ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

マララ・ユスフザイ17歳、若すぎるノーベル賞? 近頃の現象[一〇五四] 

マララさん授賞に「あまりに若すぎる」  
委員長「権利の代弁者だ」と反論


 ノーベル平和賞が発表された10日、ノルウェー・オスロの会場では、マララ・ユスフザイさんがまだ17歳3カ月であり、ノーベル賞史上初の10代の受賞者となることについての疑問が、記者団からノーベル賞委員会のヤーグラン委員長に浴びせかけられる場面もあった。(産経新聞)

【雑感】歳若い人物が受賞する事のデメリットは大きく二つある。

一つは、受賞者個人の問題。
 どんなに功名あげたひとかどの偉人でも殆どの人にとっては高根の花がノーベル賞である。いきなり大きな賞を若くして獲ってしまうと、いくら本人が賢明に冷静さを保とうと努め「これからが本当の勝負」と自身に言い聞かせても、達成感の次にくる脱力感や焦燥感から逃れられず、さらなる社会的貢献への期待を込めて贈られたノーベル賞が足枷・重荷になって、残りの長い人生を荒んだものにしてしまう可能性がある。
 これは映画業界における子役スターが直面する問題に近い。子供のうちにスターになったために身を持ち崩し家庭も崩壊させてしまった子役あがりの俳優は大勢いる。
 またノーベル賞を授与された事で弱冠17歳にして世界的名士になってしまうと様々な危険と隣り合わせになる。受賞者だからといってアメリカ大統領なみの警護が付く訳ではない。平凡な17歳であれば経験したであろう様々な事が経験できなくなり行動に制約が生じてしまう。(余談1)

二つ目はノーベル賞委員会の問題。
 ノーベル賞自体がたぶんに政治的背景というものが左右されるものなのだが、とりわけ平和賞については他の物理学・化学・医学生理学・文学などに比べてノーベル賞を支えている欧米諸国の政治的思惑に色濃く影響される。
 そのため、少しでも世界の政治地図が変化したらたちまち評価がガラリと変わり、世間から「あの平和賞をあの者に授与したのは間違いではないのか?」「平和賞を返上させろ」といった異議が起きやすい。
 パレスチナのアラファト議長とイスラエルのラビン首相が平和賞を授与されたが、残念ながら現在もなおパレスチナとイスラエルは戦闘状態である。韓国の金大中氏も南北対話の功績で授与されたが、依然として北朝鮮と韓国は戦闘状態である。世の中、ままならぬものだ。

 マララ・ユスフザイ氏はまだ17歳、これから進学・就職・結婚・出産・子育てなど様々な人生の節目を通過しなければならないし、その節目節目で考え方というものは変わっていくのが正常な人間なのである。
 10代のユスフザイ氏が昨年国連本部で演説した言葉「一人の子供、一人の先生、一冊の本、一本のペンが世界を変えられる」は今後も一貫するとは思うが、この志への関わり方は今後変化していくと思う。父親と同じように闘う教育者となるのか、あるいは平凡な主婦として子育てに志を全うし公の場からは姿を消すのか。または可能性の問題として、転落の子役スターのようにスキャンダルにまみれる展開もゼロと言い切るのは不可能だ。他にも様々なパターンがある。
 それからそうあってほしくないが、敵対者が彼女を暗殺するよりも破廉恥なスキャンダルにまみれさせた方が効果が大きいと悟ったら・・。

 委員会の早計で一人の少女を不幸にした、との批難が後で巻き起こるかもしれない。

 マララ・ユスフザイ氏自身が道を選んで進んだ結果のノーベル賞である。そしてノーベル賞平和賞は歴代受賞者の顔ぶれを見ればわかるように世界情勢とアメリカを中心とする欧米諸国の思惑が反映したものである。
 「大人」たちのマスコットに利用されてしまう面は避けられないが、利用されるだけに終わらず逆に「大人」たちを強かに利用し、与えられた権威と権限を効果的に使い切って父親以上の実績を上げてほしいと祈るばかりだ。使い捨てにはなるな。

【追記】マララ氏と敵対関係にある勢力が早速声明を発表した。
 史上最年少で2014年ノーベル平和賞に決まったパキスタン出身のマララ・ユスフザイさん(17)=英バーミンガム在住=は10日、「(受賞は)終わりではなく、始まりに過ぎない」と述べ、改めて女子教育の普及に向けた決意を語った。だが、受賞決定を受け、パキスタンのイスラム武装勢力は11日、マララさんを「不信心者」と非難する声明を発表。武装勢力の襲撃にも信念を曲げず、故国の教育改革を訴え続けてきたマララさんの活動は、平和賞を得てなお正念場が続く。(毎日新聞)(余談2)

(余談1)もちろん、マララ・ユスフザイ氏は歳若いとはいっても、既に小学生の頃から運動を展開し敵対者からの銃弾で一時重体にまで陥った体験があるので、ノーベル賞には「利用できる権威が一つ増えた」程度の冷めた認識しかないのかもしれない。
 彼女の中では既に一度死んだという気持であるなら、今の人生は殉教者としてのジハードを展開しているのかもしれない。

(余談2)キリスト教でも同じ聖書を使っているのに様々な宗派があり解釈がある。信徒を取り巻く利害によって様々な拡大解釈を行ってきた。その最たるものは偶像崇拝禁止の解釈だ。十字架をシンボルにするなど本来はあってはならない事なのだが、教義に忠実な信徒は逆に異端の烙印を押されたり、「サラセン好み(イスラム好み)」と批難された。
 イスラムの男尊女卑的志向の最たるものは「4人まで妻が持てる」と「男は女の保護者」なのだが、これはモハメッドがイスラム教を説き始めた当時は戦乱が絶えず路頭に迷う女性が多かった社会事情を反映したもので、女性に教育を禁止するものではない。
 当時はキリスト教より寛容で、ヨーロッパの聖職者たちが異端弾圧や魔女裁判に明け暮れている時、中東では経典の民(偶像崇拝をしない人々)には布教活動を禁止したものの個人の信仰は認めていた。だからこそ、ヨーロッパでは迫害されていたユダヤ人は中東ではイスラムの信徒とは良好な関係を築いていた。

 イスラムのタリバン然り、日本の極右然り、韓国の反日教然り、志の拡大解釈と視野狭窄はろくな事が無い。

晴雨堂関連作品案内
後藤健二 世界の学校シリーズ アフガニスタン・カブール 「タリバンがいなくなって、生まれて初めて学校へ行く少女たち」 [DVD]


 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト
[ 2014/10/11 14:58 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
103位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
46位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク