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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ドグラ・マグラ」 孤独を楽しむ時に〔22〕 

ドグラ・マグラ」 
夢野久作世界の入門編映画

 

 
【公開年】1988年  【制作国】日本国  【時間】109分  【監督】松本俊夫
【原作】夢野久作
【音楽】三宅榛名
【脚本】松本俊夫 大和屋竺
【言語】日本語   
【出演】桂枝雀(正木博士)  松田洋治(呉一郎)  三沢恵里(呉モヨ子)  室田日出男(若林博士)  
 
【成分】ファンタジー 怪奇幻想 不気味 恐怖 知的 切ない ミステリー 1920年代初頭
 
【特徴】怪奇小説家夢野久作の代表作を実写映画化。伝説の落語家桂枝雀氏が正木博士に扮して気合の入った怪演を魅せる。当時、美少女俳優だった三沢恵里氏が殆ど台詞なしの全裸遺体役?で出演。

【効能】お洒落に不気味幻想ワールドへいざなう。深夜に鑑賞するとトリップ度が増す。
 
【副作用】夢野久作ワールドの入門編。夢野ファンには物足りなく、単純な活劇を好む方には難解で気持ち悪い。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
堂々巡りの怪奇世界。

 伝奇・怪奇・探偵・幻想・幻魔などと表現されるのが夢野久作の小説だ。耽美趣味の友人や前衛・進歩的を気どる友人がよく口にしていた小説家であり、近代文学史の教科書には殆ど出てこないが日本文学の中で孤高の色彩を放つ。根強いファンは多く、特にこの映画が公開された80年代後半は夢野ブームが沸き起こって書店ではキャンペーンが繰り広げられた。(余談1)
 
 さて、この映画の原作は映画タイトルと同じ「ドグラ・マグラ」である。友人たちの間では読むと発狂するとの評判だった。ただ、私は頭が悪いので読んでも発狂するには至らなかったし、それ以前に訳判らなかった。ただ作者夢野久作の想像力は抜群であるのは感じた。
 この映画は原作に比べると遥かにマイルドに判りやすく改編されているし、原作で発狂する人はいたかもしれないが少なくとも映画を観て発狂する人はまずいないだろう。それでも、この手の世界に慣れていない人にはやはり感情移入できないだろうし気持ち悪いだろうし納得できない物語ではある。
 
 れいによって原作ファンからの不評はあるが、私は映画自体の完成度が高く俳優たちの演技や監督たちの演出や画面作りは気合が入っていると思う。これはやはり夢野文学とそのファンへの理解と畏敬からかもしれない。
 桂枝雀氏のマッドサイエンティストな正木博士ぶり、主人公の先祖が犯した殺人場面を人形劇で描写する場面はライティングが活きていてなかなか恐い。幻想的な廃墟寺院風の精神病院のセットやホルマリン漬けの赤子のオブジェ、美女の遺体が次第に腐って骨になっていく様を描いた絵巻物など、幻想的でオドロオドロした夢野世界をよく表している。
 取り分け私の目を引いたのは桂枝雀氏の怪演だ。これは夢野久作や原作を理解しているからこそできる演技だ。映画出演とは関係ないが、後に桂枝雀氏は神経症で自殺する。なにか体質的にあい通じるものがあったのだろうか?
 
(余談1)ただ刊行はあまりされていない。一部、角川から文庫本化されているが。唯一全集を出していたのが三一書房だった。 
 伝奇小説のほかに今観てもモダンでスタイリッシュな挿絵や漫画も描いている。
 作風やスタイルとは異なり、夢野久作本人は明るい人柄だったと聞いている。経歴も青年時代は陸軍将校をやっていた。もろ肌脱いでいる写真を観たことがあるが大胸筋がよく発達していて引き締まっていた。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
晴雨堂関係映画案内
火星の女 (夢野久作の少女地獄) [DVD] 小沼勝
白椿 [DVD] 秋原正俊
二重心臓 [DVD] 秋原正俊
ユメノ銀河 [DVD] 石井聰亙
 
晴雨堂関連書籍案内
夢野久作全集 1 (1)
夢野久作全集 2 (2)
夢野久作全集 3 (3)
夢野久作全集 4 (4)
夢野久作全集 5 (5)
夢野久作全集 6 (6)
夢野久作全集 7 (7)
夢野久作の世界 西原 和海
夢野久作の小説は、角川文庫・ちくま文庫からも刊行されています。
 



 
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あの正木博士は、実に味わい深くはまっていました。原作とは別な映画独自の素晴らしさがありました。
文楽も導入もどっぷりツボにはまった感がありました。何度見ても頭に残りますね♪
TB有り難うございました。
[ 2009/05/19 21:11 ] [ 編集 ]
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いわずと知れた夢野久作氏による奇書の映画化作品です。確か単館ロードショーの時に観に行けなくて、ビデオレンタルでようやく探して見た覚えがあります。それから強烈なインパクトを受けて原作を2、3日で読了し、今も変わらず私が小説として絶対に一番と思っている作品...
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[2009/10/16 12:13] マガジンひとり
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