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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

剛力彩芽 「ガッチャマン」(2013)

ガッチャマン」 貧乏くじを引いたか。

剛力彩芽
日本タレント名鑑参照。

【雑感】実写映画「ガッチャマン」が大コケだそうである。制作費や宣伝費に投下した資本が果たして回収できるか? 不朽の名作の実写化と旬の俳優を揃え、そこそこコケてもそれなりの興行成績と思いきや最悪予想を下回る事態にもなりかねん状況らしい。
 私は最初から期待していなかったので作品レビューでは突き放して「今風でエエんとちゃう」とコメントした。

 さて、その大コケの戦犯としてネット上に名前が急浮上いるのが剛力彩芽氏である。批難が集中している事に私は怪訝に思っている。単純にミスキャストであって責任は俳優ではなく制作陣にある。
 あるレビュアー仲間は「剛力彩芽は甚平を演じるべきだった」と言っていたが同感だ。彼女はかつての相原勇氏のように長髪から短髪にイメージチェンジをしてボーイッシュを前面に強調したことでブレイクした。その少年的容姿の彼女が日米混血のスレンダーかつ巨乳の少女ジュンを演じるのはキャラに合わない。(余談1)
 
 もちろん、俳優は与えられた役柄をこなすのが仕事である。ハリウッドのスタローン氏は役柄によって体格まで変えたし、デ・ニーロ氏は加えてイタリア語を完璧にマスターしたり頭髪を抜いて禿をつくったりした。そういう意味では努力が足らないという批判もありだろうが、それを言ってしまったら他の4人にも五十歩百歩で当てはまるので剛力彩芽氏だけに責任はない。
 紅一点という目立つ存在ゆえに敗戦の責任を負わそうという世間の不当な空気を感じる。演技力の酷評が飛び交っているが、あれを基準にしてしまったら、デビュー当時の沢口靖子氏やブレイク全盛期の後藤久美子氏などは台詞棒読みの世界だ。演技派との評価を得ている薬師丸ひろ子氏や宮沢りえ氏とてデビュー当時の演技力はイマイチである。
 
 剛力彩芽氏よりも、監督をはじめ制作陣の責任が重大だ。近年で実写映画化の成功作は非常に少なく、そういう意味で不朽の名作「科学忍者隊ガッチャマン」の実写化に挑戦するということは最初からハードルが高く、その点は同情すべき点だろう。
 ただでさえ映画化となれば原作ファンからの酷評は必ずある。ましてやガッチャマンとなれば熱心な原版アニメ至上主義者が存在するだろう。かといってカラフルな70年代初頭ファッションの原作そのままのイメージで実写化しては40年経過した現在の世情には浮き過ぎる懸念がある。
 
 実写映画化で成功した近年の作品といえば、「三丁目の夕日」「ヤッターマン」をあげる。この二作品、共通する成功の要因を述べよう。
 
 「三丁目の夕日」と「ヤッターマン」に共通するのは、作品にたいする表現者としての野心の強さだ。実写映画だからこそ原作ではできなかった表現に挑戦する気概、「三丁目の夕日」は昭和三十年代初頭の東京の風景と当時の生活臭の完璧な再現、「ヤッターマン」放映当時小中学生だったファンが中年のスケベ親父になっていると見越しての踏み込んだお色気表現を積極的に実施、しかも清純派キャラの若い女優にそれをこなさせる、これらが功を奏した。
 ところが「ガッチャマン」はアニメが不朽の名作だったために、制作陣は良く言えば「無難な形」に収めようとした。悪く言えば挑戦の気概が欠けていた。カラフルな衣装を現代の不景気な空気に合わせて灰色のイメージにし、アニメの科学忍者隊5人から定番臭さを抜いた。(70年代の漫画アニメによくある、ハンサム・チョイ悪・紅一点・巨漢のチーム構成)
 
 それだけなら良いが、CGで自由自在にイメージ再現できる環境にありながら、作品の矮小化が目立つ。「ガッチャマン」では二千万円もかけて科学忍者隊のスーツを制作した事が評判だったが、鳥をイメージした忍者隊のイメージが消えている。三角関係あり、無傷の東京あり、人類存亡を前にして自分の存在意義にウジウジ悩む主人公たち。
 今風の内向きにしただけで、原作のスケールの大きさに代わる面白さや迫力を出せなかった、というより出さずに中途半端にしたのが大コケの原因だ。
 
 私は剛力彩芽氏を高く評価するつもりはない。ただ、前後左右上下の相関を考えながらレビューに努める。万人の人間が閲覧するネット上で徒に脊髄反射の酷評は、単なる悪口・憂さ晴らしでは済まなくなるリスク(例えば名誉棄損や人権救済の対象)もあるからだ。
 
(余談1)白鳥のジュンに合う女優といえば、私が思いつくのは「Santa Fe」を発表した頃の宮沢りえ氏だ。日蘭混血の欧米人的ガッシリ骨格、スレンダーなのに豊かな美乳、日本人的な顔だが色白で大きな瞳、設定の背格好に合致している。
 また宮沢りえ氏はシンクロを舞台にしたスポ根ドラマ「スワンの涙」にも主演しているので、白鳥のジュンに適役だったと思う。
 今は誰がいるか? 半分冗談だが春香クリスティーン氏かな。


 
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