ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「1999年の夏休み」 青春回帰〔50〕 

1999年の夏休み」 
深津絵里15歳頃のお宝作品。




【英題】
【公開年】1988年  【制作国】日本国  【時間】90分  
【監督】金子修介
【原案】萩尾望都
【音楽】中村由利子
【脚本】岸田理生
【言語】日本語
【出演】宮島依里(植村悠 / 藤原薫)  大寶智子(島田和彦)  中野みゆき(直人)  水原里絵(則夫)
水原里絵氏は本作の後に芸名を本名の深津絵里に戻す。

なお、本作役名に相当する原作の登場人物を以下に列挙。
植村悠(トーマ・ヴェルナー) 藤原薫(エーリク・フリューリンク)  
島田和彦(ユリスモール・バイハン)
直人(オスカー・ライザー)
則夫(アンテ・ローエ)    

【成分】ファンタジー 不思議 切ない 悲しい 知的 男子校 思春期 青春 寄宿学校 1999年
     
【特徴】萩尾望都氏の漫画「トーマの心臓」が原作といわれているが、実際は「トーマの心臓」をベースにしているものの全く異なる物語なので原作者クレジットに萩尾望都氏の名は無い。なお金子監督は制作にあたり萩尾望都氏に「翻案」としての許可を得ている。
 全キャストを「トーマの心臓」登場人物とほぼ同い歳の14歳から16歳の女優を起用して少年を演じさせた事が当時大評判だった。

 「トーマの心臓」では男子校の寄宿舎でのドロドロとした少年社会の描写があるが、本作では思春期の内面描写を重視している。当時は人類滅亡の日と噂されていた近未来の1999年夏に時代設定し、夏休みに世間から隔絶された寄宿舎に居残る4人に焦点をあてる事で危うい思春期を際正せた作品。
 
【効能】ほろ苦い思春期の頃を思い出す。
深津絵里ら女優たちがまだ10代半ばで短髪にしている姿が萌え。
少年愛もしくは同性愛にめざめる?
 
【副作用】少女たちが少年を演じている事に違和感。命を粗末にする事を美化しているような危うさがある。
少年愛もしくは同性愛にめざめる?
 
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死の影がほのかに漂う危うい思春期。

 今では深津絵里氏がまだ10代半ばの美少女の頃に撮った伝説の作品として評判であるが、私はけっこうリアルタイムで観ていたような気がする。(余談1)

 公開年は1988年、私は本来同年3月に大学を卒業する予定だったが、単位が足らなくて五回生に「進級」してしまった年だ。決して愉快でも安定もしていない節目の年だけに印象が強く、妙に作品内容と当時の心情風景がマッチしていた。

 タイトルの「1999年の夏休み」、21世紀になって十数年たった今ではけっこうな過去だが、公開当時は近未来だった。しかも五島勉氏の「ノストラダムスの大予言」のインパクトがまだ強く残っていた時代である。
 五島氏の説では1999年の7の月で人類は滅亡する事になっているので、本作はいわば人類滅亡直前の風景を描写する事を意図していたともいえる。そのためか、どこか世紀末特有の終末的気怠さのある幻想世界のイメージがあった。そんな雰囲気の中で、当時10代半ばの女優たちが短髪にしてトラディショナルな半ズボン姿の少年に扮して演じている。それが作品世界に生々しさを取り除いて透明感を与えているような気がした。

 萩尾望都氏の名作「トーマの心臓」が原作と世間では言われているが、「トーマの心臓」をベースにした全く違う作品と捉えるべきだと思う。
 映画のタイトルを「トーマの心臓」とせず、近未来の危うい世紀末を象徴する「1999年の夏休み」とし、舞台を社会から隔絶させた全寮制男子校の寄宿舎に限定し、登場人物も原作と違って寄宿舎に残る生徒4名に限定した意味を考えると、中性的要素が残る思春期の少年の孤立した死の影がある不安定な自我をより美しく強いインパクトで表す事に軸足を置いたか。
 「トーマの心臓」は孤立した個人の内面というよりは、ギムナジウムの少年社会のドロドロした暗部の中で少年たちの無償の愛(または友情)を描いたといったほうが良いので、本作は表現対象を思春期の心情のみに限定したと言える。

 公開前、少年の背後から別の少年が抱き着く場面を印刷したチラシを見た時、BGMはエリック・サティのピアノ曲「Nocturne」の1から3 が似合うと思ったが、 中村由利子氏をいざ聞くとベストマッチだ。

 死の影がある思春期を表した作品としては金字塔ではないかと思う。 

(余談1)深津絵里氏は水原里絵の名義で出演していた。刈上げの短髪で、眉毛が太く、最も少年的だった。
 後にやや髪が伸びて現在の剛力彩芽氏くらいのショートヘアー姿で「深津絵里」デビューした時は、なるほどと思った。彼女が光っていたように思ったからだ。単に私の好みというだけなのかもしれないが。私にとってはもろストライクゾーンだった。

短髪の深津絵里(向かって右)
短髪の凛々しい15歳頃の深津絵里(右)

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔


晴雨堂関連書籍案内
トーマの心臓 (小学館文庫) 萩尾望都
トーマの心臓 Lost heart for Thoma (ダヴィンチブックス) 森博嗣
1999年の夏休み (角川ルビー文庫) 岸田理生




 
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[ 2014/08/11 00:48 ] 映画・・青春回帰 | TB(0) | CM(0)
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