ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「清州会議」 寂しさをまぎらわす時に〔27〕 

清州会議」 
白塗りお歯黒の剛力彩芽ちゃんが可愛い。




【英題】
【公開年】2013年  【制作国】日本国  【時間】138分  
【監督】三谷幸喜
【原作】三谷幸喜
【音楽】荻野清子
【脚本】三谷幸喜
【言語】日本語
【出演】役所広司(柴田勝家)  大泉洋(羽柴秀吉)  小日向文世(丹羽長秀)  佐藤浩市(池田恒興)  妻夫木聡(織田信雄)  浅野忠信(前田利家)  寺島進(黒田官兵衛)  でんでん(前田玄以)  松山ケンイチ(堀秀政)  伊勢谷友介(織田三十郎信包)  鈴木京香(お市様)  中谷美紀(寧)  剛力彩芽(松姫)  津島美羽(三法師)  坂東巳之助(織田信孝)  阿南健治(滝川一益)  市川しんぺー(佐々成政)  清末裕之(金森長近)  久世浩(稲葉一鉄)  迫田孝也(蜂屋頼隆)  望月章男(長束正家)  松永一太(佐久間盛政)  ショー片島(弥助)  染谷将太(森蘭丸)  篠井英介(織田信長)  戸田恵子(なか)  梶原善(小一郎)  瀬戸カトリーヌ(小袖)  近藤芳正(義兵衛)  浅野和之(明智光秀)  中村勘九郎(織田信忠)  天海祐希(枝毛)  西田敏行(更科六兵衛)  山寺宏一(さまざまな声)    

【成分】コミカル ゴージャス 不気味 切ない 知的 笑える 1582年 安土桃山時代
     
【特徴】三谷幸喜が監督・原作・脚本三役を務め放つコメディ時代劇。
 本能寺の変にて織田信長と嫡男信忠が倒され、主君空席の事態を収拾すべく後継者候補たちをはじめ重臣らが清州城に集まり議論する、日本戦国時代版オペレッタ「会議は踊る」である。

 出演俳優たちは清州会議当時の実際の武将たちの年齢に合わせてキャスティングされている。羽柴秀吉と柴田勝家の2人を中心に物語が展開するが、登場人物があまりに多いため、歴史にあまり興味の無い人は事前に予習する必要がある。

 同じく三谷幸喜監督作「ステキな金縛り」に登場する幽霊更科六兵衛が本作でも生前の姿としてカメオ登場する。ここではザンバラ髪の落ち武者姿ではなく、綺麗に髷を結い陣羽織を着た姿だ。

【効能】登場人物が多く賑やかなので寂しさがまぎれる。
 
【副作用】登場人物が多すぎて訳わからん。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。 人物相関図を予習すべし。

 まず、史実に詳しくない方は登場人物の相関図を予習しておく事を勧める。たぶん、私は史実と人物相関をかなり正確に把握している部類に入ると思うが、それでも「この俳優は誰を演じてるんだっけ?」と一瞬考えてしまう事がある。(余談1)

 主要人物は役所広司氏の柴田勝家と大泉洋氏の羽柴秀吉、この二人を中心に小日向文世氏の丹羽長秀・寺島進氏の黒田官兵衛・浅野忠信氏の前田利家・佐藤浩市氏の池田恒興ら武将たちが右往左往、鈴木京香氏のお市の方や剛力彩芽氏の松姫ら織田家未亡人が暗躍する。
 とにかく登場人物が多い。以前のレビューでも述べた事があるが、物語の登場人物は1エピソードに5人から7人まで、それ以上だと観客が覚えきれない。本作はそれ以上の人々が動く。
 同じく登場人物が多い「宇宙戦艦ヤマト」では人物名と役職名を字幕表示するが、本作にはそんな気遣いは無い。しかも前田利家を「犬千代」と幼名で呼ぶ場面も多々あるので、史実を把握していない人は混乱する恐れがある。明らかに「観客は知っている」事を前提にして構成されている。(余談2)
 

 本作で目を引いたのは、リアル風味の時代劇。メイクはナチュラル風、自毛風のズラ、特に上流貴婦人を演じる鈴木京香氏と剛力彩芽氏は史実通り白塗りお歯黒、おそらく中谷美紀氏が演じる秀吉の妻寧も史実では白塗りお歯黒だったと思うが、本作ではお市の方や松姫との対比を演出するためスッピン風の太眉にメイクしていた。

 この白塗りお歯黒メイクは、単に当時の貴婦人の化粧を史実通りに現しただけでなく、女性が権謀術を駆使する場面を効果的に強調する。本作は夜の場面も照明を行燈風に薄暗く光源が微妙に揺れているように工夫されていて、その環境でベテラン女優の鈴木京香氏がお歯黒お市の方姿で柴田勝家に色香で迫る場面は凄みがあって面白い。まるで初老の役所広司が童貞少年のように見えた。
 それ以上に興味深かったのは、最初は無垢な幼な妻として登場した剛力彩芽氏の松姫も、ラストでは武家の女としての秘めたる思惑を氷のような冷淡さで語る、白塗りお歯黒メイクは剛力彩芽臭を消し上流貴婦人が背負う冷たく深い業がよく出ていた。(余談3)

 三谷作品にしては抑え気味のような感じはするが、さすが時代劇にありがちな純情スポ根的ステレオタイプの臭い台詞はあまり無く、会話のやり取りが楽しめる作品に仕上がっている。

(余談1)清州会議で議長か書記役を務めている坊主頭の侍は前田玄以、後に豊臣政権では五奉行の1人になる。演じるでんでん氏が坊主頭なのでそうかなとは思ったが、知らない人はたぶん「織田家家臣A」の感覚だろう。
 
(余談2)NHK大河ドラマなどでは武将の一代記が殆どで、主演俳優は青年期から晩年期までを演じる関係から登場人物の年齢構成が判りづらくなる。若手俳優が主演に起用された場合は50歳くらいまでは老けメイクをしないので若いまま、中堅俳優が起用された場合は青年期は貫禄あり過ぎる。

 本作の登場人物の一人である寧が秀吉に嫁いだ年齢は14歳と伝えられているが、当時は数え歳であるうえに生年が曖昧なので12歳から14歳と推定するべきだろう。いずれにせよ現代でいう小学校高学年から中学生に相当する少女だ。ところが演じる女優は20歳を過ぎた女優が殆どだ。中には40近い女優が若作りして演じる場合もある。
 他にも光秀は秀吉よりかなり歳上なのが史実だが、多くの大河ドラマや時代劇では同年齢の俳優をあてるため歳の近い武将であるとの錯覚が生じてしまう。

 その点、本作は本能寺の変から清州会議までの1か月のみを切り取っているので、一人の俳優が青年期から晩年期までを演じる必要は無い。清州会議当時の登場人物の年齢に近い俳優を全てあてているので、私にとってはより人物相関が判りやすくなっている。

(余談3)但し、正座していたのはいただけない。日本人が正座をするようになったのは17世紀後半の畳が普及してから。本作の時代では、女性も胡坐か片膝立座りだ。
 
 作中でお市は秀吉に憎しみを抱いている訳だが、おそらくお市が嫁いでいた浅井家嫡男万福丸を指していると思われる。秀吉は信長の命で当時10歳の万福丸を串刺しにして殺した、と言われているが、諸説ある。お市が生母であるとも確証はない。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作


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