時代の絵である。これは画面に映っている人々以上の大勢のエキストラが演じているのだ。支配者に対する被支配者へのメッセージ、だからこそキリスト教圏以外にもウケているのだ。
 
 さて50年近く経って、この「ベン・ハー」はアニメ化されたそうである。声はなんとチャールトン・ヘストン氏。マイケル・ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」では年老いたヘストン氏が登場する。どんな声でベン・ハーを演じているのか興味がある。残念ながら日本ではDVD化されていない。ヤフー映画データにも載っていない。
 
(余談1)主役のチャルトン・ヘストン氏は、作中のベン・ハーと同じくユダヤ系であるのは有名だ。ヒロインのエスター役はハイヤ・ハラリート氏、記憶に誤りが無ければ、彼女はイスラエル空軍のパイロットだったと思う。ハリウッドがエキストラやセットだけでなくキャスティングにもリアリさを追求していたことが窺われる。
 記録の上でも、アカデミー賞受賞部門数は映画史上最多であり、「タイタニック」や「ロード・オブ・ザ・リング」でも抜かれていない。
 
 初めて観たのは小学生の頃だったと思う。エスター役のハイヤ・ハラリート氏に恋心に似た憧憬を抱き、彼女の似顔絵ばかり描いていた。級友からは「なんやそれ?インド人か?」と心無い言われ方をされた。
 数年前、中学生時代に描いた彼女の似顔絵デッサンが見つかった。明暗を黒く描きすぎたために顔全体が黒っぽくなっていたので、たぶん以前の絵もその傾向があったのだろう。
  
(余談2)メッサラ役はスティーブン・ボイド氏。「ローマ帝国の滅亡」や「ミクロの決死圏」などの代表作があるのに、「ベン・ハー」の敵役というイメージがあまりに強い。
 
(余談3)途中、イエスが節目に登場するが、遠景であったり、後姿であったりと表情が判らない様に撮ってある。これは従来の邦画が昭和天皇を描写しているのに似ている。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆☆ 秀
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
【受賞】アカデミー賞(作品賞)(1959年) ゴールデン・グローブ(作品賞(ドラマ))(1959年) NY批評家協会賞(作品賞)(1959年)
 
晴雨堂関連作品案内
ベン・ハー (トールケース) [DVD] フレッド・ニブロ サイレント時代の「ベン・ハー」
 
晴雨堂関連書籍案内
ベン・ハー―キリストの物語 (アメリカ古典大衆小説コレクション) ルー・ウォレス 
 

 
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