ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

文武両道の辛さ。氷上の哲人町田樹。 フィギュアスケート[一〇二] 

町田、電撃引退の真相

 2月のソチ五輪で5位に入賞し、3月の世界選手権では銀メダルを獲得した町田樹(関大)が28日、全日本選手権が行われていた長野・ビッグハットで突然の引退表明をした。
 まだ24歳。衰えが見える年齢ではない。10月に引退を表明した28歳の高橋大輔、昨年の全日本選手権を最後に引退した織田信成(当時26歳)と比べても若いうえに、“フィギュアスケート作品を作り上げる”ということでは抜きんでた力を持つ町田が、突然の引退を決めたのはなぜなのか。(THE PAGE)


【雑感】一応私も高校受験と大学受験を経験しているので、学業とスポーツを両立させる辛さは若干判っているつもりである。
 こんな事を言うと昔の友人たちは「お前、ぜんぜん何もやって無かったやんか」と批難されそうなので近い身内を例にとれば、5歳年上の姉が40を過ぎてから大学院に進み博士号をとった。
 夫と子供もいるので家族の協力あっての事だが、大学を卒業してから20年近く現場で仕事をしてから再び学業に戻るのは心身ともに重労働だと思う。それに専攻している学問は文学部とか工学部といった失礼ながら「ありふれた分野」ではなく、院ではあまり無い専門色の強い分野なので通学に片道2時間近くかかった。

 町田樹選手も専門色の強い分野で院生生活をおくる事になる。
 彼は読書家で遠征の時もたくさんの書物を持ち込む事は有名である。ドイツの哲学者ヘーゲルの著作をよく読み、振付やBGM選定もコーチや振付師任せではなく、自らプログラムを「作品」と呼んで競技に臨む姿勢から「氷上の哲学者」と称された。
 そのためなのか、今期はいつもの遠征と違って携行する本の量が多く、競技の合間に論文執筆も行っていたようだったが殆ど話題にならなかった。単に大学の卒論を書いている程度の認識。
 大学の卒論は、少なくとも私の時代では「申し訳」程度のもので極端に言えば指導教官の助言に従って書式さえおさえていれば通るもの、入学前の受験を思えばお気楽だった。ましてや町田選手は羽生と覇を競うトップアスリート、卒論のレベルが多少稚拙でも卒業できると世間は思う。

 ところが彼は本気で研究の道に進もうとしていた。早稲田の大学院に進むとは、世界トップ選手の練習量をこなしたうえで進学の勉強をするとは大変なことである。彼がシーズン途中からSPは高得点なのにFPではスタミナがもたなく失速するパターンが多かったのは勉強のせいだったと記事にはある。その通りだろうと思う。
 いや早稲田の大学院へ進学する事を決めながらグランプリ・ファイナルに出場する事は、流血負傷の羽生選手に比べればはるかに地味だが、これもかなり超人的である。

 彼もまた言い訳を言わない。羽生選手の場合は誰もが「そんな状態では無理や」と思っている中で潔く「これが今の自分の実力です」と言い切るところがインパクトになったが、町田選手が仮に言い訳を言ったら「なに甘えてんねん」と批難されるのは間違いないし、言わなかったら言わなかったで現に「本番に弱い」と評価されている。

 院での研究とトップアスリートの練習レベルを両立するのは無理と判断した町田選手は賢明だろう。スポーツ選手の多くは毎日が競技漬けの生活で、引退後は右も左も判らないまま社会に放り出される。トップアスリートの場合は売れっ子なみの芸能人になれるもしれないし、監督やコーチなどの仕事もあるだろう。しかし中堅以下はかなり困窮する。このスポーツ業界の状況改善のために研究する志は素晴らしい。

 しかしである。今年の世界選手権で銀をとった時、隣の羽生君がぶら下げている金を指さして「次はこれを獲ります」と言い切ったではないか。せめて院に進むのは再来年まで待ってほしかった。我が姉でさえ40過ぎてから院に進んだ。苦労人町田樹選手なら院への進学を一年ずらす頭脳と体力は十二分にある。

 私は作り笑いをしながら気持ちよく送り出すなんて高尚な人格は持ち合わせていない。羽生君を抑えて表彰台トップに立つ町田選手を観たかった。金を獲ってから電撃引退してほしかった。

 町田が去ったいま、これからは樋口新葉選手を応援しよう、と呟いたら、連れ合いが横から「出たなぁ!本音が!」と突っ込まれた。


 
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