ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

たかの友梨よ、創業者と従業員の立場は違うで。従業員たちよ、労働組合は従業員2人から結成できるぞ! 近頃の現象[一〇四四] 

「たかの友梨」はブラック企業なのか?

 2014年8月5日、「たかの友梨ビューティクリニック」を運営する不二ビューティに対して、労働基準監督署による労基法違反の是正勧告が行われた。それに対して、高野友梨社長は、労基署への申告を行ったりユニオンに加盟して会社と交渉したりしていた同社の女性を、精神的に圧迫するという行為に出たことが判明した。(今野晴貴)

【雑感】こないだ、ワタミの件でも述べたのだが、ある人物がグイグイ業績を上げて業界の寵児となり、自信に満ち溢れた顔でTV番組のゲストやコメンテーターなどに出演しまくり偉そうに能書きたれる様を見ると、こいつ転んで足挫かなぁええがと期待・・、おっと失敬、また不謹慎なことを言いかけてしまった・・、そんな業界の寵児の姿勢を心配する。

 たぶん、高野友梨社長も世間様の倍以上頑張ってこられた方だろうと思う。そういう方が陥るのは、他人様が呑気に見える、怠けて見え、自分よりも楽しているくせに権利ばかり言い立てているかのように錯覚を起こしてしまう事である。

 しかし創業者と従業員は立場が違う。前にも言ったことがあるが、知人が勤めている中小企業では従業員は法に則って帰宅させ、課長以上は残って仕事をしていた。
 従業員に無理を強いるのなら、無理分の埋め合わせをやらないと必ず不安定要素となり、やがては従業員の反乱を招く。

 記事によれば、高野友梨氏は直接従業員たちの前で「労働基準法にぴったりそろったら絶対成り立たない」「つぶれるよ、うち。それで困らない?」「やっぱりあなた七年居た会社潰してもいいの」と言ったそうだ。
 当ブログ読者諸氏は意外に思うかもしれないが、私は高野友梨氏の強弁に同情している。実はどんな会社でもよくある事なのだ。名前は言えないが、護憲平和反原発反権力を掲げているある左派系雑誌社でも似たような事が起こり、経営者がほぼ同じセリフを従業員や一部支援者に向かって吐き会社内外で騒ぎになった事を、その会社関係者から聞いた事があるからだ。

 当時の私は若かったから、大いに幻滅した。いや、若かったが物わかりの良い若者だったとは思う。自転車操業であるのは知っていたから経営者が頭を下げて「断腸の思いで無理を強いました」とでも言えば大目に見るぐらいの心はあったが、私の目の前でもくだんの経営者が語った言葉が「会社を潰してもいいんですか?」だった。

 まだ高校生だった頃、自然保護に興味を抱いた延長線で土建屋に勤める父と口論になった事がある。土建屋は何かと自然破壊の象徴のように環境保護運動家は目の敵にされていたし、当時の私も土建行政に疑問を持っていて、些か運動家たちの受け売りながら批判を展開した。その時、父は呆れたように苦笑いしながら放った言葉が「日本経済を潰していいのか?」だった。

 左派系雑誌社の経営者の「会社を潰していいのか?」を聞いた時、「この野郎」と思った。さんざん土建行政への批判記事を書いておきながら、足元の従業員の権利を守れないとは? 
 父たちが守る日本経済に比べれば、その雑誌社の屋台なんぞ小さい小さい、そんな初歩中の初歩も守れないのに偉そうに体制批判か?! 大変なのは知っていたから守れんでもいい、頭下げて「今はどうしようもない、すまん」を聞きたかったのに「会社潰していいのか?」とは、なめとんのか。

 私が左派系市民運動から足を洗う動機の一つになった。その会社特有の問題と思いたかったが、けっこう似たような問題は声高に人権云々を主張する勢力にかぎって発生しているようで、その後も嫌な話をチラホラ聞くことになった。
 今は多少は同情的に思う。くだんの経営者から見れば、雇用主と従業員の関係ではなくともに言論を守る「同志」と思いたかったかもしれない。しかし良好な関係の時はそれでも構わないが、関係が悪化すると立場の違いというものが浮き上がる。

 現実に私はそれを目の当たりにした。私は問題の雑誌とは全くの部外者ではなく、支援者として関係イベントの実行責任者を務めた事もあるのだ。ところが問題の経営者に問いただしたら、その経営者の言葉は「あなたは読者でしょ。株主でも社員でもないでしょ」だった。相手は法理論的に正しい事を言っているのだが、言われた側は「平素は仲間扱いして都合が悪くなると他人か」と怒りと蔑みがこみ上げる。

 高野社長にしても似たような気持ちがあったかもしれない。「たかの友梨ビューティクリニック」を共に支える「仲間」であってほしいという錯覚だ。また、一従業員という立場に甘んじるのではなく、将来的には独立して従業員から事業主となり暖簾分けをする構想もあったかもしれない。また本当に物理的に無理な事情もあったかもしれない。

 だが、同情はするが許容はしない。
 私が製造業の現場で学んだことはQC活動と改善活動である。作業工程を見直し、不安定作業を排除してミスや事故につながる要因を潰すことで品質の安定をはかり、利益になる行動と利益にならない行動に分類し無駄を排除して効率を高める。これを全従業員で組織的に行うのだ。

 私は市民運動の運営や自治会のイベントなどに参加した時に悟った。要領が悪い。工夫も中途半端。やはり個人が思い付きで行う創意工夫と組織が明確な理論でもって行う改善活動とは歴然と差がある。
 そして、市民運動や政治や医療関係など、「綺麗事」が先行しやすい業界は得てして製造業が展開する効率化を誤解し蔑む傾向がある。それで万事上手くいったら良いが、製造業ではあり得ない稚拙なミスからの事故をよく耳にする。(例えば某大学病院で生理食塩水と劇薬を同じ大きさ・同じ形・同じ色のポリタンクに入れて同じ棚に置いていた事で、看護師が誤って劇薬を患者に投与する事故があった)
 たかの友梨の場合マイナスに作用した「綺麗事」とは何かといえば、それは美容というクリエイトな部分だ。アニメイターが「藝術家」や「クリエイター」の自負にこだわって「労働者」の自覚が無いがために業者から使い倒されている構図と似ている。

 たかの友梨ビューティクリニックも、全作業工程を見直し従業員を安定的作業に従事させるよう改善をするべきだった。それは高野社長をはじめ管理職の責務だ。自分たちでやれないのであれば、外部から改善専門のスペシャリストを雇い億単位の高価な宝飾品を購入する予算の一部をギャラに回せばよかったのだ。従業員を2時間にわたって恫喝する暇があるのなら改善活動をなぜやらん?
 「労働基準法にぴったりそろったら絶対成り立たない」「つぶれるよ、うち。それで困らない?」、これらの台詞は「わたくし経営者として無能なの」と白状しているに等しいのだ。

 高価な宝飾品を買うのは無駄とは思わない。顧客に対する体面と宣撫があるだろう。しかし労働環境改善をケチって宝飾品の数々ではやがて不満が爆発する。従業員への恫喝は徒に従業員の離反を招く行為で銭にならない無駄な動作だ。金銭と労力使い方を誤れば不安定要因を招く。
 社長自身が無駄な事しては従業員に示しがつかん。社長が従業員の仕事の邪魔してどういうつもりか!

 それから従業員諸君よ。労働組合は従業員2人から結成できる。これは国法で認められた権利だ。労組というものを見直すべきだろう。ブラック企業が横行するのは不景気だけではない、労組本来の意味を忘れ軽んじるようになったからだ。
 役所に通報するだけでなく、労組をつくって闘え!


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[ 2014/08/31 08:38 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(2)
ワンマン社長でそこそこ成功した会社はブラック化する傾向が強いですね。

カリスマ的な経営者には立場の弱い従業員は何も言えないのでしょう。
[ 2014/09/05 11:18 ] [ 編集 ]
うろぱす氏へ

 上司からイニシアチブを奪取しようと思えば上司以上に働かなければなりませんが、そんな上司は人並みの生活を捨てて人並みの倍以上働いている事が多い。だからワンマンになれる訳です。平凡な私なんかはワンマンになりたくてもなれません。

 だからこそ、労組というものを見直すのも一つの手です。ワンマンであるだけに、自分のやり方に絶対の自信を持っていますから、誤りがあっても気づかず暴走します。暴走は会社という法人にとっては不利益です。会社の利益を守るためにも労組は必要です。
 なんでもそうですが、対立する批判勢力が健全であるかどうかで組織の風通しの良さが決まります。



> ワンマン社長でそこそこ成功した会社はブラック化する傾向が強いですね。
>
> カリスマ的な経営者には立場の弱い従業員は何も言えないのでしょう。
[ 2014/09/07 05:41 ] [ 編集 ]
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