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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

晴雨堂の2014年公開映画1選 私は福本清三先生のファンなので・・。 

晴雨堂の2014年公開映画1選
 
 さて、今回も1年間の公開映画を振り返る行事がやってきた。
 「日本で2014年に劇場初公開された作品」という条件に絞って晴雨堂が独断と偏見で優秀作品を1作選んだ。
 具体的な評価基準は、劇場で1800円支払って鑑賞してなおかつDVDが発売されたら購入して本棚のコレクションに加えたい映画である。

 で、なぜ2014年は1作しか選ばなかったのかというと、私と直接付き合いのある友人たちはご存知と思うが、家庭の事情で映画館へ行く機会が激減した状態が依然として続いているのである。息子の育児と連れ合いへの気がねで映画鑑賞する本数自体が減った。
 こないだも親戚の集まりでポロリと「映画館へ行った」事を話したら、5歳年上の姉から糞味噌に貶され説教された。非常に極たまの映画館だったのに、「子供が小学校にあがるまでは育児に努めなあかん!なに考えてんねん!」とまるで育児放棄者呼ばわりである。
 どうも私は身内や親友・幼馴染といった付き合いの長い人たちからは実像より過少に評価される傾向がむご過ぎる。

 という訳で、たとえ300も400も観たとしても、これは記憶に焼き付き二度と忘れない作品として1つあげよう。
 
1「太秦ライムライト」日本映画

 選んだ理由はただ一つ、子供の頃から福本清三氏のファンだからである。川谷拓三氏らと同じ大部屋俳優、世間ではエキストラ扱い、時代劇ファンならご存じだろう。
 主人公が悪代官の屋敷に踏み込んだ時に、迎え討つ家来衆の中で比較的よく目立つ立ち位置にいてよく目立つ馬面と眼光鋭そうなメイク、何度も執拗に斬りかかった末に主人公に討たれて大袈裟に痙攣しながら背中を反らして倒れる。日本で一番有名な斬られ役である。

 子供の頃は時代劇を観る度にその他大勢の斬られ役の中に福本さんがいないか探すのが習慣だった。
 そんな福本さんも斬られ役からレギュラー俳優に「出世」した時期がある。千葉真一主演のテレビ版「柳生一族の陰謀」だ。千葉真一扮する柳生十兵衛が主に統括している忍者集団裏柳生衆、なんと福本さんはその裏柳生衆の一員としてレギュラーなのである。斬られ役の時は「ギャー」とか「ウワ」ぐらいの台詞しかなかったが、この役ではときどき脚本に明記されてそうな台詞もある。(余談1)
 最終回で十兵衛は幕府に反抗したしたため身内からも命を狙われることになり、裏柳生衆の長フチカリ(余談2)が自ら片目を潰して十兵衛の身代わりになる。フチカリたちが柳生藩の一党に討たれた事を知った十兵衛は遺棄されたフチカリたちの遺体に駆け寄る。その時、各々の生前の姿が挿入されるのだが、福本さん演じるキタノの時は子犬を抱いて微笑む姿だった。今まで般若のような形相しか観た事が無かったので貴重映像である。

 福本さんはこのまま川谷拓三氏(余談3)と同じくメジャーな俳優へと出世していくとばかり思っていたら、やや台詞が増えたものの相変わらずの斬られ役ばかり。次第に時代劇の本数が減ってきたが、それでも相変わらずチンピラや暴力的な巡査や悪の怪人など悪役の端役ばかりを演じ続ける。
 福本さんほどの知名度とキャリアなら、主役を張っていてもおかしくないのになぜ「斬られ役」のままなのか? 彼は敢えて主役を拒絶しているのではないのか、と思うようになった。

 おそらく制作サイドも福本さんの扱いに苦慮しているのではないかと思う。2007年に放送された内藤剛志主演NHK木曜時代劇「新・はんなり菊太郎~京・公事宿事件帳~」ではいつもの素浪人姿の殺し屋役で登場するのだが、ちゃんと三嶋源内という役名があり、竹林で長尺の殺陣を続けた末、内藤剛志演じる主人公から「お前ほどの人が・・殺すには惜しい」と命助けられる。これは制作者や俳優たちの福本さんへの率直な気持ちが反映されたのではないか。

 こういった経緯があっての、福本清三初主演映画「太秦ライムライト」封切なのである。ファンとして映画館で観ないわけにはいくまい。普段は買わないパンフレットも買った。当然の事ながら、晴雨堂は2014年のイチオシ映画に選ぶ。

