FC2ブログ

ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ダーク・スター」 絶望から脱出しよう〔17〕 

ダーク・スター」 貧乏学生の下宿小屋SF


 
【原題】DARK STAR
【公開年】1974年  【制作国】亜米利加  【時間】83分  
【監督】ジョン・カーペンター
【音楽】ジョン・カーペンター
【脚本】ジョン・カーペンター ダン・オバノン
【原語】イングランド語
【出演】ブライアン・ナレル(ドゥーリトル副長)  ドレ・バヒッチ(タルビー)  カル・カニホルム(ボイラー)  ダン・オバノン(ピンバック主任)  ジョー・サウンダース(パウエル艇長)
   
【成分】笑える 楽しい ファンタジー 不思議 勇敢 絶望的 切ない コミカル 宇宙船 不潔 SF
      
【特徴】SFと聞いて「2001年宇宙の旅」「スターウォーズ」「スタートレック」などを連想してしまう人は本作の生活臭に驚愕するだろう。おそろしく低予算で、現代なら大学の映画研究会レベルで十二分に制作できる。低予算でありながら名作誉れ高いのは、アイディアと構成と脚本の見事さである。
 青年時代のダン・オバノン監督が、なんと情けない乗組員の役で出演。これは貴重映像だ。彼はコミカルに俳優をやりながら学友のジョン・カーペンター監督とともに脚本や特撮を担当していた。これが後に「エイリアン」や「バタリアン」につながるとは・・。
  
【効能】馬鹿馬鹿しくも悲劇的な内容に、逆に勇気付けられ絶望から救われる。
 
【副作用】不潔で気持ち悪い。馬鹿馬鹿しい内容にあきれる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
悲劇的物語に漂う明るさ
 
 ホラーやB級映画などで定評のあるジョン・カーペンター監督の才能が開花した作品。学生時代に制作した作品のリメイクだそうだ。
 この映画が公開される3年ほど前にジョージ・ルーカス氏も学生時代の作品をリメイクして「THX-1138」を発表している。ほぼ同時代・学生時代の作品のリメイク・低予算・SFと共通項が多いが、監督の個性の違いがはっきり現れていて作風が全く正反対である。
 
 「THX-1138」は白を基調とした映像で一貫しており、無菌室的な風景と徹底的に管理された地下都市、主人公は都市からの脱出をはかることで自己を開放する。いかにも格調高く難しい思想が漂いそうなSFである。さすがルーカス氏だ。
 ところが、この「ダーク・スター」は全体に薄暗いし、宇宙船が舞台なのに乱雑でガラクタだらけ、床はエロ本が散らかり足の踏み場も無く男臭そう。まるで高校のクラブの部室か大学の下宿屋の中のようだ。(余談1)
 任務は真面目に遂行しているが、地球から遠く離れていて事実上放任状態。しかも艇長は事故で死亡したのか生首が冷凍培養液で生かされ、緊急時のときだけ指示をとばし、普段は副長が指揮している。全体にだらけた雰囲気で、与えられた任務を淡々と事務的にこなしている。(余談2)
 
 物語が急展開するのは、搭載ミサイルのPCが度重なるコマンド変更に怒ってすねてしまい、発射前に自爆すると言い出す。副長は宇宙服を着てミサイルの前に立ち、ミサイルを必死になだめようとする。この説得場面の名台詞は作中一の魅せ場だ。
 
 結局、努力の甲斐なく宇宙船はある惑星の軌道上で爆発、副長たちは放り出される。最悪のアンハッピーなのだが、地球へ帰ったらサーフィンをやるのが夢だった副長は宇宙船の破片をサーフボード代わりに、まるでサーフィンでもするかの様に大気圏に突入して燃えていく。BGMは軽快で爽やかだ。
 気取らない、判りやすい、明るい映画だ。 

(余談1)私の学生生活が知れるか。
 
(余談2)解説書によっては「ドゥーリトル中尉」とする事もあるが、正確ではない。これは英語の階級呼称と日本語の階級呼称の認識の違いによるものだ。
 日本が西洋式近代軍隊をつくる際に律令制の官位名称を流用、つまり将(かみ)佐(すけ)尉(じょう)曹(そう)の四等級にそれぞれ大中小のランクをつけた。(曹は語呂が悪いのか大中小にはしていないが)
 しかし欧米では役職名が階級名になっている。英語の場合は「コマンダー」は海軍中佐・海軍少佐をさすが、同時に指揮官・司令官の意味もある。「ルタナン」は陸軍少尉・陸軍中尉・海軍大尉をさすが、同時に副官の意味もある。
 本作の場合、軍隊組織ではなさそうだし船の規模も小さい。生首船長は「艇長」、ドゥーリトルは中尉ではなく副官としたほうが判りよい。


 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
晴雨堂関連作品案内
遊星からの物体X 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD] ジョン・カーペンター
ニューヨーク1997 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD] ジョン・カーペンター
ゼイリブ [DVD] ジョン・カーペンター
バタリアン [DVD]  ダン・オバノン
エイリアン ディレクターズ・カット アルティメット・エディション [DVD] リドリー・スコット
 
晴雨堂関連書籍案内
ホラーの逆襲―ジョン・カーペンターと絶対恐怖監督たち 鷲巣義明
恐怖の詩学 ジョン・カーペンター―人間は悪魔にも聖人にもなるんだ (映画作家が自身を語る) ジル・ブーランジェ
 



 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
130位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
64位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク