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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

小渕優子氏はなぜ辞職をしないのか? 近頃の現象[一〇六一]

「上州戦争」の戦後処理をしくじった 
世襲・小渕優子前経産相


 「長年、子供のころから一緒に過ごしてきた信頼するスタッフに(政治資金を)管理してもらってきた」。記者会見でしぼり出すような声で語った小渕優子前経産相の目は潤んでいるように見えた。「地バン、看バン、カバン」の三バンを労せずして手に入れる世襲議員は選挙で圧倒的に強い存在だ。しかし、その世襲議員にも思わぬ落とし穴があったことを今回の「小渕辞任劇」は示している。(DAILY NOBORDER)

【雑感】上記抜粋記事には「『地バン、看バン、カバン』の三バンを労せずして手に入れる世襲議員」とあるが、親が築いてきた地盤を若輩ながら守っていかねばならないプレッシャーはけっして小さくはない。
 映画「ゴッドファーザー」に例えると、祖父小渕光平氏がヴィトー・コルレオーネ、父小渕恵三氏がマイケル、小渕優子氏がヴィンセント、キャラクターは全く合っていないが取り巻く環境には似ている部分がある。初代は創業者の勢いと牧歌的な人情もあった。二代目はライバルに注意するだけでなく国家と世界も渡り合わなければならない、初代よりも高度な難問を抱える。三代目はガラリと時代が急変し初代からのやり方が通じなくなっていく環境下で初代から築き上げてきた勢力を引き継ぎ守っていかなければならない重圧がある。

 さて、まだ「容疑」の段階であり、司法当局がレッドカードを出さない可能性も無きにしもあらずだが、法律の条文と日常常識で素直に考えれば、もはや公職選挙法違反であるのは明白だ。松島みどり氏の団扇とは金額の桁が違うので、本来は言い逃れできない筈である。
 また地元群馬五区は「小渕王国」と言っても良い無風区であり、優子ちゃんは常に対立候補を十万票以上の大差をつけて圧勝、得票率は常に70%前後である。しかも選挙を重ねるごとに得票数を伸ばしてきた。

 我々庶民から見れば、いまここで議員辞職をして「みそぎ」を済まし次の衆院選に挑戦しても十分トップ当選できる。
 地元主権者も、マスコミ取材では「小渕はけしからん」というだろうが、本音では先代から小渕家の勘定方を務める家老が悪いのであって、可愛い優子姫様は悪くないという認識の人は少なくないだろう。
 また政界から足を洗ったとしても、彼女ほどの名士なら地元の私学や財団法人で理事の席に就くのは容易いこと。夫はTBSの偉いさんなのでよく稼いでいる事だし、生活には全く困らない、経済的な体面もさほど堕ちない。


 ただ、以上言ったことは我々庶民の価値観から考えた事、小渕王国の優子姫から見た風景はかなり違うものだろう。

 その1つは、議員というものは個人であって個人ではないという要素がある。
 一応個人名義で議席を持つが、政治家一人を議会に送り出すのにどれだけの人間が労力を払っているか。庶民でも選挙に関わった事のある人間なら痛いほど解ろう。
 選挙とは選挙期間だけが戦ではない。あれは最終局面だ。勝負は選挙が終わった平時でも続く。事務所を任されている選対委員長や事務局長、地元宣撫を任されている後援会長などは激務だ。議員は身銭を削って動いている仲間や友人知人や支援者を間近で見ている。議員バッチは議員個人のものではない、同志・支援者・支持者みんなで勝ち取ったものである。
 であるから、周囲に気遣いがある優しい良い人ほど辞め辛い。むしろ潔く格好良く辞められるのは冷酷な自己チューかもしれない。

 それに加えて、優子ちゃんには保守系世襲議員特有の問題を抱えている。上記「DAILY NOBORDER」の記事には、国会議員を頂点に中央から利益を誘導する利権勢力を構築している点を指摘し、後継者争いで勢力が割れるとシステムが崩壊するので、「多少出来は悪くとも、息子(娘)にすればおさまりがいい」と子供におはちが回ってくる、と皮肉を込めて書いていた。
 が、利害関係とはそういうものである。左派は否定できもせん利害を否定したり無視したりして墓穴を掘るが、保守はそれを素直に肯定して利害連鎖に下手な逆らい方はしないだけだ。スペインやカンボジアなどでも、左派の綺麗事では結果として民族紛争を煽るばかりで解決できないゆえ、古い王侯の権威を各派利害の中立を保てる上位に推戴することで各国家としてのまとまりを維持している。

 世襲というのは左派市民からは好ましくないシステムと目されているが、権益を子々孫々へ引継ぎ維持するには実に合理的で便利なシステムなのである。江戸時代の藩のようなものと考えたらいいだろう。

 時代劇風に表現したら解りやすいかもしれない。
 中選挙区時代では大大名の中曽根家と福田家に挟まれ、当時はまだ勢いがあった社会党との闘いも力を割かねばならぬ苦戦を強いられてきた小渕家だったが、小選挙区になってからようやく安定した藩政ができるようになり総理を輩出してからは盤石の体制。
 藩主小渕恵三に嫡男はおらず娘が二人いた。上はすでにイラストレーターやエッセイストへの道を歩み、下の優子姫が事務所小姓に参事していた。藩主空席は小渕藩傘下の地元業界にとっても不穏な空気をよび、幕府への陳情等に支障をきたし地元経済に少なからず損失が生じる。優子姫擁立は滞りなく行われた。

 優子姫が藩主を引き継いでからは、藩政は衰えることなく、優子姫自身も順調に栄達し特命大臣ながら34歳の若さで幕閣入りを果たし、37歳で党幹事長代理、そして総理候補の登竜門といってもよい経産省大臣に異例の40歳で就任した。父と同じ総理は視界内に入る。もちろん女性議員の中では最も総理に近い。手を伸ばせば届くかもしれないところにまできた。
 ところが、唐突に失脚。矢玉は何と譜代と思っていた新潮から飛んできたのである。

 この展開、栃木5区の経済界からはどのように見えるだろうか? もし私が地元土建屋の社長だったら、たぶん泣きながら小渕優子氏の前で土下座して「どうか先生、ここは堪えてください。先生のお志は重々承知しておりますが、どうか我ら旗本のためそこを曲げて、どうか議員辞職だけはおやめ下さい」と言うかもしれない。
 辞職をすれば必ず補選をやらなければならない。自民党からは誰が出るのか? 最有力は中曽根康弘元総理の孫である。優子姫は辞職をしても次の衆院選に出れば確実に藩主に復帰できるが、それまでは中曽根家が一時的に藩政を乗っ取ることになる。また優子姫が藩主復帰後の中曽根家との関係も不安定になる可能性がある。
 地元ととしてはあまり不安材料を抱えたくないと思うが人情だ。

 小渕優子氏は辞めないのではなく、辞めたくても辞めさせてくれないのだ。保守系議員は、個人で議員をやっているのではない。
 そういえば小渕優子氏とは対極の立場に立つ辻元清美氏が初当選間もない頃の講演で支持者に向かってこんな事を言っていた。「保守政治家をナメたらあかんで。彼らは彼らで『地元』の利権のために自分を犠牲にして命がけできよる。そういう人らを相手に私たちは闘うんやから」と。


 
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コメント

辞職すると思う

優子はそれなりに将来を見通せる明晰な頭脳を持っているので近いうちに辞職して潔よいところを見せるような気がします。

その方が自分にとって利益が大きいと分かっているでしょう。少なくとも辻本清美が秘書給与流用事件で大騒ぎして有権者の信用を失墜させたような事はしないでしょう。

これから本文に書くつもりでしたが・・。

うろぱす氏へ

 文末に「鋭意執筆中」とことわっているように、当記事はまだ書きかけなんです。

 本文続きで論述する予定ですが、一時「辞職を示唆」と報道された後で事務所が辞職を否定しました。私はマスコミの勇み足報道ではなく、漏れ伝わる彼女の性格から、当初は辞めようとしたはずです。それを事務所や地盤が抑えた。

 関東在住で保守なら御存知と思いますが、今でこそ無風の栃木五区はかつての中選挙区で中曽根氏と福田氏との地元と重なり三つ巴の凌ぎを削っていました。

 小渕氏が辞職すると栃木五区で補選です。自民党は候補者を出すことになりますが、ちょうど中曽根元総理の孫が駒として控えています。
 次の衆院選で小渕氏が立てば確実に勝てるでしょうし、幹事長采配で中曽根孫の国替えもあるかもしれませんが、中曽根家との確執が生じる恐れが出てきます。
 小渕藩としては、藩の利益のため党内で敵をつくらないよう優子姫に恥を忍んで議員という荊の道を歩んでもらうよう諭しても不思議はありません。

 それでなくても今回の失脚劇は、アベノミクス反対の朝日や毎日のスクープではなく、アベノミクス支持の新潮から出ています。
 今回の経産省大臣抜擢は、ゆくゆくは総理候補に据える事も意味し、快く思わぬ党内勢力は存在します。


 因みに辻元清美氏の失脚も、私は社民党内の人間がリークしたと思っています。
 小さな政党ですが、あそこは古参の労組派と新参の市民運動派の対立があり、辻元はかなり労組派を刺激する言動をとっていました。
 土井たか子氏の肝煎りで落下傘のように出馬し、「社民党を乗っ取る」と憚りなく公言し、言行通り僅か数年で幹事長、次期党首候補でした。
 その間に、古参の労組活動家を軽んじる発言を繰り返し、市民運動畑の人間を厚遇するなど、党内に敵をつくりました。
 民主党への鞍替えもその辺の水面下の事情があると思います。

 政治は小渕優子氏のような「聰明」なだけでも、辻元清美氏のように「元気」が良いだけでも、簡単に足を掬われます。
 若い姫や女将を支える側近がしっかりしていれば問題はありませんが、その側近が調子にのってたらあきまへん。

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