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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ムースポート」 社会を冷笑したい時に〔13〕

ムースポート」 選挙映画の佳作
 

 
【原題】WELCOME TO MOOSEPORT
【公開年】2004年  【制作国】亜米利加  【時間】111分  
【監督】ドナルド・ペトリ
【音楽】ジョン・デブニー
【脚本】トム・シュルマン
【言語】イングランド語
【出演】ジーン・ハックマン(モンロー・コール前大統領)  レイ・ロマノ(配管工ハンディ・ハリソン)  マーシャ・ゲイ・ハーデン(-)  モーラ・ティアニー(-)  クリスティーン・バランスキー(-)  フレッド・サヴェージ(-)  リップ・トーン(-)  ジューン・スキッブ(-)  ウェイン・ロブソン(-)  ジョン・ロスマン(-)  カール・プルーナー(-)
    
【成分】笑える 楽しい 知的 コミカル 地方選挙 アメリカ 
       
【特徴】惜しまれながら引退した前大統領が余生をおくろうと田舎町に事務所を構えたところ、町の有力者から町長選出馬要請を受け引き受ける。ところが、ある女性と親しくなったことから彼女のボーイフレンドが対立候補に、しかも予想外の善戦。
 ジーン・ハックマン氏の濃い演技が面白い。レイ・ロマノ氏がやや個性を出せていない気がするが、キャラ設定と人物相関からすれば問題ない。
  
【効能】アメリカ民主主義の滑稽さとダイナミックさを楽しめる。リラックスして政治を笑うことができる。
 
【副作用】現実味のある選挙風景描写なので、ドタバタコメディを期待した人には地味にうつる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
アメリカの田舎町を舞台にした選挙コメディ
 
 日本では衆院選間近、アメリカでは大統領選に下院議員選を目前に控えた今、タイムリーなレビューを書くことにする。(余談1)この映画はタイトルになっているムースポートという小さな田舎町を舞台に繰り広げられる町長選挙をテーマにした喜劇である。
 町長選に出馬した元大統領役に大物俳優ジーン・ハックマン氏が、その対抗馬に市井の配管工兼金物屋に扮するのが映画初出演コメディアンのレイ・ノマノ氏。大物政治家と一介の金物屋の対決はそのままベテラン映画俳優と映画初主演コメディアンの競演とダブらせることができる絶妙なキャスティングだ。
 
 高支持率のまま二期の大統領を務め上げたあと、政界を引退して田舎町の別荘で悠悠自適の名士生活(余談2)おくるつもりのコール元大統領に、町長候補が居ないということで有志たちに請われて仕方なく立候補する。対立候補もおらず、そのまま町長の椅子が手に入ると思われた。
 このコールは離婚歴があって現在は独り者、町に住むある女性をデートに誘ったことで約束されていた町長の座が怪しくなる。その女性の恋人ハンディが怒って立候補したからだ。政治意識のかけらも無い庶民だったが、生まれも育ちもムースポートなのか支持者増やして善戦。コールはいわば落下傘候補なので地盤が無い、慌てて選挙参謀を呼んで選対を整え反撃を始める。一介の小市民が元大統領と互角に戦っているということで全米のマスコミも注目し騒ぎが大きく大袈裟になる。
 
 興味深いのは2人とも主体性無く仕方なしに町長選挙に立候補している点である。元大統領は町の顔役たちに請われて仕方なく、対立候補の金物屋は嫉妬心に駆られて。町政や政治理念は不在というのは現実の選挙にもあるので、このシチュエーションは笑える。
 2人が取り合う女性は獣医のサリー、モーラ・ティアニー氏が扮しているのだが、いまいち地味でパッとしないところがアメリカの田舎の知識人らしくて良い。(余談3)こんな獣医さんは日本にもいるだろう。
 
 この作品は、観る人によってはつまらないかもしれない。ドタバタギャグを期待している人は肩透かしされた思いを抱くだろうし、俳優もジーン・ハックマン氏以外は今ひとつ印象に残らないかもしれない。地味で淡々とした物語運びに驚くか、がっかりするだろう。
 たぶん、そういう方々の多くは「選挙」というものを知らない人間だと思う。これ以上ドタバタにしたら、逆に私はリアリティを感じることができず白けてしまう。ありそうなシチュエーションだから面白いのだ。
 
 できれば、想田和弘監督作のドキュメント映画「選挙」(2006年)とあわせて御覧いただきたい。アメリカの選挙がチョット羨ましくなる。
 
(余談1)以前に想田和弘監督作「選挙」というドキュメント映画のレビューを書いた。
 自民党の公募に応じた一介の若い切手商が縁の無い町の落下傘候補として出馬し、自民の選挙参謀や先輩議員から叱られながら選挙戦を戦う様を記録する。監督・撮影・編集をこなした想田監督は主人公である候補者の友人。
 
 この作品は日本の選挙を理解するに極めて判り易いサンプルである。たぶん、多くの人々が選挙の楽屋裏を見て滑稽で馬鹿馬鹿しく思うかもしれないが、これが日本国主権者たる我々のニーズに合わせたスタイルなのである。もしこの作品を高見から笑ったり嘲笑したり白けたら、そんな形にしているのは自分自身であることを是非とも思い知ってほしい。
 
(余談2)アメリカでは、国家元首という激務を務め上げた人は終生潤沢な年金と秘書やSPなどの手厚いサービスで報いる。
 
(余談3)クリントン元大統領の夫人ヒラリー氏も、若い頃は貧乏臭い70年学生ファッションだったし、弁護士時代もハッキリいってダサい。夫が政治家の階段を上るのでやむを得ず気を遣うようになった、というのが真相だろう。大統領就任時のファッションも外套・ブレザー・ブラウスの配色バランスがチグハグだったが、今は選挙スタッフのおかげか板についてきた。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
  
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
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選挙 [DVD] 想田和弘
スヌーピーの選挙活動 特別版 [DVD] チャールズ・シュルツ原作
  
晴雨堂関連書籍案内
選挙の経済学 投票者はなぜ愚策を選ぶのか ブライアン・カプラン
日本の選挙―何を変えれば政治が変わるのか (中公新書) 加藤秀治郎
YouTube 時代の大統領選挙 ( 米国在住マーケターが見た、700日のオバマキャンペーン・ドキュメント) 大柴ひさみ
 



 
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