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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

風前の灯火になるか?朝日新聞よ。 近頃の現象[一〇四七]

朝日、社説や天声人語でも謝罪 
吉田調書など


 東京電力福島第一原発事故を巡り、所長の命令に反して所員の9割が原発から撤退していたとする記事を朝日新聞が取り消すなどした問題で、朝日は13日朝刊の社説や1面コラムで、改めてこの問題について触れ、それぞれ謝罪した。(読売新聞)

【雑感】どんな仕事にも「思い込み」のミスはよくある。「思い込み」とはそうあってほしいという「願望」と言い換える事ができる。

 製造業の現場でも気づかずにチェックを通り抜ける不良品もあるが、大概は二重三重のチェックで引っかかるもので気づかなかった訳ではないのが多い。判ってて流したとあれば大問題なので報告書には「気づかなかった」事にするが。
 なぜ通り抜けるかといえば、「たぶん、この位なら大丈夫だろう」という希望的観測または願望である。本来ならチェックで止めてラインの点検や既に流し出荷待の製品を押さえて全品検査をしなければならないのだが、それは恐ろしく時間のロスで、そのため少々の規格外が発生しても流してしまう事がある。
 ただ、その少々の規格外が取引先で問題になった時、痛い事になる。また取引先でも同じように少々の規格外や問題があっても市場に出していたのが、昨今の競争で製品の見る世間様の目がシビアになってきたため、今まで通してくれていたのがNGとなる事も多々ある。
 「以前はこれくらい良品でいけたのに、なんで?」と反射的に不快になる事がよくあるが、規格厳守しなかった自分たちが悪いことも当然わかっている。(余談1)

 これはジャーナリズムの世界でも同じ事だ。工場作業者も新聞記者も理屈は同じだ。奇しくも評論家の古谷経衡氏も「願望」の問題点を指摘されているが、本来は偉い先生が改まって指摘しなければならない事ではない。

 そして今回は朝日新聞がやってしまったが、その朝日を狂喜して攻撃している産経新聞とて「明日は我が身」だ。古谷経衡氏が指摘しているように産経新聞にも前科がある。(余談2)
 朝日新聞やその系列の文化人たちは「権力は腐敗する」という方式をベースに「権力は必ず悪さをする」へ、そして「権力は悪だ」「日本国家は悪だ」へと飛躍解釈し自民党をはじめとする伝統的な保守勢力からそれを支持する保守市民およびどちらにも付かない浮動勢力に対し敵意を抱いていく。産経新聞やその系列の文化人は朝日の逆パターンである。朝日や朝日系列の文化人や護憲派市民や市民運動家たちを「反日勢力」と断定し糾弾する。

 そもそも事実関係というものは立場が違えば同じ風景を見ていても全く解釈が異なってしまう。同じ人間でも、小学校入学当初は「広い」と思った運動場が卒業時には「狭い」と感じる。運動場の面積が変わったのではない。身体のサイズや背丈が変化したのに加え、多くの1年生にとっては比較の対象が出身幼稚園の運動場であるのに対し、6年生になれば行動範囲も広がり人によっては中学校や高校の校庭でも遊んだりして比較の対象が多くなる。
 新入生が「広い」と言い、卒業生が「狭い」と言ったからといって、どちらかが嘘をついているなんて普通は思わない。単純に運動場と当事者個人の主観が対象だからだ。

 ところが大人社会になると様々な利害関係や社会的立場がある。各々の立場やポジションで、同じ事実を見ていても脳裏に映る風景は違うものになる。大人社会の事実というものは利害関係に左右されると言い切っても言い過ぎではない。そこへ思い込みによる飛躍解釈や拡大解釈が生じる。あるいは故意による捏造すなわち嘘を吐く場合も多々ある。
 製造業に話を戻せば、加工サイズが規格外になっていることに気がついても微小であれば工程検査表に規格内の数値を記入し良品として流す行為は、多くはバレないがれっきとした虚偽である。程度の差はあれ人間はそれを日常的にやってしまう生き物である。

 したがってどんなメディアであれ、常に唾を眉につけて見る姿勢が大切だ。単にメディアが発信する情報だけを見るのではなく、発信元の社会的ポジションも把握しなければ誤報に惑わされる。日本社会の場合、朝日一紙だけを読むとか産経一紙だけを読んでいたんでは事実の輪郭を正確に把握できない。少なくとも両方は読まないといけないし、ネット社会のおかげでそれは容易になった。
 朝日新聞は潰れてはいけないと思っている。なんとか盛り返してほしい。でないと産経が同様の暴走(現在の安倍政権支持なので政権の失策は大甘になる)をしたとき、産経をチェックし対抗する勢力が弱くなり、社会のバランスが崩れる。

(余談1)元朝日新聞記者の本多勝一氏らが創刊した週刊金曜日(創刊した最高責任者は本多氏ではなく左派系出版社晩聲社の和多田進氏らしいが)は、一連の朝日の謝罪には納得いかないらしく、今週号は慰安婦の「本質論」を展開している。
 ただ、言いたい事は解るんだが、21世紀の人権感覚で当時の有様を論じ糾弾するのは虚しく感じる。また日韓条約で「示談」が成立しているのに、国際法の拡大解釈を可として慰安婦問題を持ち上げては、安倍総理側としては「なんや、そんな拡大解釈が罷り通るなら『平和憲法』下でも核武装できるやんけ」と思ってしまうのが道理だ。踏み込みすぎると、論理の整合性に綻びが生じ、結果的に意図した事と正反対の結果を招く。

(余談2)2012年7月に開催された陸上自衛隊第一師団の統合防災演習を「東京都内の11区が(同演習への)協力を拒否した」という旨の記事が掲載されたが、当の区役所から事実誤認と抗議を受け、2012年7月25日付けで記事の撤回と”おわび”を掲載した騒動。

 このことについて古谷氏は「担当した記者が、『当該区役所の職員らには、反自衛隊思想の持ち主が居るに違いない』という”願望”を元にした観測記事であったことは疑いようもない」と指摘している。


 
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