 それでは皆さん、2015年も良き映画にめぐり合えますように。

(余談1)今や国際的に活躍する真田広之氏が、シリーズ後半に末席の若輩忍者左助として裏柳生衆に加わる。なんと裏柳生衆で福本さんのキタノは先輩忍者なのである。
 激戦から辛くも生き延びたキタノが後輩の左助に顛末を語る場面や、十兵衛の身代わりとなって死地に向かうフチカリのお供をするキタノが、「自分も」と追いかけようとする左助に向かって石を投げながら「お前は来るな!」と怒鳴る場面などがある。
 この共演が縁だと思うが、後に真田広之氏が出演したトム・クルーズ氏の「ラストサムライ」で福本さんはハリウッドデビューする。

(余談2)千葉真一氏の実弟矢吹二朗が扮する。藤岡弘氏の仮面ライダーを観ていた人ならお馴染みのアクション俳優である。このフチカリ役以降は何故かレギュラー出演が減り、同和教育映画の出演や刑事ドラマの犯人役などが目立ち、80年代前半ごろからテレビや映画からは姿を消してしまわれた。

(余談3)川谷拓三氏も福本清三氏と同じ大部屋俳優出身である。時代劇ではすぐ斬られるチンピラ役、現代劇では拷問の末殺されるヤクザの役が多い印象を受けたが、「ニッカ・ウヰスキー」や「どん兵衛」のCMで広く知られるようになり、大河ドラマ「黄金の日々」の杉谷善住坊役で完全ブレイク。
 

 
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旧年中はなんともお世話になりまして、
今年もよろしくご教示お願いします!

『太秦ライムライト』は未見ですけど、
気になっていた映画のひとつではあります。
恥ずかしながら福本清三氏をあまりご存知あげなかったんですけど、
「なるほどあの『ラストサムライ』の人か!」とようやく合点がいきました。
あの役はよかったですよねぇ~。
映画自体はそこそこでしたけど、彼の役は非常に印象に残ってます。
あの寡黙さが粋なんですよね♪

映画のブログ、そして人生の先輩として、
ミカエルさんにはいろいろと教えてもらうことばかりで、
本当にありがとうございます!
今年もどうか、こんなボクと仲よくしてやってください(笑)
[ 2015/01/01 17:29 ] [ 編集 ]
スパイクロッド氏へ

あけましておめでとう! 

今年も一年生き延びましょうぞ!





> 旧年中はなんともお世話になりまして、
> 今年もよろしくご教示お願いします!
>
> 『太秦ライムライト』は未見ですけど、
> 気になっていた映画のひとつではあります。
> 恥ずかしながら福本清三氏をあまりご存知あげなかったんですけど、
> 「なるほどあの『ラストサムライ』の人か!」とようやく合点がいきました。
> あの役はよかったですよねぇ~。
> 映画自体はそこそこでしたけど、彼の役は非常に印象に残ってます。
> あの寡黙さが粋なんですよね♪
>
> 映画のブログ、そして人生の先輩として、
> ミカエルさんにはいろいろと教えてもらうことばかりで、
> 本当にありがとうございます!
> 今年もどうか、こんなボクと仲よくしてやってください(笑)
[ 2015/01/01 23:42 ] [ 編集 ]
あけましておめでとうございます。

2014年は私としては映画不作の年でした。一応、NHK大河は見るつもりです。井上真央の演技に注目します。
[ 2015/01/02 19:02 ] [ 編集 ]
うろぱす氏へ

あけましておめでとうございます。

 今年の大河で吉田松陰役をやる伊勢谷友介氏は実際の松陰の風貌にかなり近い。歳は10歳ほど伊勢谷氏の方が上ですが若く見えるので問題ないでしょう。

 実際の松陰が松下村塾で講和したのは20歳代後半の青年、ところが今までの時代劇では40過ぎの俳優があてられていました。それが私の不満でしたが、伊勢谷氏は許せる。
 肖像画では豊麗線が強調されて老け顔ですが、当時の絵師は威厳をもたせるためにわざと老け顔に描くのが習慣でした。松陰は武家で当時の知識階級です。風貌は今の30歳前後の青年と変わりはありません。
 伊勢谷松陰が楽しみです。


> あけましておめでとうございます。
>
> 2014年は私としては映画不作の年でした。一応、NHK大河は見るつもりです。井上真央の演技に注目します。
[ 2015/01/03 05:55 ] [ 編集 ]
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